11話 ◆◆病気(下)◆◆
2日後の、放課後。
僕とピヨは、放課後毎日
公園でお菓子なんかを食べながら
話していることが多い。
でも今日は、ピヨの様子がいつもと違った。
雛「猫!あんなに走っちゃダメって
言ってるのになんで走るの!?」
猫「あ…いや…。孤華が…」
雛「追いかけられたからって逃げるの!?」
猫「あ、え?…いや、追いかけられたら普通逃げるだろ…?」
雛「…。」
猫「大体さ、なんでお前そんなにうちに言ってくるわけ?
本当友達思いだよな…」
雛「…別に。」
そのとき、何か陽菜が自分の鞄から
出してるのが見えた。
お菓子だった。
猫「あ…!いいな、それ。くれよ?」
雛「やだ。」
猫「…あ?なんだそれ…。」
雛「だって猫約束破るんだもん。」
猫「や、約束…?」
はっ、と思いだした。
その前日、僕はピヨに
“治るまで走っちゃ駄目令”
が出たのだった。
あんまり熱心に言うから、
承諾してしまったのだ。
思い出した僕は、いい訳タイム、スタート。
猫「あ…いや、あれは…約束というよりその…な?
それに走るのはやむをえなかったっつーか…
痛くないしいいかなって思って…その…うん…」
ちらっとピヨの方を向いた。
猫「少し走るくらい大丈夫なんじゃっ、て…え?」
僕は目を疑った。
あの豚が、泣いているのだ。
猫「ぶ…豚!?ちょ…おま…何泣いてっ…!?」
雛「…。」
猫「あ、あの…ご、ごめん!本当!もう走らねーよ!!」
雛「…。」
僕はこんな経験あまりないので、
かなりおどおどして謝ってしまった。
猫「わ…悪かったよ!!
ごめんってば!な、泣くなよっ…」
不覚にも、そんな泣いてる豚を見て、
可愛いなんて 思ってしまった。
猫『え…今うちなんて考えて…!?』
何考えてんだ、僕。
頭をぶんぶん振ってる僕を後に、
雛「治るまで、絶対走っちゃダメだよ…」
猫「あ!?ああ!うん!」
僕をこんなに謝らせるなんて…
女の涙って、本当、怖いよな…。
―…僕も女だけど。