悪夢の再来
時間があいてしまいました。
すみませんでした。
亜久留は振り返った直後、銅像の様に硬直した。
そこにはさっきまでミハエルが座っていた席に金髪の外国人の少女が不自然な笑顔で座っていたからだ。
そして亜久留はその少女を知っていた。そしてこの表情を浮かべている時は迂闊に変なことを言わない方が良いことも知っていた。
「アク、お久しぶり。」
「いえ、人違いです。と言うよりどなたですか?」
「ねぇ亜・久・留くん。それはさ、本気で言っているのかな?」
ーその瞬間、亜久留の全身から大量の汗が滝の様に流れた。
(ヤバい、このままだとコ・ロ・サ・レ・ル。 何か話さなくては。)
「な…何故お前が此処にいる!?」
キャシー・ワークスこれが彼女の名前だ。
彼女の両親が外交官でたまたま(と言うより又、)この「信濃」支局に配属された。
「さて、何ででしょうか?アクくん当てて見なさい。それで私が送ったメッセを読んでいたかが分かるから。」
「えーとそれは…」
不意に目を逸らす亜久留。
その後、キャシーは溜め息をついて
「やっぱり。貴方って昔からそうよね、ろくに連絡も見ない上に返信もしてこないものね。」
「ハハハ…」(やはりこの女怖ぇ―)
「まあいいわ、今後じっくりとしばいて行けば良いのだし。」
「マジすんませんでした。それだけはご勘弁を。」
「冗談よ、冗談。何をマジになっているの?」
「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ。」
「―でも、今後の態度によってはシバくから。覚悟しておいてね!」
「恐ろしいことを笑顔で言わないでくれぇー」
そんな亜久留の様子を微笑みながら見ていたキャシーが突然、
「そうだ、今日のT-10の訓練私と組みなさい。」
「いや、もう先客が居るので無理だ。」
その瞬間キャシーの顔が少し引き吊った様に見えたのは気のせいか。
「へぇ、では貴方のベアって誰よ?」
「ミハエルだよ、お前覚えてるだろ?」
そうミハエルも一応キャシーの事は知っているのだ。
だが、そのお陰で一時期女性恐怖症になった事がある。
「そう、あのミハエルねぇ。」
「そうだよな、ミハエル。」
しかし、さっきまで居たミハエルの姿は無い。
(チクショウ、あいつ逃げやがった。)
「今見た所ミハエルは居ないけど?」
「…あーうん、今は居ないけど直ぐに戻ってくると思うよ。」
「そう、ではそれまで待とうかしら。」
(地獄だぁー!!)
最後まで読んでいただき有り難うございました。