(non title)
●ユリとショウタのメールのやり取りが始まって、早一ヶ月。 それは、もはや日課となっている。
そして、その内容は本当に他愛のないモノだ。
メールの内容
宛先:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:友達できた(^_^)/?
そっち楽しい?
送信者:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:結構できたなー(^_^)/
方言通じんけん
ちょっと疲れるけど(-_-;)
まあまあやねー(- -)
空気はそっちのが美味いょ
(*^^)ノ
でもさ、
やっぱ、そっちがいーよ。
ユリが おるけんね(^-^)
宛先:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:もー(^_^*)
そげん言ってから
浮気しとったら
承知せんけんね( °-°)フフ
送信者:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:こわッ(°□°; )!!
気をつけます(^_^;)
宛先:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:よし(*^_^*)
という感じだ。それは毎日、ユリの中でエネルギーに変わっていた。
もう、依存症と言っても過言ではないだろう。 今のユリにとってケータイは、まさに命の次に大切なモノになっていた。
●話は変わるが、ユリはこの一年で大きく変化した。
正確に言えば、ショウタがユリを変えたのだ。
●それは半年前。 ユリが六年生になったばかりの頃。
これから一年間を共に過ごす班を決める、クラス会議中のこと。
ユリの隣の席になったショウタが、ユリに話しかけた。
学年は上がったが、クラス替えはしていないため、ユリはショウタがどんな人物かはだいたい知っていた。
ユリは当時、今よりずっと内気でおとなしい子だった。そのため五年生のとき、ほとんどクラスに打ち解けることができていなかった。
一方、ショウタは真逆の存在。彼を嫌う者はこの学校にはいないだろう…それほどまでに、彼は人に好かれていた。非常に明るく、クラスに笑いを産むのが得意だった。
ユリとはあまりに釣り合わない相手。
ユリもそう思っていたからだろう。 本当に驚いていた。
そして、ショウタは言った。
「エトウさん、だよね? 隣り同士、仲良くしよっ!」
その微笑みに、その差し出された手のひらに、エトウ ユリは吸い込まれていった。
しかし、それはあくまでユリにとって信じられないことだっただけで、ショウタはだいぶ前からユリのことを気にしていた。ただ、そのことにユリが気付いていなかった…それだけのことだった。
それからというもの、ショウタはユリに付きっきりだった。 そして、ユリもショウタの影響を受けて変わりつつあった。
「伝えたいことは自分で伝えなよ」
「もうちょっと前に出ないと。 それじゃダメだよ」
「笑った方がいいって。絶対そっちの方が可愛いよ」
「ユリと一緒だと、俺、すっごく嬉しくなるんだ」
たくさんの言葉を貰って、ユリは内気な性格が、少しはマシになった。 笑顔を浮かべることができるようになった。 友達ができた。 ショウタのことを、好きになった。
そして、言葉では貰えないモノも貰った。
ユリの頭の中には、もう、ショウタしかいなかった。
それでも気付けなかったのか。それとも、だからこそ気付けなかったのか…。
●ショウタが引っ越して、二ヶ月後の夕方。ユリは宿題を終わらせて、疲れたのか、眠っていた。
その時からだ。
このケータイに、彼のメールがくるようになったのは。
ユリは、着メロの音に気付いて目を覚まし、誰かからのメールが届いたことを知った。
それは、知らないアドレスからのメールだった。 ユリは、その重い瞼を開いて、「迷惑メールかな…?」と言った。この二ヶ月でユリは、多少の知識をつけていた。
そして、そのメールを開いた。
ユリは、ユリにとって不思議なモノを見た。そのメールの内容は、
送信者:◇◇◇◇◇@ezweb.ne.jp
件名:(non title)
本文:ゴメンね!
遅くなっちゃった(>_<)
ケータイ買ったぜ!
以上。
ショウタからでした!
(^^)/またなー。
「どういう…こと……?」
ユリは、そのメールの内容を、信じることはできなかった。
それでも、何かが引っかかったのか、ユリは[ショウちゃん]からのメールを読み返し始めた。 そんなことをしても、意味はないのに。
その馬鹿な行為は見るに耐えなかった。
だから私は、最後にもう一度だけ、メールを送ってやった。
ケータイから着メロが鳴る。
それはユリが今まで、ずっと大好きだった、音。
そしてユリは、たった今送られてきたメールを見て、困惑の表情を浮かべた。
送信者:ショウちゃん
件名:Re2:Re2:Re2:Re2:Re2:
Re2:Re2:Re
本文:やっと気付いたんだね。
残念! 遅すぎたネ☆
タイムオーバー(@_@)
ユリがケータイをベッドに放り投げた。 私はケータイ画面から、華奢で青白く、腕力のある腕を出して、ユリの顔面をカーペットに叩きつけた。
そして 私は ユリを
●ユリの泣き顔は、今まで私に見せてくれた…どの笑顔にも負けないぐらい、最高に面白かった。




