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第十八話 妄想天国

 リュミエールをサロンまで送り届けた陽向は――おずおずとした態度で頬を紅潮させる彼女の誘いにより、其処でのティータイムに同席することとなっていた。

 陽向個人としては、既にほとんど熱も冷めたであろうリュミエールから、今は極力距離を置き、再び逢引き(・・・)を行うにしても――後日、また日を改めてと考えて(計算して)いた。

 されど、リスクと可能性を天秤に掛けた上で、彼女の誘いを受けるほうが良いと判断した陽向は、何処か嫌な予感を抱えながらもリュミエールと共に時間を過ごすという結論に至ったのである。

 マイナスは、マイナスを引き寄せる。悪寒は、不幸を呼び寄せる。よって、思考はいつも前向きに――陽向はしていたつもりであったにも拘らず。

 穏やかな時間、和やかな談笑で満たされる空間。

 当然のように陽向の隣へと腰を掛けたリュミエールに、小動物が尻尾を振ってじゃれてくるような愛らしさを醸し出すアンジェラは、目まぐるしく次々に変わりゆく話題を振ってくる。

 相も変わらずと言うべきか――シニョンに纏めた艶やかな黒髪に、そこから窺える白いうなじを扇情的に晒し、鋭い視線で陽向を()めつけるのはベアトリスであった。

 しかしながら、この場においての異物は紛うこと無く陽向の方であるのだから、何も言うことなど出来やしない。

 そして今も尚、彼女は白磁に蒼い模様の入ったティーカップへと上品に口を付けながらも、その合間には長い睫の奥に鎮座する瞳より――氷条(ひょうじょう)の如き様で陽向へと飛来させるのだ。

 最後に……前回同様、陽向の入室にも特別変わった反応を示すことの無かった、流れるような(あお)い髪で目元までを遮った彼女――ディアナは、またしても手元の本に目を落とし……ながらも、時たま陽向の方をも観察しているかのように感じられた。

 この眩いばかりの宮殿(おへや)に足を踏み入れることも既に二度目であるとは言え、依然陽向としても気は抜けない状態が続くのだ。

 平時の時より、奈落間近の綱渡り。

 もしも、運命というものに意志が存在するのであれば――果たして陽向は、彼ないしは彼女に嫌われているのではなかろうか。

 それとも逆に、特別目を掛けられているからこその仕打ちなのかもしれないが――結局のところ、それすらも人成る身である陽向にとっては、確かめようの無い事由なのであるのだから致し方あるまい。

 陽向に出来ることは、ただ二つ(・・・・)――従うか、抗うかという、先の見えない二択のみであった。

 こうして不意に、唐突に、何の前触れも無く……手札(せんたくし)の取捨選択を迫られるのだ。

 運命が薄ら笑いを浮かべてこう言う――ほぅら、陽向……選べ、と。

 ――それは彼女(リュミエール)より投下された、とある一言から始まったのであった。


「――そう言えば、陽向」

「如何なさいましたか、リュミエール様?」


 優雅に浅緋(うすあけ)を帯びた美麗な(だいだい)色に透き通る液体――陽向の前に出された茶と同じ種類のものを、その艶めかしいまでの舌の上で楽しんでいたリュミエールによる問い掛けであった。

 陽向も口にしたその茶は、紅茶のロゼとの呼び名も高い――ダージリンのオータムナルに酷似したものに感じられた。

 以前に自身が生活を送っていた世界においては、とある国の言語で『(かみなり)の地』を意味する地により産出されていた茶葉であろうか。

 雨期や卓越風が過ぎ去った後に訪れる乾燥期において、非常に小量ながらも生産される此度の秋摘み茶――それがオータムナル。

 他の季節に収穫されるフラッシュとは異なるもので、その葉の外観は黒褐色に彩付(いろづ)き、それ以前の緑は一切成りを潜めるのである。

 当然、他との違いはそれだけに留まらず――喉越しの方は上品であり、香りや味も慎ましやかに穏やかさを主張するのであった。

 ――とは言え世界観の相違により、その茶と現在手元に置かれる茶が同じ種だとは到底思えない。

 それでもやはり、どの世界であろうともより上質な物を求め発展する人間の好みというものには、紛れも無く相似点が窺えよう。

 カップを片手に微笑む彼女の姿は、まさに稀代の芸術家が生涯の最高傑作として世に残していった、一幅の絵画のような何処までも洗練された様を纏っていた。

 隣に腰を下ろす彼女より声を掛けられて無視するわけにもゆかず、陽向も自身のティーカップをいったんテーブルの上へと置き――リュミエールへと微笑みと共に、返答を行った。

