表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
都市艦の日常  作者: North west color DELTA
空母編
15/26

Akuru on the bed

明けましておめでとうございます。

本年も宜しくお願い致します。

「ピピッ、ピピピ、ピピピ」

「ふわぁ~って何か揺れてる!?」

亜久留が目を覚ました場所は―

「そうか、昨日から空母に配備されたんだっけ。」

―そう、空母準鷹のベッドの上だった。

「ってダラダラしてらんねぇ!」

すぐさま亜久留は着替え始める。

「やべぇ、このままだと朝飯に間に合うかわかんねぇ!」

着替え終わった亜久留は全速力で食堂へと走って行った。


「はぁ…はぁ…何とか間に合った~」

全速力で走って来た亜久留は食堂にようやく着いた所だった。

「しっかし遠すぎだろ、ここ。」

亜久留の寝室から食堂まで約100メートルはあるのだ。

「走って来たせいかあまり腹が減らねえなぁ。」

「朝はちゃんと食べた方が…」

「ん?貴女は誰ですか?」

「ひゃぅ!」

「あ、あの…」

涙目になっている彼女を見て亜久留は少し強く言い過ぎたかな、と反省する。

「すみません、余計な事を言ってしまって…私は伊森由奈と言います。」

小柄で何処と無く小動物の様な印象を与えている彼女は意外にもF-12の指揮官だったりするのだ。

「いえ、こちらこそ無礼を失礼しました。」

(こんな人が飛行隊(スコードロン)司令(コマンダー)だったなんて…意外過ぎるだろぉぉぉぉぉぉ!さらに庇護欲をそそるだろうがよぉぉぉぉぉぉ!)

「もし良かったら一緒に食事しませんか?」

(おいおい、上目遣いとか反則過ぎだろぉぉぉぉぉぉ!

何?この人天然なの?ねぇ本当なんなのこの人)

「はい、では御言葉に甘えさせて頂きます。」

そんな亜久留を周りの人々は哀れむ様な視線を送っていた。

「「頂きます。」」

準鷹の食堂には色んなメニューがあるが、二人はモーニングセットを頼んだ。

二人は黙々と食べていたが、不意に由奈の方から話しかけた来た。

「そういえば人のこと言えないんですけど、時間、大丈夫ですか?」

「!!」

亜久留達が所属している飛行隊のミーティングがあと10分で始まる所だった。

「よひ!ふふにひぇましょう」※訳よし!直ぐに出ましょう。

そして乱暴に立ち上がると、物凄い形相で走って行った。

「ふん、我が飛行隊のミーティングに遅れそうとは、良い度胸だな。」

亜久留が見えなくなった直後、由奈の態度が急変した。

周りで食事を摂っていた人々は亜久留に対する不安と心配が混じった表情で見ている。

「お前ら何か用か?」

その瞬間、一斉に食事を再開した。

由奈はやれやれ、といった表情をしたあとミーティングルームに向かった。

亜久留の波乱な日々が始まる―


何とかミーティング開始5分前に間に合った亜久留は適当に後ろの方の席に座った。

もう殆どの人が座っている。

(やべぇ、遅れる寸前だったぁーアブねえ。)

そして―

「これから今日の飛行前打ち合わせフライト・ブリーフィングを始める。」

「と、その前に由奈司令の挨拶だ。」

その瞬間、亜久留を除く全員の表情が固まった。

「は…はい。え~と…今日も最低限の安全を心掛けて又無事にここで会いましょう。」

「有難うございました。では今日の訓練の内容だが―」

今日はCAP(空中哨戒)、対艦、対レーダー訓練をする手筈になっているのだ、が…

「―訓練の内容だが、CAPと対艦訓練のみを行う。

当初予定されていた対レーダー訓練はUAV(無人航空機)班が行うことになった。以上、解散!」

ブリーフィングが終わると、一斉に隣のレディ・ルームへと入り飛行準備をする。

「えっと…俺のロッカーは…これか!」

亜久留のロッカーのプレートには金の下地に黒で“Akuru”と書かれていた。

「おっ、いつものが入ってる。有り難いな。」

そこには愛用のGスーツやヘルメット等が入っていた。

(一体どんだけ用意周到なんだよ。恐ろしいな。)

流石に家にはヘルメットやGスーツは()()()()()()

つまり、亜久留が着替え終わった直後に盗んできたと言うことになる。

背筋にゾッとした感覚を味わえるのも束の間、すぐ近くにある階段から甲板に上がらなくてはならない。

亜久留は即座に階段を掛け上がり、自分が乗り込む機体を探した。


甲板では発艦作業中でピリピリしている為、余計な真似はしてはならい。

そんな中、亜久留は即刻グレーに塗られた機体を見つけ甲板での整備士であるプレーン・キャプテンとチェックを始めた。

「燃料、ウエポン、機体の状態は全て大丈夫そうですね。」

「ええ、特に何の問題も無いと思います。ではログにサインを。」

亜久留はこの機体の飛行履歴書(フライト・ログ)にサインをした。

サインが書かれた事を確認するとプレーン・キャプテンは離れていき、機体の前でエンジンスタートの指示を出す。

亜久留はエンジンを手順通りに、プレーン・キャプテンと手信号(ハンドシグナル)で確認しながら始動させていく。そして―

「ヒュラ03プライ・フライだ。プレーン・ディレクターの指示に従いカタパルトNo.2へと走行(タキシング)せよ。」

了解(ラジャー)

亜久留はF-12の風防(キャノピー)を閉めると、前に現れたプレーン・ディレクターの誘導でNo.2カタパルトへと走行する。

今の時間は発艦機と着艦機のラッシュの為亜久留は4番目の発艦となる。

「あ~暇だわ~」

無意識の内に本音が出てしまっていた。



最後まで読んでいただき有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