第四章 〈凶狂卿〉カクナルグ〈1〉
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編入初日にしていきなり中間テストと云う難関をおえた百川李は、あまりクラスの人たちと話すことができなかった。
クラスのみんなもカワイイ編入生に興味津々ではあるのだが、休み時間はテスト対策に余念がなく、がっつりと百川李にかまうことができなかった。
編入初日のストレスと中間テストのプレッシャーで想像以上に疲労困憊した李が肩を落としてトボトボ廊下を歩いていると、いきなりうしろから肩をもまれておどろいた。
「わっ!」
ふりかえると、ショートカットの怜悧な美少女が婉然とほほ笑んでいた。
制服の袖まわりにびっしりとステンレス製のシャープペンシルが留められている。紀里香だった。
案の定、ふたりは別々のクラスになったので、今日顔をあわせるのははじめてだ。
「お疲れさま、李さん。どうだった編入初日は?」
「……すっごく疲れました」
「ふふ。でしょうね。思いきり顔に書いてある」
「え~、そんなにい?」
李が両ほほに手をあててげんなりした。
「今日このあとの予定は?」
「特にないですけど」
「よかったら一緒にランチでもしない? ついでに明日の試験範囲のチェックとか」
「いいんですか!?」
「私からお願いしてるんだけど」
李の言葉に紀里香がクスクスと笑った。
「も、もちろん、こちらこそ喜んで!」
「駅前のファミレス『あなすあくた』でいい?」
「あ、もうぜんぜん」
昇降口の下駄箱で靴を履きかえていると、李のところに同じクラスの女子が3人駆けよってきた。
「ねえねえ、百川さん。今日このあと予定ある? 私たちこれからファミレスでテスト勉強しようかって云ってるんだけど、よかったら百川さんもどうかなって?」
「あ、えっと……」
紀里香との先約があるものの、せっかく声をかけてくれたのに無碍に断るのも悪いし……などと迷っていたら、
「ちょうどよかった。私たちもそのつもりだったんだけど、ご一緒していいかな?」
靴を履きかえてきた紀里香が李のうしろから3人の女子へ声をかけた。
「え? A組の狩庭さん? ウソー、百川さん、狩庭さんとお友だちなの?」
「え? うん」
「スゴーイ! 私たちの方こそ光栄ですっ!」
3人の女子が興奮しながら異口同音に同意した。
「光栄って……」
さすがの紀里香も苦笑した。
明眸皓歯・頭脳明晰・スポーツ万能・品行方正な彼女は〈A組の美姫〉あるいは文房具マニアのカワイすぎる女子高生として男女羨望の的なのだ(しのぶやのどかに云わせれば反論は多々あろうが)。
「それじゃ行きましょう」
3人の自己紹介を聞きながら、紀里香と李は高校をあとにした。
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「それじゃ、さようなら紀里香さん!」
「ごきげんよう」
昼食とテスト勉強をおえてファミレス『あなすなくた』をでたのは午后四時過ぎだった。百川李のクラスメイトたちは電車やバスで帰宅すると云うので、駅前でわかれた。
「そう云えば、李さんのお家ってどの辺?」
徒歩通学の紀里香の問いに李がこたえた。
「バス停で云うと『坐浜フォレストタウン前』です。でも家はバス停からすぐ近くのアパートです」
(……やはり、か)
一昨日の夜の〈悪魔狩り〉の現場近辺である。
「なんか路線が新しくて、バスが駅前からでてないんですよね。ここからだと駅前商店街をぬけた大通りのバス停まで歩かなくちゃならなくって」
駅から歩いて5分もない距離だ。
「私も帰りにそこを通るわ。バス停まで一緒に歩きましょう」
「うん」




