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第一章乃 いち
若くして身罷られた女将yukiookamiに捧ぐ
世界は無慈悲?
ううん、世界は優しいよ
だって…
今は、何をする気のない私が、
今も、生きているのだから。
この世界はつまらない?
波乱万丈のストーリーを書くなら異世界じゃないと?
馬鹿を言っちゃいけない、この世界には綺麗と驚嘆が溢れている。
波乱万丈なストーリーに溢れている。
ここに少し恥ずかしい自分語りを書いていこう。
私は、見渡す限り
山も、川も、田も、すべてが自宅という
田舎の農家兼神社の第2子として生まれた。
長子の兄のように、帝王教育を受けることもなく
巫女だった母の血を濃く継いだせいか、
元々素養があり、神事の特別な修行の必要もなく、
周りの子供達と、野を駆け、川に泳ぎ
木登りが得意なのが自慢だった。
木登りが得意なのは、毎夕
庭で一番大きい楠(御神木ではない)の
上の方まで登り、夕焼けを眺めるのが
好きだったから。
透明感のある、赤・橙・紫・青・蒼・黄・緑・白・黒・灰
様々な色相が混ざり、変化するのを見るのが
好きだった。