表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チキン!  作者: せおはやみ
古の契約編
14/51

妄想してたら終わってた

 名前:――

 年齢:20

 性別:雄

 種族:六裂熊

 魂位:11

 魔力生体障壁:―――4500/4500

 魔力量:――――――5000/5000(回復値5/M)

 生命力:――――――5340/5400(回復値6/M)

 備考:――


 技術

【咆哮:5】【格闘:4】【隠形:3】【剛体:5】【疾走:2】


 アイちゃんからダメ押し気味に重要な要素を教えてもらって〆を取られた。

 重要過ぎて、六裂熊の鑑定結果を見逃すところだった。

 此奴、成長してやがる。


 早めに倒しに来て正解だったかもしれない。

 こっちも成長してる。

 ただ、種族的に上位種族だけあってか成長に必要な魔素が多いみたいなんだよね。

 かなりノペースで狩っていると思うんだけど、中々上がらない。

 他にも成長に必要な要素があるのかも知れないけれど、一歩一歩確実に行くのが俺のスタイル。


 此奴はショートカットする序だもんね。

 ステータス上でみれば俺が有利に見える。

 だがしかし、此奴は六裂熊という魔獣である。

 筋肉にしろなんにしろ素で考えれば強者であり、ナチュラルボーンキラー、野獣であり、生まれた時から戦闘を潜り抜けてきたプレデターだ。

 虎が何故強いのかと問うた話があったが、それは獣として生まれてきたから強いのだ。

 こいつはそれと同じだ。


 大量の魔力で水を生み出して包み込んでしまえば確かに終わりかも知れない。

 だけどそれで俺が成長するのだろうか。

 同じ格闘を持っていても此奴のそれと俺のそれでは違うだろう。

 魔力だけでみれば圧勝出来てるけれど強靭な生命力は此奴の方が上だ。

 真面に正面から確かに危険な相手である。

 だけど決して無駄に危ない戦いをする訳じゃない。


 急がば回れ、それが俺の考えた成長方法だ。

 実際、アイちゃんから教えてもらっている事はこの世界で戦う上で方法を理解するという重要な事だった。


 例えばこの魔法。

【土枷】土を操作して相手の身動きを封じる魔法。

 これで全身を覆うのは難しい。

 単身で挑んでいるからというのもあるけれど、魔力生体障壁値を上回る量の魔力をコントロールして土枷にしろ魔法を展開するのは集中力や適格なイメージを作り上げるのが大変になる。

 これは速度を上げるにしても、慣れていくしかない訳だ。


 だが、土枷を魔力量800で発動、六裂熊の後ろ足の膝下のみを拘束。

 イメージして魔法を発動させる事で発動速度を上げる事が可能になる。


 魔力生体障壁の部分強化や魔法を感じ取って動く獣だと少し難しいけれど、全体で4500の魔力生体障壁値となるのだから、部分的に800の魔力を流し込んだ魔力でなら十分に抑えつける事が可能。


 六裂熊の得意とするところは昨夜のように己が六足で巨体で駆ける瞬発力とその生み出した力を生かしての前足と中足での一撃である。


 大地を蹴り、接近すると六裂熊は想像してない対応を見せた。

 後ろ足が折れるのも厭わずに中足を使い束縛している土枷を真上からぶっ叩いた。

 同時に咆哮を放って、此方の足止めを狙うという器用さだ。

「グルァウゥゥ」重低音に魔力を伴った唸り声が響き渡る。苛立ちと憎しみ具合が判る大音声。


 六根清浄がなければ恐慌状態に陥ったり、体が動かなくなったりする状態異常が発生した事だろう。

 だがな、残念ながら俺は止まらないぞ。


 大地を踏みしめて、腰を捻り、槍を突き出す。

 喉笛を狙った一撃だったのだけれど、前足を犠牲に防ぎやがった。

 しかも筋肉を引き締めて槍を抜けなくしながら振り払われたので槍と共に飛ぶかどうかという選択肢だけが残された。

 槍を手放せば刀での近接戦闘か、若しくは無手での格闘。

 距離を取って魔法と選択肢は存在するが敢て一緒に槍を引き抜きつつ飛んでみる。


 こんな筋肉の塊と刀での近接戦闘なんてしたくないです。

 距離を取った状態になったが、後ろ足を犠牲にした事で機動力が落ちたにも関わらず、本能の赴くままにで突っ込んできやがった。

 同じ事をされるのを嫌がったのだろう。

 剛体の効果かダメージが思った程無かったのだろうか。

 面倒くさい奴だ。


 誰がそのまま待つものか。

 超高密度極厚のエアゲル状【障壁】を二枚展開してハの字型にしてある。

 今の六裂熊はビルの隙間に勢いよく突っ込んだは良いけど動けなくなった哀れな状態だ。

 両側にある見え難い壁を破壊したくても挟まった状況では自由に体が動かない。しかも弾力性があるので単に体を動かすだけではより深く拘束される。


 強者に打ち勝つために弱者が生み出したのが武である。

 強者だからこそ暴威という武をもってくるだろう事はこの際隅にでも放り投げておこう。

 要はこの弱者の用いる武とは創意工夫だ。

 剛拳に対して剛拳で戦うというのは相手の土俵に態々自らを省みず赴く愚を犯す事になる。

 同じだけの力を持つのならばそれも又良しであるが、失敗をした次兄の例を見てもらえればお解り頂けただろうか。



 妄想はさておき(閑話休題)



 重要なのは敵の攻撃を受けないで如何に倒すかだ。

 正々堂々、何それ美味しいの。

 そんなのは相手を上回る力量を持っていて初めて出来る事だろうよ。

 つまり勝つためには手段は選ぶ必要のないと思うのよ。


 因みに、横綱が卑怯な相撲を取っちゃだめなのは、横綱って言葉で判るだろうけど神様扱いだから。

 あれね綱を巻いてるご神木と一緒ってことね。

 相撲の起源が一応神事だ、天津神と国津神の話「ちょっと立ち退きしろや」とか恫喝なヤクザかよって側面があるよねー。

 おっといけない。


 しかし人間が引退までと言え神様を決めるってのが不遜っちゃ不遜だろうな、だから問題も起きるんだろうな。

 そんなこんなで、人間性や色々な物を考慮せず、スポーツとして強ければ何でもいいという考えなら、相撲を見ないで総合系でも見て楽しめばいいし、エンターテインメントが欲しいならばプロレスとかをお勧めするイッツショータイムである。

 しかし、人間って未だに人と人との格闘を楽しむ訳だ。

 ローマ時代とかとやってる事がなんにも変わらないと考えると人間なんて成長しないんだな。

 100年に満たない人生を送る種では精神は発達せんもんだなと思う。

 (いにしえ)の時代からラノベかっと突っ込みたくなる妄想文書が古今東西を問わずある。

 世界中でも見られるけども、兄妹婚からのヤンデレ展開とかうん、日本が始まったのは今じゃないらしい。


 そんなそこはかとなくよしなしごとを加速世界で考えていたお馬鹿ですが、勝負はもう着いた。

 ええ、考え事しながらも墨鴉を手に取り、魔力操作しながら身体駆動補正最大値での一撃で頸椎を切断した。

 基本的に甚振って苦しめる趣味はないので。

 真面目ではないけど。


 と、言う訳で。


 40万エールゲットだぜ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