表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界はやさしいね  作者: 玻璃乃月
5/31

第一章乃 ご

水溶性カラーインクというモノを知っているだろうか?

透明感が高く、重ね塗りで複雑な色を生み出せる絵の具だ。

特にホルベインのドローインク、

ウルトラマリンディープがお気に入りの色で、

これにカーマイン、ヴァーミリオンとセピアを重ね合わせて、

夕空の色を再現することが、当時の私の命題だった。


小学校の高学年になった頃、

写真の実績もあり、顧問に教頭先生もいたので

写真部を立ち上げた。

部室は、準備室が完全な暗室になるので

フィルム現像に役立つという理由から

理科室を使わせてもらった。

理科室には、ホルマリン漬けや人体標本といった

変わったものもあるので、他者が近づかないのも

私には嬉しかった。

私はそこで、相変わらず写真を撮りながらも、

それを基に絵を描く事に没頭した。

写真は、事実という素晴らしい資料であると

割切り、自分の中の、かつて楠の上から見た

夕焼けの紫という真実を表現する為に、

絵筆を重ねることにした。


その頃、幼馴染の彼とは、

私達だけの秘密の場所で、漫画を読み耽った。

我が家の森の中、小さなお堂のあるポツンとした

空き地に、ワンボックスカーが置かれていた。

お堂の管理人が置いていたもので、

中は運転席以外は、座席も無く、

ただ大量な漫画が壁のように床のように

積んである車だった。

私達は、2人で車の中で、壁になっている

漫画を読んだり、彼が持ち込んできた漫画を

読んだりしていた。

そして、やがて私の絵に空だけでなく、

漫画がレパトリーされていった。


彼は漫画は描けなかったが、批評家としては

とても厳しい先生だった。

お蔭様で、受験も無い中学に上がる頃には、

カラーイラストと結構厚めの個人同人誌を

発行するまでに至った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