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チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
20/51

やったね専属受付嬢(予定)が決定した

 クリスティーナさんに今後依頼を受ける際は私が担当しますから他の所にいかないようにと釘を刺された。

 えっと冒険者で専属の受付嬢がつくのって其れなりに実績というかダブル後半ぐらいじゃないですかね。

 ニュービーで専属ってのは如何なの。


「あの、ニュービーなんで星の数とかランク別でいくと無理な気が」

「バスターやハンター、ガーディアンの担当窓口でしたら問題が御座いますが、コレクターの担当なら如何様にもできますので」


 如何様にも普通は出来ないと思います。


「コレクター担当は人気もありませんし、受付窓口も一つだけです。

 以前はコレクターの受付嬢をしておりましたし、バスター担当と交代するのを持ち掛ければ問題なくコレクター受付窓口になれますので。

 それにもう一人言い含める必要がある受付嬢もコレクター担当の受付嬢をやっていますから、上手に説得しておきますよ。

 ウフフフフ」


 そう言えばコレクター担当っぽい会話だったもんね。

 名前をまだ知らないお嬢さんご愁傷さまです、すいませんと心の中でだけだけど謝罪と応援をしておこう、頑張ってホントに。


「期待の採取専門のニュービーが居るとでも上には言っておけば暫くは問題はないでしょうからお任せください。

 それにクロウ様も今の所は単独の冒険者を希望されているようですし、色々と都合がいいのではありませんか」


 ええ、おっしゃる通りです、そこらへんを見抜いているのは例の第六感でしょうから反論は御座いませんよ。

 恐らくは、いや確実にクリスティーナさんは受付嬢の中でも特級だから縁を持てたのは幸運だと思う。

 あれか、これが幸運の効果なのだろうか。

 細やかってなもんではない気がするけど。


「それでクロウ、お前今何処の宿を取ってるんだ」

「いえ、それが領都に着いてすぐに冒険者組合へと向かったので、まだ宿は取ってないですよ。

 この後探す予定です」

「そうか、ならウチなんてどうだ、安くしとくぜ。

 つーか泊まっていけ危なっかしいからな」

「あれよ、この人なりの恩返しなの。

 よかったら泊まってくれないかしら」


 有り難い話だな、まず一番重要な飯が美味いからな。

 それに他に泊まるとなればきっとオッサン気にするよな。

 うんでもって他の何かで返そうとするんだろ。

 まあ何かと先輩冒険者として教えてもらえる事もあるかもしれないし、俺がちょっとやり過ぎるところとかわかってくれてれば楽だもんな。

 うん、料理もこの腕前でなら和食作ってもらえるかもしれない。

 

