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女神アストレイア

教会を後にしたオレは家にも帰らずただ一人で森の中を歩いていた。

今オレが向かっているのはこの森の奥にある昔魔女が住んでいたと言われている小屋である。


魔法適正が無属性だったことで昔からの夢を失い、村に戻ったとしても無属性魔法使いはろくな仕事も見つからないで周りから見下され笑われながら生活しなければならない。そうなってしまった今もう生きることの意味を感じてはいなかった。そのために普段誰も寄り付かないこの小屋の近くにある古い井戸に飛び込んで死んでしまおうと考えていたのだ。


そして井戸の前にたどり着いたオレは今まで育ててくれた家族への感謝を朱に染まり始めた空に向け呟き、井戸へ飛び込んだ。


「そうか死んだのか。」


井戸に飛び込んだ後にオレが見たものは見渡す限り何もない真っ白い空間だった、


「母さん、夢叶えられなかったよ応援してくれたのにごめんね。」


そう呟いた瞬間、周りの景色が変わっていき見たこともないはずなのにどこか懐かしい建物の前に立っていた、ここがどこだかわからずに周りを見回していると突然後ろから声をかけられた。


「おはよう白亜そんな顔しちゃってどうしたの?」


振り向くとそこには見たこともない服を着たツインテールの女の人が立っていた。身長は160センチ前後で人懐っこそうな笑みを浮かべた女の人だ。周りを見ると男は男、女は女でみんな同じ服を着ていた。

服装も顔も今までに見たこともないものだったが、前に立つあの大きな建物を見たときのような懐かしさを覚えた。何故だろうかと考えているとさっきの女の人がまた口を開いた。


「のんびりしてると遅刻するよ?ほら、いくよ!」


それだけ言うとオレの手を引いて歩き始めてしまった。あれからしばらく手を引かれるままに歩いたオレは中からいろいろな声の聞こえる扉の前でやっと手を話してもらうことができた。


「ここはどこなんだ?」


全く訳のわからない状況に混乱している中、やっとの思いで絞り出した声で聞いてみると。


「はい?何言ってるの私たちの教室じゃない!今日何かおかしいよ?熱でもあるの?」


まじか、余計にわからなくなった、なんだよ教室って!それになんだ!こいつらの持っている薄い板は、耳に入れてる線は!今まで見たこともないものの数々に目を回しているオレをさっきの女の人が引っ張っていき椅子に座らせた。そしてそのままオレの前の椅子に座ると何かの準備を始めた。それからオレはもう一度今の状況を整理しようとしてみたが、どう頑張っても理解ができなかったので考えることをやめようとしていた。そこに教室と呼ばれる部屋の前のドアが開きメガネをかけた女性が入ってきた。

あれから数時間後、女性が入ってきてから入手した情報をまとめて見ることにした。

どうやらここでのオレの名前は大島 白亜というらしい。そして今いる場所は学校と言って勉強をするための場所で、朝ここまでオレを連れてきた女の人は、北島 はるというみたいだ。彼女はオレの幼馴染で学校でもかなりの人気者のために彼女のことが好きな人は生徒から教師までと普通では考えられないくらいの数がいるということ、そしてその遥と仲がいいオレはほかの男子からはあまり良く思われていないようだ。

そして遥の子が好きな人の中には、悪質ないじめを行い停学になるような人もいるようでオレもたまに被害にあっているということもわかった。そして今日も、その被害にあってしまうのであった。


意味のわからない授業を受けてついに下校の時間がやってきた、休み時間にさりげなく遥から聞き出した情報によるとオレの家は遥の家の隣にありほとんど一本道だというので迷うことなく変えれるということだったのだが遥がどうしても一緒に帰るといって聞かないので、帰りは遥と一緒に帰ることになった。そして靴に足を突っ込んだ時に足に鋭い痛みが走った。