 それが、発端になろうとなど――微塵も考えずに。


「うむ……その、なんだ……。ヒナタ、私は、あの……」

「――はい?」


 頭上に疑問符を浮かべる陽向へと――リュミエールは、頬を紅潮させ、視線を陽向より斜め下へと移行させて、こう言った。


「――し、尻をしこたま叩くのは、二人きりの時にお願いしたいのだが……」

「――!??!?!!!??!?」

「ぶっ……ちょっ! あ、アンタ何言ってっ! いきっ、いきなりっ! ちょっ、ちょっとぉ!」

「えっ? 何それ何それっ! くわしく!」

「…………」


 恥入るように、視線を彷徨わせるリュミエール。

 微笑んだままの表情を崩せずに、硬直する陽向。

 運悪く――丁度口の中へと茶を含んでいたベアトリスは、黄丹(おうに)の液体を淑女に有るまじき形相で勢い良く噴出した。

 常時よりも一層目を輝かせて、アンジェラは当のリュミエールへと事の真偽を問い詰める。


「ねぇー、教えてよー! 気になるでしょー!」

「止めなさいアンジェラ! そんなことに興味を持ってたらロクな大人にならないわよっ……そこの男みたいに! そこの男みたいにっ!」


 何故、わざわざ二度もいったのであろうか。

 目を三角に吊り上げるベアトリスは、陽向を睨み付けて、そう吐き捨てた。どうやら――確認するまでも無い事であったが、陽向は確実に彼女に嫌われているらしい。

 そして、陽向たちの入室時より端の方で読書に耽っていたディアナはと言うと――いつの間にか、知覚する間も無く陽向とリュミエールの前へと立っていた。

 依然として彼女の目元は、群青(ぐんじょう)を纏った艶やかな髪で大部分が覆われていたが、陽向からもその先に垣間見える瞳からは、何処と無く好奇心の色が滲んでいたように感じられた。

 咄嗟の事態に思わず驚愕の色を表情へと出してしまいそうになる陽向であったが、それを知ってか知らずか――当のディアナは、するりと口を開いたのである。

 それが陽向を、ますます追い詰めるものになると――知っていたかは、不明である。


「……リュミィ」

「んっ? なんだディアナ?」

「私もそれ、詳しく聞きたいかも」

「……そ、そうか?」


 今まで黙っていたのだから、この先も大人しくしていてくれれば良いものを――流石の陽向も口には出さない、出せないが。


「ほらっ! 珍しくディアナも喰い付いたんだから教えてよ! 別に減るもんじゃないでしょー?」


 そうして改めてアンジェラに急かされたリュミエールは、隣へと座る陽向に意味有り気な視線を送ってくる。

 陽向は微笑んだまま、黙って己の視線に意味を込めるのだ――それは二人だけの秘密ですよ、と。有らん限りの気力を込めて。

 そしてその熱視(ねっし)を、陽向の篭めた意味を理解したように、リュミエールもまた微笑んで小さく頷いたのである。

 どうやら陽向の意趣は、正しく伝わったようである――一時はどうなることかと思ったが、これで一安心であろう。

 陽向が安堵を気取られないように、己のカップへの取っ手を指先へと引っ掛けたところで、リュミエールが嬉しそうに口を開いた。


「うむ! ヒ、ヒナタはな……先に医務室で私にそう宣言した後、私の身体を隅々まで弄ってきたのだ。

 外も……私の()も……。

 暖かくて、優しくて――その、気持ち……良かった、りしたぞ……。

 それはもう、その情熱的な言葉と共に私を抱き留めて……たっぷり、ねっとり……」


 ――改めて茶を口に含む前で本当に良かったと、陽向は心の底からそう思った。あわや、先のベアトリスの二の舞である。

 恍惚の表情と共にリュミエールから吐き出される、数十分前の陽向の痴態に――思わず顔が引きつりそうになる。しかし、中までは触れていない――直接的には。それでも私は、やっていない。

