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チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
22/51

懲りない男

「娘共々とはなんだぁ、娘はやらんぞぉ」と叫んでたオッサン、もとい、ブンさんは置いといて。


「では皆さんにならって、私の事はクリスと呼んでいただければ」

「おいおい、クリスティーナをクリスなんて呼んだ日には暴動がおきるんじゃねえか。

 でも面白いか」

「フフフ、荒れそうよね」

「え、いいんですか、じゃあティーナさんでお願いします」

「クロウ様、ティーナは禁止です。

 クリスで」

「残念です。

 クリスさん。

 では、自分の事も出来れば様ってのを無しでお願いできませんか」

「フフッ、わかりましたわ、クロウさんと」


 戦々恐々としてるブンさんと不穏な予想をするマルさん。

 確かに、クリスティーナさんは人気がありそうだしね、呼び捨てでクリスなんて言ったら何処かで闇討ちされそう、撃退するけど。

 でも、クリスか、クッ、ティーナと呼びたかったんだけどな。

 イメージ的に似合いそうだし、より親密な感じがするじゃないか。



 つまらぬ妄想を垂れ流してた。



「では私は組合へ戻って色々と調整してまいりますので。

 クロウさん、また明日お会いしましょう」

「はい、ではまた明日伺います」


 あれ、何気に明日も組合に行くことになってた。

 疑問に思わずにさらっと、ティーナ流交渉術か。

 うわぁ、心の中なのにティーナ呼びしたら悪寒がした、クリスさん、恐ろしい子。





 クリスさんを見送ってから部屋に案内してもらいました。

 客を泊めていないと言っても時折酔っ払いを運び込む事があるらしく、十分に清掃はされてた。

 安宿っていう作りじゃなくて、備え付けのベッド、武器もしまえる広さのクローゼット、洒落た椅子に文机、洗面所に小さいバスタブに、トイレ付き。

 てっきトイレとか共同で風呂は外の公衆浴場だと思ってた。

 十二分に高級宿じゃね。


「元々冒険者だったから欲しかったなと思うものは備えてあるのよ。

 酔っ払いなんかを泊めるための、ベッドしかないような部屋もあるのだけど、ここは常連さん用にって作ってるからね」


 と、マルさんは言ってたけど、かなりなレベルだと思う。

 下宿できる身としては有り難いけれどね。


「ママ、お客さんなの」


 部屋を出た所で現れたのは美少女だった。

 クリスは第六感知的美人系でマルさんは姐御風のキリッとした美人そしてこの子は例えるならば可愛らしさがまだ残るどこか愛嬌のある美人さんといった風だろうか、多分年下だと思う。


「あら、やるわねキティ抜けだしてくるなんて」

「もう、ベッドに寝てるだけじゃすまないんだからね」

「あらそうね、そうそう、この方がクロウさん。

 キティの貰った薬を譲ってくれた冒険者の人で今日から下宿する事になったのよ」


 ウフフフと笑うマルさん確信犯ではないと思うが、それってお手洗いにもいけない状態にしてたんですか。

 プリプリと怒るキティと呼ばれたのは娘さんか。

 なるほど、ブンさんが溺愛しているのも判るわ。


「え、あの有難う御座います、カタリナです。

 そのキティって呼ばれてます。

 お薬のお陰で楽になりました。

 あ、でもごめんなさいまだ治ってないのに出歩いちゃって」

「いえ、大丈夫ですよ、クロウです。

 えっとちょっといいですか」


 美少女の病気を治すなんて当たり前だし、義務だし、治さない事自体が冒涜だし。

 冗談はさておき、ちょっと生えた技術も試したい。

 リンパ節、発疹部分を重点的にウィルスの除去をイメージ解毒と清浄の感覚かな、あと荒れた手足の部分の皮膚を治療っと。


(適切な処理がされた事を確認しました。

 快癒してます)


「あれれ」

「クロウさん、また(・・)やりましたね」

「えーと、もしかして」

「ええ、この病気に限りませんけど、治療薬が無い物って結構ありますよ」

「多分研鑽が足りないだけだと思います」


 キリッて言っちゃった。

 研鑽がとリアルに言い切ったが、病気に何故なってるかがわかってないだけじゃね。

 もしかしてあれか、日本でも病気を払うってやってたけどそこから進歩してないのかな。

 でも生薬もあるし、魔法薬もある……うーん。

 実際のところやったのは魔法での治療でしょ、研鑽もなにもないんだよね。

 この現状をブレイクスルーさせるには顕微鏡でも開発しないといけないのかね。


(魔法薬などで治療できているのは偶然からの適合などが多いです。

 熱を冷ますなどは出来ていますが、特定のウィルスを除去する魔法薬に対応させる事は出来ていないようです。

 よく流行する病には治験がくりかえされていますので進歩していない状態では無いですね)


 ステータスのごり押しが可能な世界だものな、癌とかはわからないけどね。

 テンプレでいけば癌だとかには回復魔法は危険とかあるし、でも生命力を回復させる魔法や薬が存在するからそこを食い止めればある程度何とかなっちゃうんだろうな。

 生命力を回復させることさえできれば体の免疫能力でなんとかする感じだろうな。

 それが追い付かないで病が進行したりすれば死亡する事になるんだろう。




 まあ、病気の原因を直接排除しちゃうって考え自体が魔法がないと無理なんだから何とも言えないけど。

 ウィルスを認識してない人からすればチートな治療ってとこか。


 まあ二人とも喜んでるしいいよね。悪い事じゃないさ。


 因みにさっき確認したらステータスにこんなん生えてたのよ。


【治療魔法:10】【治癒の女神:眼光炯炯】


 どう見てもセットです有難うございます。

 いや有り難いのは有り難いけど、なに注目されてるってより目をつけられた感じしかしない。

 多分いや、確実にブンさんの治療行為の結果だな。

 自重しないと自分にも害が及ぶ可能性があるってことだ、きっと治療魔法の10なんて居ない。


(治癒の女神様からの注目ですね、鋭い観察眼の補助が付くようです、視力系能力に統合されています、一部精密動作に影響もある模様、医療行為全般に特殊効果があります)


 それと他のステータス値も前回に確認してから気にしてなかったんだけど上がってた。

 え、気にしろって言われても強敵に合う訳でもなかったし。


 位階:4→6

 魔力生体障壁値:16520→17410

 魔力量:29700→32200 回復値 32/S

 生命力: 2100→ 3210 回復値 32/S   


 身体駆動: 3.17→ 3.65

 精密動作: 4.29→ 4.70

 反射神経:17.93→18.40

 思考想像:15.49→16.79


【錬金:6→8】【薬学:5→7】【剣術:3→4】【格闘:3→4】


 魔力生体障壁値とか高すぎだろうなぁ。


 さて、ブンさんの狂喜する様でも見る為に快癒したって教えにいこうか。

連投は続くんじゃよ


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