対艦戦と空中給油
色々あり、遅くなって申し訳ありません。
今後ともよろしくお願いいたします。
日和は準鷹CDCからのふざけているとしか思えないメッセージと共に送られてきた任務を開始した。
①―MFDに映していたデータをHMDに映し出し、攻撃目標までの航路をプロットする。
②―攻撃目標をセットしたら、最適な速度と高度を稼ぐため手動操縦から自動操縦に切り替える。
③―兵器を“GUN”から“AGM-158”に変更する。
④―一応全機電波妨害を仕掛けておく。
これで一通りの準備は整った。後は今回の攻撃目標であるEACUの空母、広東に向かうだけになった。
(確かAGM-158はスタンドオフ・ミサイルだからある程度の距離から撃てるわね。)
そして―
データリンクにより表示された航路を辿り、何とかAGM-158の射程内に空母を押さえた。
(ここなら安全に発射、離脱可能空域なはずだけど…)
日和は空母をロックオンした。
(安全装置ON、兵装AGM-158、問題無し。)
「フォックスワン!」
サイド・スティックのボタンを押した。
前を見ると、小さな飛行機のようなものが飛翔していく。
(お願いだから当たって。)
そう願いながら日和は戦線を離脱した。
〈同時刻〉
ヒウラ③ 〔七波 亜久留〕
(何だ?)
亜久留はその時丁度MFDのデータリンク画面を見ていた。
(EACUの空母が撃沈された…)
その事実を本当かと見極められずにいた。
(取り敢えず無事に帰還出来れば良いからそこまで重要な案件じゃないな。)
その時―
『ヒウラ隊、ジュオだ。只今より全機帰還開始を指示する。全機ポイントTAKOへと直行せよ。』
「了解」『了解』
『ヒウラ、ジュオ。オールエアクラフツ、クライム、エンジェルス25、アンド、フォローデータリンク。』
同時に各自のHMDには、ポイントまでの航路が表示された。
(早く戻って風呂にでも入りたい…)
亜久留はデータリンクの指示に従って飛行を始めた。
〈数分後〉
ポイントTAKOにはヒウラ隊4機が集合していた。
(おいおいちょっと待て、何故ヒウラ④が居るんだ?って言うかまだ生きていたのは嬉しいけどさ。)
ヒウラ④〔佐久間日和〕
戦線を離脱した後、日和は電波妨害を解除し、データリンクを受け取れるようになった。
(どれどれ、えっと指示はっと。)
丁度その時データリンクにはヒウラ隊に対する指示が入っていた。
(うんうん、なるほど、TAKOに向かえば良いのね。)
データリンクには巡航高度で表示していたが、隠密性を高めるため低高度を飛んでいた。
だから亜久留のレーダーには日和の機影が映っていなかったのだ。
ポイントTAKOで合流したヒウラ隊の機体達はそのまま隊列を組み、帰還ルートを巡航高度で飛んでいた。
太陽の光に照らされて、海と機体がキレイに反射している。
そんなこんなで飛行していたヒウラ隊の機体達は、遂に〔準鷹〕CATCCの管制圏内に進入した。
『ヒウラ隊、CATCCだ。現在、ラッシュのため着艦許可は直ぐに出せない。今のうちに給油が必要な機体は進入経路02へと直行せよ。』
この時点で給油が必要だったのはヒウラ④だけだった。
よって亜久留達は通常の空中待機場所へと向かい、日和は進入経路02に向かった。
進入経路02には、空中給油機であるKC-4が旋回待機している。
昔の米軍等では戦闘攻撃機が空中給油機の代わりを勤めていたが、今では専用機が待機するようになった。
日和は進入経路02への進入を開始した。
「タホ、タホ、ヒウラ④。リクエスト、アプローチトゥタホ。」
『ラジャー、フライトゥポイントYankee』
日和はポイントYankeeの座標を入力し、そこへと向かう。すると―
『ヒウラ④、ウィファインドトゥユー。リドューススピードトゥ200』
日和は機体速度を200ノットに落とし、機首にあるプロープを展開した。
その時、目の前にKC-4の姿が見えた。
主翼のポット付近から延びている円錐状の物体があるのだが、そこにこのプロープを差し込まなくてはならない。
(これを失敗すると、大変な事になるわね…)
着艦も緊張するが、空中給油も中々緊張するものだ。何故なら、誤ってこのバスケットをエンジンに吸い込ませよう物なら、どんな事が起こるか分かったものではないのだ。
(慎重に、落ち着いてやれば問題無いはず。)
日和は機体を近づけながらプロープとバスケットの位置を合わせるそして―
(やった!成功した!)
見事、プロープをバスケットに差し込むことが出来た。
そのまま少しの間、必要最低限の給油を済ませ、進入経路01へと飛行を開始した。
(はぁ…まだ着艦が残っているわね…)
日和は憂鬱な気分になった。
プロープアンドドローク方式…主に海軍等で採用されている空中給油方式。
空中給油機から延びているバスケットに航空機自らのプロープを差し込む為、パイロットは高い技術を必要とする。