 人間に生まれた以上、意思の疎通の際には横着をせずに言語を用いるべきである――陽向は、そう心に深く刻みつけた。

 そのリュミエールによる大陸間弾道ミサイル――ではなく爆弾発言により、三者は正に三様であった。

 興味津々に齧り付くアンジェラ。

 完熟トマトの如く顔を真っ赤に染めて、信じられないことを耳にしてしまった言わんばかりに、口元をわなわなと震えさせるベアトリス。

 今度こそ――その髪の隙間から見える青い目を輝かせて、続きはまだかと鼻息荒く期待を浮かばせるディアナ。

 最早、陽向に収集など付けようも無いことは、まさに太陽()を見るより明らかである。

 ――となれば、炸裂することくらい容易に想像することが出来る。

 嬌声、悲鳴、絶句の合奏。天に最も近い場所で奏でられる、地獄にも似た輪舞曲――主に、陽向にとっての。

 そしてその第一射は、アンジェラに依るものであった。


「きゃぁぁあああああ! なになにっ!? もしかしてっ、リュミィったらもうオトナの階段登っちゃったワケ!?」

「んっ、ま、まぁ……私は以前より、それはもう純然たる大人の女であったがな! 此度の――此度の事により、その、なんだ……そうっ! こ、これが女としての、幸福というものなのであろうな!」

「ずーるーいー! リュミィばっかりぬーけーがーけー!」

「ふふん――ま、私のようになりたければ、精々オンナを磨くんだな!」


 したり顔でアンジェラへと余裕をかますリュミエールであるが、あの時彼女が腰砕けで意識も曖昧のままだらしなく涎を垂らしたトロ顔を晒していたということは紛れも無い事実である――皆の憧れ強靭無比な偉大なる第十階級闘士様の名誉の為に、陽向の口は噤まれたままであったことは言うまでも無い。

