2話 ◆◆性質◆◆
◆◆性質◆◆
猫「ピヨ」
雛「はーい?」
それから僕達は急激に
仲良くなった。
一度もクラスは一緒に
なったことはないけれど、
一発で、まるで磁石のように
僕らは強く引かれるものを
感じていたみたいだった。
猫「ピヨ、お前前回のテスト
どうだった?」
雛「いぇーい全滅。どちくしょう」
猫「はっ、ざまあみろ。いっそ死ね」
雛「なんですとー」
僕は血統書つきの
超ド級のドSで、
ピヨは類い稀なる
超絶ドMだった。
いつも僕はピヨを
嘲り、笑い、苛めるのが
大好きだったし
ピヨはからかわれ、
弄られ、詰られるのが
大好きだった。
そりゃあまあ、
引かれるだろうね。
二人とも当然のように
相性はバッチリだった。
部活の時間、
いつものように
隣の席に座った。
僕はピヨを毎回
いじるのが楽しくて
仕方がなかった。
猫「お前は髪の毛が薄いんだな?」
雛「はい?いやいや全然余裕だよ…」
猫「河童なのか」
雛「なんだって?」
猫「お前の先祖は河童なのかと
聞いてるんだよ」
雛「んなわけないでしょうが!!!」
僕は鋭いボケで
ピヨは鈍いツッコミと
いったところか。
僕たちの会話は、
周囲の人たちが一斉に笑ってしまうほど
漫才のようにおもしろかったらしい。
猫「なあ。聞きたいことがあるんだけど」
雛「うん?なぁに??」
鈍くさい目で
僕を見るピヨ。
猫「お前は、マゾなのか?」
雛「あんたはいきなり何を
訳のわからんことを言ってるんだ」
猫「でも楽しいでしょ?」
雛「…え」
猫「楽しくない?」
雛「…うん…いや…あ…楽しい…」
相変わらず、
そそる眼で。
返答を聞いたところで
僕は早速プレゼントした。
雛「何これ?」
少し間をおいて、
猫「…豚女のM度アンケート。」
豚女、と
なずけた。
雛「あのーおっしゃってる意味が
よく分かりません…」
猫「まー大変なことで。
君のような単細胞には
理解しがたかったですか」
雛「いやまぁ多細胞ですけどね…(ムカ)」
アンケートには
1、どんな罵声が嬉しい?
2、呼ばれて嬉しい名前は?
3、どのくらいなら耐えられる?
みたいなことを書いた。
ピヨは文句は言ったものの、
すらすらと、楽しげに
びっしりと書き込んでいた。
…一通り読み終わった僕は
一言だけ、言った。
猫「このドMが」
ピヨは満足げに、
そんなこといわないでよ〜
と、言った。
僕はとりあえず
侮蔑しておいた。