「痛っ!!」


「どうしたの?大丈夫?」


突然大きな声を出したオレにびっくりした後に、オレの異変に気がついた遥がオレを支えた。

遥に支えられることで転ばずにすんだオレは、痛みが走った足の裏を確認してみた。


「画鋲か?なんでこんなものが?」


痛みの原因は足の裏に刺さった3つの画鋲だった。


「でもどうしてこんなところに画鋲が3つも入ってるの?」


訳がわからないという顔の遥とは反対にオレにはこれをやった犯人に心当たりがあった。

この世界に関する情報を集めていた時に聞いた話の中で、オレにそのようなことをする人間を知っていたからだ。だが別に足を気にしながら歩けばいいだけでそれ以外に問題があるわけではないので問題はないだろうと思いオレは歩き始めた。


オレの家に帰るためには長い階段を降りなければいけないらしく、道を歩いていると少しいったところにかなり急な階段が見え始めた。しばらくしてその階段についた俺は痛む足を気にしながらその階段を降り始めた。そして階段を半分をほど降りたろころで、突然遥の右側の茂みから猫が飛び出てきた。それに驚いた遥は階段から足を踏み外してしまったのだ。


「きゃっ」


それに気づいたオレはとっさに遥の腕を掴んだオレは体勢を立て直そうとして足をついた。


「痛っ!」


足をついたところまでは良かったものの、その足は怪我をしている方の足だった。

そのせいでまた体制を崩してしまったオレは、遥と一緒に階段から落ちてしまったのだった。


そして目を覚ましたオレの目に入ってきたのは、学校に行く前に見たのと同じ真っ白な空間だった。

周りにの景色は白一色、しかし今オレの前にいるものはさっきまでにはなかったものだった。


「あんたは誰だ?ここがどこだかわかるか?

確かオレは階段から落ちて気がついたらこの場所にいたんだ。」


そう、今オレの前には見たこともない女性がいたのだ。見たこともないほどの美しさを持った女性が。


「ふむ気づいたようじゃの。」


その女性はオレが今まで聞いたことのないほどきれいな声で喋り始めた。


「妾の名前は女神アストレイアという。よろしくの」


女性の名前を聞いたオレは言葉を失っていた。

女神アストレイアとは、2万年前テイルリアンに突如現れた巨大なドラゴンにより壊滅にまで追い込まれた時に、夜の闇を消し去るほどの輝きとともにアストレイアにその強大な力によってドラゴンを討伐したと言われている伝説の存在だからだ。

しかしそんな存在がなぜオレの前にいるんだ。


「本当にドラゴンを討伐したと言われているあの女神なのか?もしそうだとしてもなぜそんな人がオレの前に」


「ふむ、それは今から説明しよう。お主は成人の儀で無属性魔法だということが判明したことで深く絶望して森の中の井戸で自殺したのだがそこまでは覚えているかの?」


「ああ覚えている。だけどその後真っ白な空間に飛ばされたと思ったら大島 白亜という名前で学校というところにいたんだ。そして学校からの帰り道に遥と一緒に階段から落ちた。そうだっ!遥は無事なのか?一緒に落っこちたんだ。」


「わかっておる。だからおちつくのじゃ。まずさっきまでお主が体験していたのはお主の前世の頃の体験じゃ階段から落ちたお主たちはあそこで死んだのじゃ。本来ならお主たちがもともといた世界で魂は回収され全てをリセットされて新しい人間として生まれてくるはずだったのじゃがお主の魂は普通じゃなかったのじゃ。

お主の魂は一度もリセットされずに何度も異世界転生を繰り返しておる、そしてその時の記憶は魂の奥底にしっかりと残っておるのじゃ。そして今回見たものは今の世界に転生するまえの一番最後の記憶じゃ。


「何でそんなことが?普通の人間にそんなことがあり得るのか?」


「わからぬのじゃ、今までにそんなことがなかったから何とも言えぬ。」


わからないならしょうがない。それはまた考えるとして遥がどうなったのかを聞いてみることにした。


「そうか、ならその話はもういい。遥はどうなったんだ?」


「そうじゃな、それでは今からその話をしよう。まず遥の魂はお主の魂に巻き込まれてテイルリアンに飛ばされてしまった。そしてそこからはお主と同じように赤子からやり直したのじゃ、頭も容姿も良かったことで村でもそれなりによくしてもらえていたのじゃが丁度あやつが15になった頃に村の経済事情が悪化してな、適性魔法が無だったこともあり王都に奴隷として売られてしまったのじゃ。」