 すると――次に捻じ込んできたのは、ディアナである。

 それに対し、既に陽向が遮る間も無く、リュミエールは嬉々として言葉を紡ぎ上げる。


「もっと……もっと、更に具体的に当時の状況説明を」

「具体的、か……。

 そうだな――まず私に、ヒナタが尻をしこたま叩くとの宣言を行い。

 次に……い、如何にヒナタが私と時間を共有したいのかということを熱く語られて。

 それから、突然抱き着いてきたヒナタが、私の背を柔らかく撫ぜ――その……快楽を教授する方法を懇切丁寧に解説して……。

 私の……わ、わたしの首筋を撫でながら肌の触れ合いを説いて……」

「……その次は?」

「ふ、ふ、ふとっ……ふとももをっ! 私の太腿へと指を這わせ体温を感じたいと(こいねが)い……っ」

「ふ、ふむふむ……そ、それからっ?」

「わ、私の下腹部を!」

「かふっ……下腹部っ!? 盛り上がってきた……! は、早く続き……!」

「その……下腹部を撫で回し、執拗に指を這わせながら……」

「な、ながら……!? 何を、何をしたのか詳しくリュミィっ」

「ひ、ヒナタは私に……刻み付けたい、感じたいって言いながら――ぽかぽかして、じんじんして、きゅんきゅんして……」

「はぁ……はぁ……っ」

「それから……は、は、は……」

「は、は……?」

「孕め――って」

「んぅぅぅうううううううううぅぁああああああん! 全私が興奮した――書籍化間違い無しっ。ちょっと出版社に行ってくる」


 何やら目に見えない熱量を全身から噴出しながら、奇声を上げるディアナ――そんなキャラだったのかなどと、陽向は今更言えない。

 ――詐術を働くには、コツが存在する。

 其れは簡単、わざわざ怪しまれるような嘘などを吐かずに、自身にとって都合の良い事実(・・)だけを繋ぎ合わせて他者へと伝えることである。

 されど、所詮詐術は詐術――人を騙すための手段など、いくら上手く用いようともいつかは破綻するのである。

 しかしながら此度の場合、リュミエールが紡いだ言葉自体は、事実と照らし合わせても偽りは無い。そして彼女には、他者を(たばか)るつもりも毛頭存在しない。

 つまり、陽向は何が言いたいのかと言うと――悪意が無いことこそが一番恐ろしい。そういうことであった。

 阿鼻叫喚、狂喜乱舞――意味は違えど、現在陽向の目前で繰り広げられる光景は、まさにその様である。


「やらしー! リュミィもおにーさんもちょーやらしーんですけどー!?」

「え、映像はっ!? 映像は無い!? その時の映像は、記録していないの!?」

「あ、あるわけないだろうっ! と、と言うか、仮にあったとしても見せてなどやるものか!」

「きゃぁぁああああ! やだもー! やだー!」

「そんな重要事項をキチンと記録していないだなんて、無能無能アンド無能――此処までリュミィがダメな子だとは、思っていなかった」

「ぅ、う、う、うるさいうるさいうるさーい! いいもーん! アレは私とヒナタだけの記憶だもーん!」


 いいえ、間違いなくあの場に居たシュウたちも見ていました――されど流石に、生命の危機が掛かっているので陽向も蒸し返したりなどはしなかった。

 女性陣による饗宴は、まだ続く。


「おにーさんのえっちー! リュミィのむっつりぃー! お姫様抱っこで来た時点で、何かあったとは思ってたけど!」

「次こそは、私も記録媒体持参で観覧させてもらう」

「だ、ダメにきまっているだろう!」

「けち! 減るもんじゃないでしょー」

「……月魄げっぱく帝国、帝国法第九百二十五条――帝国臣民は、極めて親しい友人の秘め事を自由に観覧、記録する権利を有する」

「勝手にふざけた法律をでっち上げるんじゃないっ!」


 喧騒に次ぐ、喧騒。

 そして彼女(・・)より――轟音を纏う雷が落とされた。


「ほんっとにいいかげんにしろーっ! やらしいやらしい嫌らしいとは常々思ってたけど、私の言った通り本当にコイツ(・・・)イヤらしかったじゃないっ!」


 ベアトリスからの言語の落雷は、当然陽向へと襲い掛かる。

 収まる騒音、静まる室内――されど、ターゲットは絞られている。

 怒涛の雷撃、貫く電光。

 一応なりとも、陽向も弁解を試みるが――、


「あの……ベアトリス様……」

「気安く名前を呼ばないでちょうだいっ! 汚らわしいっ! 抱き付いた、撫で回した、弄ったですって!?」

「いえ、その……」

「不潔っ! アンタなんかフケツよっ! どうせ最初から、いやらしい目的でリュミィに近づいたんでしょ!」

「あの、ですから……」

「違うって言うの!? それじゃ、まさか……リュミィを通じて、ここにいる私たちをその黒光りする毒牙にかけようって寸法ねっ」

「黒光りって……」

「いやっ――アンタと同じ空気吸ってるだけで孕まされそうっ! 変態っ! 変態っ! 変態っ! 変態ィ!」

「話を……」

「アンタの魂胆なんて見え見えよ! どうせリュミィにしたみたいに、私たち一人一人個別に甘い言葉で忍び寄って、寝技の訓練にしゃれ込むつもりなんでしょ!?

 『第十階級闘士様ってば戦闘技術は一人前なのに、夜の艶技(えんぎ)は半人前なんですねぇ』――とか言うつもりなことくらい、最初っから解ってるんだから!」

「…………」

「『リュミエール様はいっぺんで覚えたのに、ベアトリス様は呑み込みが悪いですねぇ』

 『あ、アンタの言うことなんて、誰が聞くもんですか! このクズっ』

 『くっくっくっ、コレを見てもその余裕が続きますかねぇ。ご覧下さい――コイツをどう思いますか?』

 『す、すごく……エクスカリバーです……。はっ、もしかしてっ!』

 『えぇ、未通女(おぼこ)の癖に随分と察しが良いですねぇ……この天然淫乱娘がっ!』

 『くぅっ!』

 『まぁ、良いでしょう。それでは……そう、そのままゆっくり呑み込んで――私の根性注入棒を』

 『は、初めてなのに後ろだなんてっ――ひぎぃ!』

 ――くやしいっ、でも……っ!

