帰還
久々の投稿になりました。
「Aki contact kotani approach 120.5」
(周波数を120.5にセットし港谷アプローチと交信して下さい。)
「Roger.」
(了解。)
訓練で惨敗した亜久留達は港谷高校へと戻っている最中だった。
「なぁキャシー、本当にあそこに行かないとダメなのか?」
しかしキャシーからの返事は無い。
「あの、キャシーさん?」
さっきからずっと亜久留はキャシーから無視され続けられている。
「Aki kotani approach radar contact using runway 02L,turn left heading 020.」
(港谷アプローチです。レーダーにて捕捉しました。使用滑走路は02レフト、機首方位20°に転針して下さい。)
亜久留達は何と無くショートカットに誘導されていた為、案外早く戻れそうだった。
「Aki contact tower 118.6」
(周波数118.6にセットし、タワー管制と交信して下さい。)
「Contact tower 118.6」
(タワー管制と交信します。)
「Tower aki approaching final.」
(タワー管制、最終進入中です。)
「Aki cleared to land runway 02L wind 019 at 10」
(滑走路02レフトへの着陸を許可します。19°から10ノットの風が吹いています。)
「Cleared to land runway 02L.」
(滑走路02レフトへの着陸許可を確認しました。)
「フラップ20」
「フラップ20、チェック」
「ギアダウン」
「チェック」
「火器管制装置オフ」
「チェック」
「全着陸前最終確認完了」
亜久留はキャシーとの最終確認を済ませるとスロットルレバーを少しずつ絞っていく。
「フラップフルダウン」
すると急に大きな揚力が働き機体が浮き上がろうとするが、それをスロットルで何とか抑え込む。
「One thousand.」
自機の高度を知らせる自動音声が高度を読み上げ始めた。
機首上げを行い更に速度を落とす。
「Five hundred.」
「One hundred.」
「Eighty…ten.」
その直後ドンという衝撃の後機体が急減速を始める。
慣性の法則で前のめりになるためシートベルトが食い込み結構痛い。
「Aki turn right taxi to C10.and contact ground.」
(右へ曲がり誘導路へと進入し、港谷グラウンドと交信して下さい。)
「無事に着陸出来た~何かほっとするなぁ。」
「フン」
「たかが一回負けた位でそんな拗ねるなぁ、別に良いだろお前のスコアじゃ無いんだし。」
「たかが一回…ああそうですとも!私のスコアでは無いからね!」
「だろ?お前には何もダメージが無いから良かったじゃねーか。」
「良かったですよ!例えあんたの技量が落ちたとしても私には関係ないですからね!」
「何をそんなにムキになってるんだ?」
キャシーは昔、よくACMで最強と呼ばれていた。しかし亜久留とのシム(よく兵器のテストで使われる本格的なやつ)での対決で負けた事があるのだ。
それ以来キャシーは亜久留の事を私より格上の絶対に倒すべき存在だと思い今まで努力してきたのだが、当の本人はこの有り様だった為とてもショックを受けた。
「じゃあ私の今までの努力は何だったのよ。」
「え?何だって?」
「何でも無いわよ。」
「お、おうそうか。」
いつの間にか機体は格納庫に着いていた。
「私先帰るから。」
「あぁ、お疲れ。」
「あと、負けたのだから約束通り連れて行って貰うわよ。」
「ハイハイ分かりましたよ。」
そのぞんざいな態度にキャシーのこめかみに青筋が立ってゆく。
「あんたなんか実戦で撃墜されれば良いんだわ!」
そう言い残してキャシーは行ってしまった。
「あいつ一体何なんだ?」
亜久留はその言葉が意味することが良く解らなかった。
最後まで読んでいただき有り難うございました。