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チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
23/51

回れ右不許可

(マスターが治療行為の為に魔法を使用した事によって治療魔法がステータスに生えました。

 これを使用した治療行為はマスターが本格的に魔法らしい魔法、概念魔法の一歩を本格的に歩み始めたと言えます)


 概念魔法ね、効率の悪い魔法って言ってた分かな。


(概ねその解釈で間違えてはいませんし、遠距離攻撃だけでいえばマスターの開発している魔法の方が適していると言える部分もあります。

 ですが、概念魔法にも優れている点がありますのでご説明しておきます)


 確かに治療魔法なんて原因の特定以外は科学的な要素全くないもんね。

 魔法で細胞を活性化させたり、修復したり、うんファンタジーな力だわ。


(マスターの場合は魔力操作が桁外れに優れているので概念魔法の効率も非常にいいのです。

 他にも能力や技術、能力補正値などからのアシストも見込める為使い勝手は悪くないと思います。

 

 さて概念魔法が優れている点は、簡単に言えば完全に物理法則などを無視した現象を引き起こせることです、それだけ世界の理に干渉しますから消費魔力は多いですけれどその分を補うだけの物だといえます。

 炎を例えにしますが、マスターの考える方法で炎を生じさせてとなればその炎は対象を選ばずに燃やしてしまう訳ですが、概念魔法で作る炎の場合、自分は燃やさないけども相手に触れると触れた相手にのみ作用するというような炎さえ作り出せるわけです)


 炎の拳を纏って攻撃って事も可能だよってことね。

 確かにそれは魔法らしい魔法だわな。


(無意識下では既にそういった魔法も使われていますけれど、意識して概念魔法を使う事に意味があるのでご説明しました)


 無意識下でか、何やってたんだろうか。



 考え中。ポクポクポクチーン。



 システムの使用もそれにあたるか、あとは身体能力の補正とかもかな。

 炎じゃないけど属性:雷を利用した電撃もそうか、自分がダメージ受けてないもんな。

 雷なんて普通に使えば自分に先にダメージ与えるし。

 あんまり考えないで使えてたから概念魔法だと言われても気が付かなかったな。

 ん? 待てよ、そう考えると効率のいい魔法を使ってい気でいるけど、これも概念魔法を利用、経由した魔法なのか。

 ふむ。


 勉強になったな、サンキュー。


(いえ当然のサポートです)


 そんな脳内会話での概念魔法の講義を終えたわけだが、朝食を食べ終えた俺はブレーブスに向かっている。

 昨日約束したからね。

 既に9時に鳴る始まりの鐘を歩きながら聞いてるから、遅いと怒られるかもしれない。

 理由はあるんだよ、朝起きるのがちょっとね、疲れてて起きれなかったのさ。

 まあ、そんな理由で普通の冒険者より遅くの出勤になった。

 人の視線が痛いな……でもなんか変な視線も混じってる気もする、気のせいだろうかね。



 昨日は本当に色々と騒がしかったからぐっすりだったんだよ。

 あの後、部屋の下見も終わって一階の食堂に行ったんだ。

 そしたら、病気の治ったキティちゃんの件でブンさんが狂喜しつつ「娘はやらないけどな、感謝はしてるぜ」と礼を言われた、ブレねえなブンさん。

 でもキティちゃんちょっと困った顔してたからな、あの顔は嬉しいけど困るわって顔だった。

 気を付けないとお父さんなんてキライって言われて大ダメージを負うぞ。


 まあそんなやり取りをしてたんだが、病気の看護もしなくていいし、感染の心配もない。

 ならば働くのが当然ってのがこの世界のようで、働き者だなあと最初は他人事だった、まあ他人だしね。

 こんな流れで、夜の営業が決まったんだけど、病み上がりのキティちゃんが仕事をする訳にもいかないから手が足りない。

 人手を増やす必要があるなという話になっちゃった訳だ。


 ならばと、急遽お手伝いをする事にしたのさ。

 飲食店のアルバイト経験もあったしね。

 仕事はそんなに難しくなかったよ。

 能力で値段とか全部覚えられるし、計算は自動的に一瞬で終えるし。

 

 料理店兼酒場なので基本的にお会計は料理の注文時だしさ、ちゃちゃっと終わるわけよ。

 注文の伝票は書いたけど、全部頭の中に入っているからね、配膳関連は問題はなかった。

 けど客の注文を捌くのが大変なぐらい繁盛してるのよこれが。


 そりゃな料理があの美味しさだし、マルさんがいて、普段ならキティちゃんもいるから花もある。けど店主がブンさんだもんで違和感バリバリ。

 野郎の冒険者とかには睨まれるし。

 あれはキティちゃん狙いの奴らだよなぁ。


 そんな感じで臨時スタッフとして接客してたら、例のもう一人の受付嬢もちゃっかりと店に来てた。

 財布(男性)をもちろん連れてだったけど。

 俺が手伝ってるのを知ったのか、クリスさんに何か聞いてたのかわからないが、何故かお礼を言われた。

 だけどお礼を言われてもな、俺には関係ないんだがね。


 それよりも、俺的には、財布が気になったよ。

 受付嬢の注文する酒が高価過ぎてさ、財布に同情というか、開店するようにした事を一瞬だけ申し訳なく思ったわ。

 まあ財布は気にせず嬉し気に奢ってたから其れも一つの道だろうけどよ、俺なら財布にはなりたくないなあ。


 そんな感じの事が昨夜はなんだかんだとあったが、それで終わらないのがテンプレなんだろうな。

 無事に店の営業が終わった時にキティちゃんも含めて軽くデザートでも食べましょうとなった時に、キティちゃんが自分の呼び方を「キティって呼んでね」とか俺に指定したもんだから、ブンさんが勝負だと言い出した。

 呼び方だけでアウトかよ、沸点低すぎだろう。

 それにマルさんが面白がって――もしかしたら腕が治った事が嬉しかったのかもしれないが――腕相撲の勝負でどうといいだした。


 流れで真剣モードのブンさんと勝負をする事になるとか嫌がらせか、だって筋肉達磨とだぞ。

 いやさぁ、俺も自分の腕力がどれぐらいか知りたかったんだけどさ。

 勝負の結果はドロー、何あの筋肉ミチミチ言ってた、そのうち喋りそう。

 俺も筋肉に対抗する為に補正値つかってたのに同等とかすげーな。


 ブンさんはまだまだ本調子じゃなかったんだろう。

 ただ「細いのにどこにそんな馬力が」と呟いてたけど。

 俺も吃驚だよ。

 だって今の補正値3.65だぞ。

 握力なんて多分元が70ちょいだったから255以上だ。

 腕力の測定はわからんけど、背筋とか色々ブラスされるのにそれでドローって。


 寝る時に筋肉痛になってました。

 若い体って凄い早いな。

 アレじゃなくて筋肉痛ね。




「おはようございます。

 クロウさん、()()、おやりになられたようで何よりですね」


 うわぁ、最高の笑顔が待ち受けていたと思ったら凍るような微笑だった。

 だからそれで喜ぶ性癖はもってませんよ。

 組合に着いて待ち構えていたのは周囲も凍らせる雰囲気を漂わせている絶対零度の美少女だった。

 俺、右回れ右して帰っちゃ駄目ですかね。

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