 そんなこんなで最終的には、アンタの声を耳にしただけで洪水状態を催すほどのに躾けるつもりに違いないわ!

 全く以って……アンタって本当に最低のゲスね! は、恥を……恥を知りなさいっ!

 そんな感じで、私にいやらしいコトする気でしょう!? ディアナの本みたいに! ディアナの本みたいに! ディアナの持っている、厚さの割に高額な鬼畜調教系の本みたいにっ!」

「――完全にとばっちり、風評被害。このマゾに対して断固たる態度を表明したいと思う、訴訟も辞さない」

「でも、ディアナがそーゆーものを持ってることは事実だよねー」

「……無論、完備。是即ち、淑女の嗜み――そして頻繁にベアトが、私の部屋から拝借しているということも周知の事実。

 ちなみに、このマゾ女のお気に入りは凌辱調教系。なじって、縛って、叩き回す――大洪水間違い無し」


 ならば、風評被害でも何でもなかろう――が、無論、陽向は沈黙を貫く。

 そしてディアナ――この女は、いつも澄ました顔でそんな世にもえげつない物を楽しんでいたのか、と。


「はぁ、はぁ、はぁ……あっ――ちょっとトイレ行ってくる! 

 か、勘違いしないでよねっ――別に下着を取り換えてくるとか言うわけなんかじゃないんだからっ!」


 そんな捨て台詞を陽向へと吐いて――息遣い荒く体を震わせ、まるで期待するかのように瞳を潤ませ痴適……ではなく知的な顔を上気させたまま、ベアトリスは足早にこの場より去って行った。

 第十階級闘士には、碌な者が居ない――本日陽向が、改めて得た教訓であった。

 そして、忘れられかけていたリュミエールが、陽向の袖を小さく引いて――耳元で囁いた。


「わ、私は……初めてのときは、優しい方が良い、かな……」


 それに返答する余裕など、今の陽向の中には存在しなかった。


        *


 ☞ 予想GUY……Girlでした。

   心労に対するボーナスね、コレ。


 ┏〖 ひなた の すてぇたす 〗━


  【力】3

  【技】3

  【耐】3 → 33

  【体】3

  【魔】3

  【精】3 → 33

  【知】3

  【速】3

  【運】33


 ┗


 ☞ 今回は、無し――ケチっている訳ではありませんよ?


 ┏〖 ひなた の あびりてぃ 〗━


  【三蔵(さんぞう)

   環境適応性、知識・技術の吸収率、自己の成長性、

   スキル・アビリティの発現率が極めて高い。

  【四諦(したい)

   捻じ曲げ有られた運命は、好機と災禍を引き寄せる。

  【毘紐天(びちゅうてん)

   其れは柱、偉大なる柱。

   世界の姿を維持し、反映させる――大いなる柱。

   それは、超常の権現(アヴァターラ)の力を纏う。


 ┗


 ☞ 良く耐え忍びましたね。

   ……もいっこ、ボーナスです。


 ┏〖 ひなた の すきる 〗━


  【ラーマ】

   毘紐天、第七の権現――とある叙事詩(せかい)の主人公。

   それは薔薇色の、(あか)い瞳を持つ偉大なる英雄を纏うに等しい。

   己の闘う意志を、確固たる力へと変化させる。


  NEW!【クールマ】

   毘紐天、第二の権現――神をも助けた神秘の亀。

   乳海攪拌(にゅうかいかくはん)の際に大蛇をも引き回したそれは、

   (あたか)も力強さの具現である。

   己の持ち得る魔力を、物理手段に用いる力へと変換する。


 ┗


 ☞ リザルトを終了致します。

   心が躍った、筆が躍った――反省はしていない、あまり。

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