Unknown
今回も宜しくお願い致します。
人工島『安羅』より西約50km、高度25000ft上空
UNAI所属 F-40
『ゴナー01、ゴナー01、国籍不明機を感知。
距離約62マイル』
F-40のHMDに情報共有網からの情報が表示されている。
(ん?国籍不明機?どういうことだ?)
このゴナー隊はUNAIが、信濃の管轄である人工島に異常をきたす信号が送られてきたため偵察部隊として派遣されたものだった。
(国籍不明機か…IFFを打とう。)
サイド・スティックの右にあるスイッチを下に下ろし、そのままクリックする。
ゴナー01、ジョン・アミラー少佐は国籍不明機に対しIFFを打った。
空母 準鷹 無人航空機管制室
「IFF信号を確認しました。UNAI所属…F-40だと推測されます。」
「F-40だと?本当か!」
「データからして間違いないかと。それにしてもそんな最新鋭機を投入する必要があるんですかね……」
「う~む…流石に何故だか分からんなぁ…」
そう言いながら航空団司令室に連絡を入れた。
空母 準鷹 航空団司令室
「―はい、えぇ、そうですか。分かりました。本当にそれで間違い無いんですね。えぇ、了解しました。」
「今度は何と言ってきた。」
「先程の国籍不明機ですが、どうやらIFFを打ってきたらしくその信号波がF-40の物と合致した様です。」
「そうか……」
「由奈司令?」
「いや、何でもない。ところで今、無人航空機は何機飛んでいる?」
「え~と……これか、発艦記録によると、6機の様です。」
「6機か……登載兵器は何だ?」
「対空ミサイル計4発です。」
「……よし、無人航空機1~3は一応安羅へ。4~6はF-40に向かうよう指示を。」
「は!」
空母 準鷹 無人航空機管制室
「―以上が航空団司令部からの命令だ。」
無人航空機の操縦要員が見ている管制卓に任務の内容が表示されている。
「どうだ?やれるか?」
「「はい!」」
もう既に操縦要員達の手は、サイド・スティックを傾けていた。
UNAI所属 F-40
「IFFの結果は―信濃所属、QF-1か。自衛目的で来たのかな?」
ジョンはHMDに表示した結果を見ている。
(その他の航空機は無し…か、妙だな。)
ジョンの心には何か漠然とした不安を抱えていた。
空母 準鷹 無人航空機管制室
「UAV1~3、現場空域に達しました。」
「了解、合成開口レーダーを使用し、島全体を索敵せよ。」
「「了解!」」
UAV1~3は隊列を組み、操縦要員は管制卓にある合成開口レーダーのボタンをタップした。
UNAI所属 F-40
(成る程、1分隊は偵察に、もう1分隊は迎撃ってわけだ。
でも、我々と同じようなことをするなぁ。)
その時――
「―ッ何だ!?」
空母 準鷹 所属 E-4AWACS
「えっ……」
「どうした?」
「新たな機影を確認しました!」
「は!?」
「信濃、準鷹に報告しますか?」
「ああ、即急に頼む!」
AWACSの少し狭い機内には、冷えきった空気が流れた。
空母 準鷹 航空団司令室
「おおっと……」
「また何かあったのか。」
日和は溜め息混じりの声で尋ねた。
「えっと……また国籍不明機が現れたみたいです。」
「立て続けにか……」
(本当、あの人工島に何があるって言うんだ。)
「……で、発艦可能な無人航空機は何機居る?」
「4機です。」
「はあ……今から対地ミサイルに付け替えると何分位掛かる?」
「ざっと20分位だと。」
「う~ん…よし、2機を急いで対地ミサイルに改装、発艦させよ。」
「は!」
空母 準鷹 所属 E-4AWACS
「―ッ」
情報共有網を介して分析したデータを見ていた管制指揮官の額には汗が浮かび上がっている。
「どうした?」
「いや…その…」
「何だ?言ってみろ。」