 それにお金は先ほど大量に手に入れたから宿代もある程度なら出せる。

 何と言っても店も清潔だし、普通に泊まるとなると良いお値段になるのではないか。


「領都を中心に活動するってんなら下宿扱いで構わねえからよ。

 冒険者なんてなあ殆ど宿にはいねえし、その方が気が楽だろ。

 朝と夜の二食付きで月に5000エール貰えば十分だぜ」

「まあそんなとこでしょ、洗濯物も任せてね」


 オッサンそれは安すぎじゃねえかな。

 それに奥さんも普通こういう宿って洗濯代とか別じゃないのかね。


「あ、但し、娘にはちょっかい出すなよ。

 俺と決闘して勝てた奴にしか娘を預けるきはないからな。

 手えだしたら死ぬと思っておいてくれ」

「ごめんなさいね、この人ってば娘馬鹿なのよ。

 お陰で娘が大きくなってから宿屋はやってなかったぐらいなの」


 一時復帰してでも薬草取に行こうとしてた位だからそうじゃないかとおもってたけどさ。

 オッサン娘に嫌われてないといいのだけど。

 そもそもオッサンに勝てる奴限定っているのか、オッサンに薬でも盛って衰弱させないと無理じゃね。

 あれだ、娘からキライって言われて痛恨のダメージを負っている状態じゃないと無敵な設定だろ。

 だが、今のオッサンは残念ながら戦闘力が少し落ちている。

 これは非常に残念な事なのではなかろうか。

 やはり心の赴くままにいこう。


「じゃあ、お言葉に甘えてお世話になります。

 それと内緒にしてもらう序と言ってはなんですけど、もう一つ位秘密が増えても一緒ですよね」


 毒を食らわば皿までと言いますよね。

 それにオッサンのワイルドな生き方にはちょっと憧れる部分があるし。


「まあ、この際知っておいたほうが良さそうな気がするからなぁ」

「ええ、クロウ様の事は知っておいて助言が必要かと思いますので」

「フフフ、娘の恩人ですものね」


 聞き様によっては酷い表現だが、自覚があるからね。


「それじゃ、ちょっと失礼します。

 ブーンさん痛いってどこが古傷になってますか」

「あー古傷かぁ、そいつは治療魔法でも治らなかったんでな、左足と左手だな。

 ちょっくら疼く程度なんだが力が最盛期みたいに入らなくなってな。

 それでまあ引退したんだがよ、言っておくけど後悔なんてしたことは一度もないぜマル」

「愛してるわ」


 チッ、ワイルドキャラがここまで似合うオッサンも珍しいな。

 なにこの格好がいい野獣。


「俺もだぜ」


 ほらそこ、抱き合ってないで、離れて。

 ったく強面のオッサンと美女(奥さんだけど)が抱き合ってるシーンみても嬉しくねえ。

 あれ、クリスティーナさんがキラキラした目でみてらっしゃる。

 こういうのって憧れですか。



 暫く美女と野獣は二人の世界に入っていた。



 盛り上がった二人が漸く落ち着いたところで。

 オッサンの体を直接触るのはちと勘弁願いたいので、触れないでいってみよう。

 怪我をして治療魔法でも治らなかったってのは幾つか種類が考えられたんだよね。

 冒険者は体を酷使するし、ダメージを負った場所を治療しても内部の損傷とかレントゲンの無い世界だから理解度が低いと思うんだ。

 しかし位階10の鑑定さんと探知と情報記録を使って痛みが生じる場所を解析すればどうよ。



 診断魔法を作成してみた。



 頭に浮かんだのは神経圧迫とか骨の変形や筋肉を巻き込んだ形で完治状態になってるとかだけど。

 防御に使う左の腕ってことで右腕の状態と比べてみた。

 医者じゃないからね、外科手術をしろと言われても無理だけど、見比べた感じだと、これなら何とかなるだろう。ビバ魔法。

 いつものじゃなくて、魔法らしい魔法の使い方ってやつでいこう。

 サポートよろしくアイちゃん。


(了解しましたマスター、これより魔法による治療行為、サポート開始します)


 恐らく治療すると痛みが生じるだろうと言う事で、まずは。


「左腕からいきますね」


 情報展開よろしく。指定部位限定で麻痺の魔法でいこう。


「おお、腕だけ麻痺になったみたいに動かねえ」


 情報展開で読み取れた原因は、この折れた事のある肘の骨が再生した部分。

 関節部分で骨と骨がぶつかってたみたい、周囲も炎症してる。

 さらに奇形に再生した事で神経を圧迫している事だろう。


 続けて、魔力操作でオッサンの魔力と同調させていけばいいよな。


(はいマスターの魔力、ブーン氏の魔力生体障壁値と同調を確認しました)


 それじゃ内部でこの奇形になってしまった部分を情報展開で読み取った右肘のイメージ同様の状態にするために魔法で一旦破壊、修復イメージ通りに肉体修復。

 この部分俺のイメージをトレースしたアイちゃんに任せるわ。


(限定権限受諾しました。

 治療行為、指定されて行程を開始。

 ――終了、情報展開イメージと誤差照合しました。

 問題はありません。

 麻痺を解除、権限を通常にもどします)


 ありがとう、流石アイちゃん、お疲れさまでした。

 いつもながら仕事に間違いがなかったわ。

 つーか早かったなけど、治療の行程を見れたのは面白かった。

 骨に魔力が纏わりついて行って徐々浸透して終わったらグニャって動いたのはちょっと感動ものだよね。

 でも不思議な感覚だな、自分の魔力をアイちゃんが操作してるときって。

 また後で検証してもらおう。


(了解しました、以前言っておりました魔法らしい魔法だとおもいますので検証いたしましょう)


「麻痺が治ったのか……っておい、こりゃあ洒落にならねえぜ」

「えっと続いて左足もいっとくので感想はその後で聞きますね」

「おいいい」


 叫ぶってことはどうやら問題ないみたいだな、さっさと同じ処理をしてしまおう。

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