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都市艦の日常  作者: North west color DELTA
空母編
20/26

着艦と風呂

今回も宜しくお願い致します。

ヒウラ隊は全機進入経路(アプローチコース)01にいる。

今、CATCCからの指示を旋回しながら待機している所だった。

『ヒウラ①、準鷹CATCCだ。着艦を許可する。』

了解(ラジャー)

亜久留は上空旋回待機に飽きて来ていた。

(早く俺の番にならねぇかな。もう待機も面倒臭くなってきた。)


空母〔準鷹〕は、幾ら全長1000メーター級だからと言っても着艦場所(LA)は1つしか持ち合わせていないのだ。


(全長ばバカ長いクセに着艦場所が1つとかマジあり得ないだろ。)

そんなことを思っている亜久留の耳元には他の機体とCATCCとの交信が流れている。

『ヒウラ②、CATCCだ。着艦を許可する。』

『了解』


(はぁ…やっと次か。本当に待ちくたびれたな。)

亜久留は軽くテンションが上がった。そして―

『キャポ、CATCCです。着艦を許可します。』


(よっしゃ!俺の番―っておい!誰だよ割り込みやがった奴。貴重な入浴時間(バスタイム)は一体どうなるんだぁぁぁぁぁ……)

亜久留はガックリと項垂れた。

(多分、キャポって言う呼び出し名(コールサイン)から察するにあれだな。輸送機だな。)


亜久留の予想通り、『キャポ』は輸送機である。と、言うことは―

(着艦までに結構時間掛かるじゃねえかよぉぉぉぉぉ……)


そう、戦闘機(ファイター)に比べて機体が大きい輸送機(トランスポーター)は、着艦後の作業に多少時間が掛かるのだ。

亜久留の心はボロボロになりそうだった。


〈数分後〉


『ヒウラ③、CATCCだ。着艦を許可する。』

「了解」

その返事をする亜久留の声は死んでいた。

(はいはい、やっとデスカイ。ヤットナンデスネー。HAHAHA、入浴デキマスネ。ジャパニーズfuro、yeah。)

もう、亜久留の心は完全に崩壊していた。

スラスト・レバーを待機(アイドル)状態まで引き、サイド・スティックを前に倒し、降下(ディセント)を開始する。


目の前の水平線が上に上がっていく。


右下に護衛艦が居るのを確認し、その数十秒後に左旋回(レフトターン)を開始、水平線と共に空母の後ろにいる補給艦の姿が右に傾き、左には空母が見える位置にくる。

左斜め前に視線を固定し、そこに護衛艦が見える位置に来たらまた左旋回、空母の前に来る。

その後(今までの)着艦についての説明は前回にした通りである。


そして、亜久留は、空母の着艦場所後方にいる。

『ヒウラ③、LSOランディング・シグナル・オフィサーだ。位置が高い、少し降下せよ。』

亜久留は何となくぼーっとしていた為、LSOからの指示の声にびっくりして、つい過剰に反応してしまった。

『おい!何をやっている!下げすぎだ。海面衝突したいのか!』

亜久留もその事に気付き、慌てて機首を上げ、スラスト・レバーを最大推力まで押してしまった。

すると、一瞬遅れて強い加速と共に亜久留はシートに押し付けられ、機体は勢い良く上昇した。

『バカ!高過ぎだ!着艦やり直し(ウェーブオフ)せよ。』


亜久留は一旦所定の高度まで上昇し、また進入経路に入った。

(ダメだ、頭がぼーっとしてる。本当にこのままだと死にかねない。)

そして、2回戦目、今度は、成功した。

(良かった~取り敢えず早く風呂に入ろう。)

前にいるプレーン・ディレクターの指示で(もちろん手信号(ハンドシグナル))、駐機エリアに機体を停止させた。

エンジンその他機器を全て停止させた後、風防(キャノピー)を上げ、機体を降りた。

亜久留は甲板に立つと軽い目眩に襲われた。

(あれ、なんか立ち眩みかな?)

一瞬体がよろけたが、すぐに姿勢を建て直し、艦橋(ブリッジ)に入った。


エレベーターを降り、レディ・ルームで着替えると、亜久留は一目散に自室に向かった。

自室で着替えとタオルを持つと、男子用大浴場へと行く。


「風呂、風呂、ジャパニーズfuro、yeah♪~」


等という訳の分からない(分かったものじゃない、むしろ分かりたくない)鼻歌を口ずさみながら大浴場の前に来た。

(これが俺の待ち望んでた風呂だよ!)

亜久留は数秒で着替えると、浴槽へダイブ!ではなく、体をしっかりと洗ってから浴槽に浸かった。

この大浴場にはいろんな人がいた。ヒウラ隊の人、甲板でオペレートしている人等だった。

(やっぱり人気あるなぁ~)

ゆっくりと疲れを癒す様に浸かった後、更衣室で、コーヒー牛乳等が売っている自販機(無料(タダ)!)でコーヒー牛乳を飲み、部屋へ戻った。


何か部屋が妙に騒がしかった。

(ん?どっかで聞いたことある声だな。てか、俺テレビつけっぱなしだったっけ?)

何となく悪寒を感じた亜久留は、艦長に言って部屋を変えて貰うよう直訴しようと決意、歩き始めた。

「おい。」

背後から何やら声が聞こえた気がする。多分幻聴だろう。

「おい、亜久留君、無視するなよ。」

亜久留は冷や汗が止まらなかった。

「あの…人違いだと思います…」

「亜~久~留~君~キミは殺されたいのかな?」

「マジすいませんでした。それだけはご勘弁を。」

そこに居たのは……外交官の娘、キャシー・ワークスだった―

最後まで読んで頂き有り難うございました。

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