表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
33/51

微笑乙女

 ソフィーさんは獣人族の孤児達を積極的に保護していた彼女の師匠でもある先代院長の意思を継いで、一人で問題に立ち向かっている。

 これが聖女か。

 そう思う程に聖女要素を持っているソフィーさん。

 泣き虫なのに芯は強く治療魔法の腕前はこの都市で最も優れていると言われているそうだ。

 容姿は言わずもがなである。

 立派な山脈を若くして持っている。

 容姿は関係ないけれど、それだけの人物だからこそ、なんとか孤児院を維持しているのだろう。



 食事も終わり、後片づけは子供達の仕事だそうなので一部屋借りた。



 薬草は簡単に乾燥させるだけで保存は可能ではあるのだけれど、やはり処理して密封した容器に入れるなどした方が効果が長持ちする。

 それに、何か手助けをしてあげたいではないか。

 と言う訳で、クリスさんに怒られない程度に品質を抑えて、薬と魔法薬にしていく。

 一部は売ればお金になるような酔い覚ましなどの薬も作れるからね。

 錬金術で作った魔晶石製の試験管の容器に保存の魔術を施しておけば何時までも使えるだろう。

 子供達が採取していた薬草だけでもそこそこの量の薬品が出来上がる。

 本当ならばすり鉢ですり潰して、魔力を含んだ水に入れてとか、蒸留水に浸して云々、呪文を唱えながら火にかけるとか、水分を飛ばして成分を取り出すとかあるのだけれど。


 全部ぶっ飛ばして出来るのがアイちゃんクウォリティー。


(マスター作成した薬品、魔法薬の説明書もつけておきました)


 異次元倉庫内で全ての工程を終えて時間という問題をも解決している。

 更にはラベルと一つ一つの説明書付とか、相変わらずいい仕事してますねえ。

 流石アイちゃん頼りになるよ。


(使用しているのは全てマスターの能力と技術ですから)


 まあ、それでも感謝だよ。


(はい、感謝を受け取ります)



 孤児院を辞去する際に、数種類の薬品、ちょっと品質低めの魔法薬と一緒に森で今日仕留めた魔獣や動物の肉、村で交換していた野菜、小麦粉、塩、胡椒などを物納と言う事で寄付させて貰った。

 これならば教会に取り上げられる心配はない。


「それじゃ、子供達に宜しく」

「はい、起きたら残念がるかもしれません」


 子供達は流石に疲れたのだろう、俺が作業している間にお昼寝タイムで夢の中にいる。


「また伺っても構いませんかね」

「ええ、是非いらしてください」

「では遠慮なく、ではまた」

「はい、お気をつけて」


 ソフィーさんに見送ってもらって孤児院を後にして其のままブレーブスへと納品。

 休憩スペースでクリスさんを待ってボーっとする。

 周囲でヒソヒソと俺を見ては噂話のネタにしているようだが、地図に赤い印はない。

 だが聞こえてくる。


「あれが虐殺王」

「瞬殺の外道使いらしい」

「でもコレクターだぞ」

「何か卑怯な手を使ったって自白してたとか」

「コレクター野郎が強い訳がない」

「確かにさっき薬草を納品してたな」

「芋野郎とクリスさんとか釣り合わねえ」

「領主公認だとよ」

「どこかの貴族か王族なのか」

「ああ、奢ったって聞いた、盛大にパーッとやったらしい」

「卑劣&女帝か」

「語呂が悪いな」

「野獣&山猫、無双&国宝に続く凸凹カップルか」

「いや噂だとキティちゃんにまで手をだしたとか」

「なんだとっ野獣が黙ってないだろう」

「虐殺王、卑怯者、芋引き野郎、女誑し、正体が不明だな」

「それがまた恐ろしい、野獣を泣かせたって話もあるぜ」

「女帝をモノにするだけの何かがあるんだろ」


 色々な噂が飛び交っているのは本当なんだよな。

 しかし、酷い二つ名が付きそうだよ。

 所でクリスさんの女帝はちょっと……

 お前ら周りを見てから話せよ、俺が待ってるって事は理解出来てなかったか。


「面白い噂話が飛び交ってますね、卑劣王さん」

「いえいえ、お仕事は終わりましたか」

「ええ、滞り無く。

 一人残らず記録も済みましたよ」


 顔の表情が消えてるよ。

 恐ろしい、記録された冒険者が何をされるのか判らないがご愁傷さまです。


「おい新しい二つ名を考えろ、殺されるぞ」

「氷の支配者とかどうよ」

「バカっ、消されるぞ」

「統括はどうだ」

「そりゃ役職だろうに」

「じゃあ首領」

「却下だバカヤロウ」


 お前らさ、そこは二つ名を取り消せよ。なぜ新しくする必要があるんだよ。つか、せめてもう少しこう――クリスさんの可愛らしさとか美を褒めたたえるような表現をしようと思わないのかね、微笑乙女とかさ」


「微笑乙女だとっ」


 うむそうそう微笑みの乙女……


「恥ずかしげも無くサラリと褒めたたえつつ言い切りやがったぞ」


 あれれ。


「なるほどな微笑乙女」

「微笑乙女やるなあいつ」

「さすが婚約者か」

「確かにクリスさんの微笑みは最高だな、いいじゃないか微笑乙女」

「微笑乙女に賛成だな」


 腕が引っ張られたっ


「ああ、微笑乙女が卑劣王を連れ去った」

「いいな卑劣王、奴は卑劣王だな」

「あれは殺されるだろうな、アハハハ」

「だがそれがいい」

「卑劣王万歳」


 だまれ酔っ払い共がっ


 クリスさん何処につれていくのですかね。

 取調室は反対方向ですよ。

 プルプル震えている程にお怒りですか。

 そっち出口ですよ。


 足早に向かたのは普通にお城でした。

 微笑乙女なんて恥ずかしい二つ名を送ってしまったからか、クリスさんは無言モード。

 俺の二つ名が卑劣王か、色々混ざってるなあ。

 でも恰好悪い芋引き野郎よりはましだよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