「先程の国籍不明機ですが……」
「…まさか…」
「そのまさかの… J-22,31です。」
「マジかよ……」
UNAI所属 F-40
(EACUのJ-22とJ-31か…真打ち登場といった所かな。)
ジョンは、HMDに表示されている結果を見ている。
(今回は偵察だからな。余計に首を突っ込まない方がいいな。)
そのまま散開しようとした時だった。
『こちらは信濃所属の航空機である。国籍不明機は直ちに転針せよ。』
『Attention.This is Shinano aircraft.Their are Shinano aria.Unknown aircrafts exchange heading now.』
空母 準鷹 無人航空機管制室
操縦要員達は、ヘッドセットを身に付け、国際緊急周波数で、国籍不明機に対し呼び掛けていた。(まだこの時点ではE-4からの報告は入っていなかった。)
「駄目です、反応がありません。」
「もう少し国籍不明機に接近出来ないか?」
「やってみます。」
「そう言えばNo.1~3は何か見つけたか?」
「「………」」
「おい、聞いているのか?」
「「………」」
「いい加減にしろ!」
「……ハッ」
「やっと気がついたか…」
「すみません、ついこの映像が気になってしまって。」
「どの映像だ?」
「これです。実はQF-1から送られた来た映像なんですけど…」
「これは―マズイねぇ…」
画面に映し出されていたのは、何処かの武装した人々が上陸している姿だった。
「隊長。対地ミサイルを積んだ機体へ発艦命令が下りました!」
(確かに無難な判断だな…よし、)
「対地攻撃用意、攻撃要員を連れてこい。」
「は!」
隊員の1人が管制室から走って出ていく。
(ってことは人工島を対地班に任せて、対空班を国籍不明機に向けるか。)
「UAVNo.1~3を国籍不明機に向かわせる。情報共有網の情報を元に接敵せよ。」
「了解」
「そうだ、どの機体が発艦するんだ?」
「さあ…?分からないです。」
空母 準鷹 飛行甲板
「はぁ!?今さらあれを出すんですか?」
「仕方がない、その間にQF-1の装備を付け替えるぞ。」
「嘘だろ…」
空母 準鷹 無人航空機管制室
「えっ!本当か?」
「えぇ…」
「遂に我々も地に堕ちたか。」
「あ…っと攻撃隊の人達はこちらに……」
「はぁ……」
管制室内の空気がとても重くなった。
「まさかQF-1じゃなくてQA-2とはね…」
そう、この空気の重さの原因は使用する機材にあった。
「仕方ないよ、だって当初は上陸しているとは誰も思わなかったもの。」
「それもそうか。」
「そうだよ。」
しかし、心の中では“何で準備しておかなかったんだよ!こちとら凄く迷惑してるんじゃ、コノ!”と攻撃隊の全員が思っていた。
空母 準鷹 飛行甲板
「一応準備完了しました。」
「お疲れさま、戻っていいぞ。」
「いえ、まだ残ります。」
「そうか」
艦首には、2機のQA-2が発艦準備を終えて待機している。
QF-1よりもずんぐりとした面持ちが特徴のQA-2は発艦時の雰囲気が殺伐としたQF-1と違い、何となく柔らかい印象を与えているがその羽の下には自衛用の対地ミサイルと攻撃用の対地ミサイルが吊り下げられている。
「こいつもあと数年って所だろう。」
「そうですね…最近はUAVでも多用途化してますからね、純粋な用途の機体はある意味貴重ですよ。」
「そうだな。」
管制室で発艦する準備が出来たのか、ターボファンの〔キィィン〕という高周波の音が響き渡る。
飛行甲板に居た隊員達は皆敬礼し、心から「行ってらっしゃい」と思うのだった。
QA-2…一世代前のUAVであり、対地攻撃意外用途の無い純粋な攻撃機。
攻撃機なので直線翼であり、エンジンはターボファン×1基を搭載している。