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チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
37/51

プリンは大好きです

 プリンは好きですかと問われたら大好きですと答えるクロウです。


 スウィーツは色々と食べ歩きました。

 スーツ姿で女性だらけのお店で楽しむ事ぐらいは普通にしてましたね。

 お気に入りの店は松濤のチョコレート専門店がだす濃厚なショコラのケーキ。

 芦屋に本店のある店のクレームダンジュも捨てがたい。


 そんなスウィーツ大好きが元でプロには負けるけれど自分でも簡単なスウィーツは作っていた。

 男子校時代からなので経験は豊富だ。

 文化祭では毎回クレープやリンゴ飴などを作ってたぐらいにな。

 そんな理由でこの世界へ来てから数日、体がどうしてもスウィーツを欲しがったので作ってたんだよね。


 作ったのは焼きプリンとも言われる、クレームブリュレ。

 カスタードの味には少々自信がある。

 新鮮な素材を集める事が可能な俺だからこそこの世界で再現できたと自負している。

 バニラビーンズを採取して作った、ククク流石に苦労したよ。

 お酒はブンさんに分けて貰い香と味を何度もフランベして確かめた。

 理解はしてくれたが怒られました。

 表面はちょっと砂糖を薄めにして焼き上げ、最後にかけたのは山桃と桑の実のソース酸味強め。

 まあ、幾つか同時に作ったんだ、一つ献上したところで問題はあるまい。

 但し他は譲らんぞ。


「見抜いたのを即座に感じて態度を改めましたね」

「ええ、元来無駄な抵抗をする気はありませんから」

「で、此方はなんでしょうか。

 なにやら綺麗なガラスの器に入っていますけれど。

 見たことがありませんね、少し甘い匂い?」

「シエスタに楽しめるようにと作ったスウィーツです。

 此方を食べたら先ほどの事はお忘れください」

「それほど甘い物は食べないのですけれどね」


 なんだと。

 いや、確かに町で食べたケーキいうか砂糖の塊は高い今一食べきれない、しかも保存食かよと思う触感だったな。

 どれ程に苦いお茶でも口が甘くなるような味だった。


「まあ、一口食べておきに召さなかったら俺が食べちゃいますから気にせずにどうぞ」

「いいえ、其処までクロウさんの自信がある食べ物でしたら問題はないでしょう、ええ、味わわせて頂きます」


 意外に食いしん坊キャラなの。

 いいのに余ったら俺が食べるしさ、ソースのが其々違って一種類づつなんだよね。

 俺も一つ取り出して頂こうか。

 お茶のお替りも入れて準備万端。


「ッ、…………」


 目を見開いたのは美味しかったと言う事か。

 うん、人は本当に美味しいと無言になるよね。

 言葉にならない叫びをあげていることだろう。


 一瞬止まったスプーンが再度焼き上げた飴状になった表面を割って、ソースとカスタード、生クリームを掬う。


 これで俺の安寧は守られた、危なかったよ。

 多少の犠牲は致し方あるまい。

 次はベークドチーズいや激安風チーズケーキもいいな。

 だがそうなると本格的にブンさんの調理場に入らせてもらう必要がある。



 暫くの間は無言で幸せそうな笑顔を見れた。



「クロウさん、大変美味しく頂きました。

 何があったかこの数分間の記憶が飛ぶほどに美味でしたね」


 やはり砂糖の塊が高級品ってイメージなんだろうな。

 あとは保存が効くからって理由もあるだろう、西洋の本場の伝統的なお土産とかだとマジですかと思う程に甘いお菓子は多かったからな。

 試食してからお土産にしてくれと何度も思ったものだ。

 食べ方とか目的が違うのかね。

 キャラメル系とかすっごい甘いのなんて一口だけで十分だった。


 なんにせよ、クリスさんが喜んでくれて記憶を飛ばしたのなら良かった。

 甘さ控えめのカスタードに焦げた表面の飴、山の果実の酸味、生クリームで合わさる味のハーモニーだよ。

 クリスさんの目が俺のお皿に向いている。


「食べますか」

「い、いえ、只今までに食べたお菓子が何だったのかと思う程に美味しかったのでついつい見てしまいました」

「俺のはソースが違って黒酸塊と木苺のソースですよ、どうぞ」

「で、では一口だけ……頂きますね」


 フフ、我慢はいかんよ我慢は。


「はい、あーん」


 ふむ、美人さんにあーんする日が来るとは俺も遠くに来たものだ。


(…………成長しましたねマスター)


「……これもまた、美味しい、ですね。

 やはりクロウさんの出身地は理想郷のようですよ」

「まあ、毎日と言う訳にはまいりませんが、偶にで良ければまたお裾分けしますよ」

「約束ですよ」

「ええ、楽しみにしていて下さい。

 美味しいケーキも一人で食べるより二人、美人と一緒なら更に美味しさも増しますから」


 スウィーツ仲間ゲット。

 あれなのよね、気にしないと言ってもスウィーツはやっぱり一人で食べるのは侘しいもの。




 まあ、浮かれているなこの野郎とか思うだろ、現在高度3,000mの上空を飛行中だから。




 ちょっと前置きが長くなったけど、今シエスタと言いながらお茶を楽しんでいるのは飛行船の甲板の上、飛行速度は時速は200km程だそうだ。

 甲板からは残念ながら地上を見渡せないのだが、遠く広がる雲海を眺めることは何とかできる。

 魔術的な障壁がなければ外には出れない訳で、どんな技術なのかちょっと知りたいな。


 ぶっちゃけていうと景色は暫く変わらないから楽しめない。

 まあ、雲海を眺めてお茶をオープンスペースで飲むなんて中々に体験は出来ないと思うけどさ。


 よく飛行船でこんな高山病になりそうな高さまでと思ったが魔術的な何かなんだろう。

 それに、学生時代に俺が毎朝ランニングで登っていた山で1,000m級だったし、日本の登山スポットだったら、ちょっと高い山なら2,000m級なんてざらだったしな。


(王都までの直線距離にある山脈の高さが最高峰で2,300mです)


 妙高山よりちょっと低いぐらいだね。

 山脈を超える必要があるからこの高さに徐々に高度を上げたのか。


(後は出来る限り飛行系の魔物などに遭遇しないようにでしょう)


 それもあった、下位竜とか怪鳥には会いたくないね。

 優秀な専属の護衛がいるらしいけどさ。


 俺も今は不本意ながら護衛としていたりするんだよね。

 クリスさんが王都の王城まで、いや王様へ直接報告書を届けに行くイベントに強制参加になってる。

 護衛と言いながら俺がいないと始まらないという事態になってしまったんだよ。


 お墨付きなんだが、王様に見せて今後の作戦についての説明をしたいと言う事になったので、まあ辺境伯家ならば良いだろうと思って渡そうとしたらさ、俺から離れすぎると消えて異次元倉庫に戻る仕様だった事が判明した。


 名目上だけ俺は護衛としてクリスさんに着いて行かざるを得なかった。

 クリスさんは報告書と俺という荷物を王様に見せるために行くらしい。

 若干クリスさんを可愛がっている王様の希望もあったようだけどね。


 ――カンッカンッカンッカンッカンッカンッ


「甲板にいらっしゃる乗客の皆さま、至急船内へとお入りください。

 繰り返します、甲板にいらっしゃる乗客の皆さま、至急船内へとお入りください。

 只今より緊急降下いたします」


 誰、フラグ立てた奴。

こっそり。

もう一つの方が今は興が乗ってたり……

http://ncode.syosetu.com/n7401dn/

お暇ならばご一読ください

いやこっちも更新頑張ります、はい

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