「魔法適性が無だっただけで奴隷として売られただって?何でそんなことに!くそッオレがあの時痛みを我慢してしっかりと支えていれば!!遥がこんな目に合わなくてすんだのに。」


今オレの頭の中は罪悪感でいっぱいだった。オレには遥が奴隷になったのは巻き込んだ自分が悪いとしか思えなかったのだ。あの時一緒に帰らなければ、あの時しっかり支えていればと、ものすごい後悔がおしよせてきた。とそこで


「そろそろお主をここに呼んだ理由を話すとしよう。お主は遥を助けたくはないか?魔無だというだけで侮辱され虐げられている奴らを助けたくないか?」


アストレイアのこの言葉でオレは後悔の連鎖から引き戻された。

一体どういうことだ?助けられるのか?後悔の次は疑問の渦であるオレはアストレイアに問いかけた。


「何を言っているんだ?助けることができるのか?このオレに?オレだって魔無なんだぞ!?」


この質問に対しアストレイアは何のことでもないような態度で答えた。


「できる。というかこれはお主にしかできないじゃろう。」


この答えに対し開いた口がふさがらないオレを無視しアストレイアは続けた


「まずお主の世界にある無属性魔法というものは決して外れなどではないのじゃ。無属性とは他の4属性とは違い人により違う個性のような魔法じゃ。攻撃型から治癒型あらゆる可能性を秘めた属性なのじゃ。だから決してハズレなどではないのじゃがなぜかテイルリアンではハズレと言われている。そう言われるようになったのは2万年前のドラゴンによる災害の後からなのじゃ、そしてその時のドラゴンは何者かにより操られておったおそらくその頃からこうなるように裏で手引していたやつがいたのだろう。そしてお主には無属性魔法の間違いを正しながら其奴を倒して欲しいのじゃ。本当なら妾が行くべきなのだろうが訳あってこの場所から出ることができないのじゃそれにお主の方が適任じゃろうからな。そしてもう1つ遥についてだがあやつが村を出発したのはお主が井戸に飛び込んだ頃じゃからのまだ王都にはついておらんよ、じゃからまだ助けることができる。そして最後にお主の魔法についてだ。お主の魔法は“願い”願ったことを魔力を消費して起こすことができる魔法じゃ。こんなもの妾も初めて見たのじゃが妾の魔眼で使い方はある程度知ることができた、それを今からお主に教えるからそれで遥を助けに行くといい。井戸に飛び込んだ時の傷は妾が治しておくからな。以上じゃが何か質問はあるかの?」


ただでさえ閉じられなかった口はオレ魔法について聞いた瞬間に完全に開ききってしまった。それはもう手を使わなければ閉じられないほどに。なんなんだ”願い“って反則じゃないか。そんなことを考えていたら


「質問はないようじゃなでは始めるぞ妾がいうことを繰り返すのじゃそしたらお主の魔法が発動する。わ『ちょっとまて』れねが!っなんじゃ一体わからないことがあったらまた聞きにくればいいじゃろ、こんなことしてるうちに王都についてしまうぞ。」


「っ!!」


ものすごい勢いでものすごい内容の話をしている女神に文句を言おうとしたが遥が大変な今そんなことをしている場合じゃないみたいだ。また聞きにこれるみたいなのでそうすることにした。


「わかった始めてくれ」


「うむ。ではいくぞまず魔法を発動させるためにははじめに<我願う>と口にするのじゃそしてそれに続けてお主の願いを思い描きながら口にするのじゃ。詠唱破棄については分からなかった。すまぬな。今回の場合は<我願う”転移“>でいいじゃろう。転移を口にする際に遥のことを思い描くのじゃ。ちなみにテイルリアンでのあやつの名前はシャルロットじゃ。ではやって見るのじゃ。」


よしこれで遥を助けることができる。今はそれだけ考えればいいそれ以外のことは後回しだ。


「<我願う”転移”>」


シャルロットの名前と遥のことを思い描きオレは詠唱した。

すると周りが光に包まれオレは転移した。そして


「きゃっ!」


オレの前にはオレと同い年くらいの鎖で繋がれた女の子がいた。


読みにくくてすみません。お手柔らかにアドバイスください。お願いします。

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