空中戦2
今回もよろしくお願いいたします。
亜久留が撃墜していた時、ヒウラ隊の01&02VSJ-31①、04VSJ-31③の構図が成り立っていたが、その内のヒウラ04とJ-31の姿が消えていた。
因みにJ-31②は先程亜久留によって撃墜されている。
(あれ?04とJ-31③は何処に行ったんだろう。そもそも04て誰なんだろう。)
データリンクから呼び出した今日のメンバー表を見た。
(えーとどれどれ、ヒウラリーダー 嵩原隆也、ヒウラ02 堀河千春、ヒウラ03 七波亜久留、ヒウラ04 佐久間日和―ってえ!?)
そう、ヒウラ04の操縦者は亜久留が初日お世話になったあの人だったのだ。
(嘘…だろ…まさか撃墜されているとか無いよな、冗談にも程があるぞ。)
『ホークよりヒウラへ、J-31の帰投開始を確認、交戦を終了せよ。』
「ヒウラ03よりホークへ、1つ聞きたい事がある。」
『何だ?』
「ヒウラ04はどうした?」
その時、
『あ…』
(!?)
基地に向けて帰投をしていたJ-31が突然消失した。
(電波妨害か?それとも―)
『ホークより、ヒウラ隊。先程のJ-31だが撃墜されたものと思われる。』
(撃墜だと…?どういう事だ?)
〈数分前〉
ヒウラ④〔佐久間日和〕
J-31が出現した直後、日和のHMDには準鷹CDCからの指示が送られていた。
『CDCよりヒウラ④、EPモードに移行し、敵味方問わずに電波妨害を仕掛け、隠密に撃墜せよ。』
(やっぱり…本来の任務はこっちだったのね。)
日和はマイクスイッチをダブルクリックし、〔肯定〕の意味である『ジパー』で応答した。
日和はサイド・スティックにあるスイッチを下げ、〔EPモード〕に変更した。
そのまま少し余裕があったためMFDを操作し、全機電波妨害(完全ステルス)モードを起動させた。
現在日和が積んでいる兵器はAIM-120×2、AGM-88E×2、AGM-158×2―
要するに対空ミサイル×2、対レーダーミサイル×2、対艦ミサイル×2の計6発だ。
(さて、一応電波妨害は仕掛けたけど、このままだと少し心配かな。)
日和は電波妨害を仕掛けた後、スロットルレバーを前に倒し、A/Bを使わない最大推力であるミリタリーパワーにした。
背後からはエンジンの回転数が上がった『シュィィン』という音が聞こえてくる。
速度を上げると同時に、ステルス性をもう少し上げるべく高度を落とし、さらにレーダーから写り難くした。
(これで大丈夫だと思うけど…万が一気付かれたらどうしよう?)
しかし、肝心のJ-31はもう目視で確認出来る位置まで入って来ている。
(まぁ気付かれてはいないようね…)
兵装を“AIM-120”から“GUN”に変更、機首を引き起こし、インメルマンターンで敵の背後に近寄る。
(ごめんなさいね。でもこれも任務だから。)
日和はサイド・スティックのボタンを押した―
「!?」
本来なら機関砲が火を噴くはずだったのだが、その代わりに出て来たのは―赤い閃光だった。
(何これ?まさか…ABL!?)
閃光に当てられたJ-31は…見事に燃料タンクと風防を撃ち抜かれ、一瞬ではあったが風防内が真っ赤に染まった。しかし、機体は直ぐに爆発、火球となって跡形もなく消えた。
(F-12…この子は危険過ぎる。今までとは比べ物に成らないくらい危険度を誇っているわね…)
多分由奈はこの装備を全て知っていて自身の航空隊に導入したのだろう。そう考えるだけで鳥肌が立ってきた。
(さて、次の攻撃目標はこのJ-31ね。)
そう、ヒウラリーダー達と交戦していた機体だ。
日和はミリタリーパワーのまま低空飛行を開始、J-31の背後に付く。
(この射程だと、AIM-120が一番良いかしら。)
日和は“GUN”から“AIM-120”に兵装を変更、電波妨害を仕掛けながらロックオンする。
(安全装置ON、その他問題無し。フォックスワン!)
サイド・スティックのボタンを押し、ミサイルを発射。機体下から白煙が延びていく。
相手はロックオンされたことにも気付かず撃墜された。
日和はとりあえず電波妨害を解除し、ヒウラ隊が待ち受けるポイントに向かう予定だったが―
『ジュオよりヒウラ④、せっかくなのでAGM-158も試してきてくれない?目標データは送るからさぁ~いい返事期待してるZE☆』
などというふざけたメッセージがHMDに表示されていた。
(はぁ?ふざけるのも大概にしてよね!何よ最後のZE☆って。準鷹のCDC指揮官もふざけ過ぎでしょう!何で退艦処分にならないのかしら?)
そしてMFDには敵艦隊の位置がプロットされていた。
(はぁ…やるしか無いわね。)
日和はしぶしぶ『ジパー』で応答した。
ABL…対空レーザー兵器。昔米軍がAL-1を使用して実験していた技術を応用し、さらに威力をあげたものをF-12は搭載している。
F-12その2…ECM交戦能力はEA-18G「グラウラー」をも凌駕するとも言われている。