表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

冬の乾いた空の下で

あぁ

そっか、俺って死ぬんだ

何年生きた?16と半年ちょっとか

短いな。いや、十分長かったか

結衣にも教えてあげたいな

走馬灯ってほんとにあるんだぜって



無理か

もう結衣とは話すことは無いのか

もう少し長く続くと思ってたんだけどな

8ヶ月間近だったな

せっかく2ヶ月ぐらいかけて創った歌も

だれかに聴かれることもなく死んでいくんだ

もったいないな

けっこういい歌なのにな

しかしまさか振られるとは

1年も経ってないのに


誕生日の5日後だから6月半ばだったか

いきなりLINEが来たと思ったら

告白されて

別に嫌いなタイプじゃなかったし

適当な気持ちでOKした

まさか

こんなに惹かれるとはな

特に可愛いわけでも無いし美人でもない

ただ優しくてクシャっと笑う顔が好きだった

最初の頃はマックで昼飯食べて

ぶらぶら歩いて公園のベンチに座って

ひたすらまったりしてたな

そのうち繁華街とか行って

お揃いのサングラス買って

ゲーセンでプリクラ撮って

イチャイチャしながら歩いてた


それなのに2月に入る直前から

急に遊ばなくなって

LINEの返事も遅くなって

帰ってこないような時もあって

なんだろう、倦怠期ってやつか?

とか軽く考えて

前々から考えてた歌を次の記念日の日に

サプライズで歌おうとか思ってたら

記念日の3日前に

ごめん、別れようって

突然言われて

俺はバカみたいに突っ立って

黙り込んでたら

結衣が泣きながら謝って

どっかに走って行った


ほんとはちょっとまてって

もう一回チャンスくれって

すげー思ってたけど

なんか

なんか言えなかった

別れる原因は多分俺なんだって

なんとなくわかった気がして



俺が死んだら葬式来てくれんのかな

来て泣いたりしてくれんのかな

もし泣いてくれんなら、死んでもいいかな



葬式か

誰が来てくれんのかな

来て、泣いてくれるようなやついるのかな

いないだろうな

そんなに仲良いやついなかったし

そうだ

総一郎と誠也がいるか

あいつらは泣いてくれるだろうな

うん、きっと泣いてくれる



総一郎とは長いな

小3からずっと遊んでたな

中1の時は学校に馴染めなくて

2学期に入ったあたりから

俺は引きこもってた

けどあいつは俺んちまで来て

学校サボって一緒にゲームしてくれたな

でも

それで学校の先生とお母さんに怒られたって聞いて

俺はあいつにとって邪魔なんじゃないかって

考え始めたら止まらなくて

次の日あいつが着たら

ウザい

そう一言だけ言って帰らせた

それがあいつのためだと思った

だけどさ

違うかったんだな

俺にお前しかいなかったみたいに

お前にも俺しかいなかったんだ

中2になって少しした時


母さんにあいつがいじめられてるって聞いて

次の日、俺があいつの家に行った

1年ぶりぐらいだった

俺を見るなり

あいつが俺の目の前で

初めて泣いた


次の日から学校に行った

周りのやつはみんな

いろいろ言ってきたな

なんで今更?とか

何しに来たの?とか

全部無視してたけど

けっこう辛かったな

そしたら1人だけ

久しぶり、元気だったか?って

心配してくれた奴がいた

誠也だった


中1の時同じクラスだった誠也とは

妙に波長が合って

割と一緒にいることが多かった

けど引きこもってからは

なんの関わりもなかった

だけど

誠也はずっと心配してくれていたらしい

すげー嬉しくて

珍しく泣いたな


それからは俺と総一郎と誠也の

3人でいつも遊んでた

カラオケも行ったし

ゲーセンにも入り浸ってた

俺んちでゲームしまくったし

学校サボってコンビニで立ち読みもした


それで3年にあがる直前に

総一郎が言い出したんだ

バンドやろうぜって

俺はバカだと思った

でも俺は賛成した

なんでかわかんないけど

こいつらとなら

どんだけ辛くても平気だと思った

誠也も当然のように賛成してた


でも現実甘くなかったな


総一郎は

音楽の専門学校に行くって言って

俺も誠也も同じ気持ちだった

けど俺の親は許さなかった

引きこもってた割に勉強が出来た俺は

公立の高校に行けって

親と教師が言ってきやがった

俺の人生は俺のもんだって

言って専門に行こうとしてた

けど俺はビビってたんだ

これで専門に行って売れなかったらどうしようって

無駄に現実主義だった俺は

結局、専門に行かずに公立に行った


誠也も専門に行かなかった

違うな

行けなかった、が正解かな

家庭の事情ってやつで

行けなくなってしまった

仕方ないなって

3人で無理やり納得した

専門じゃなくてもバンドはできるって


それさえも上手くいかなかった

総一郎は専門で頑張ってるのに

俺なんかが総一郎とバンド組んでいいのかって

俺より上手いやつなんかごまんといるのにって

思ってた

誠也も多分同じ気持ちになったんだと思う

そのうち集まらなくなって

LINEもしなくなった

俺らが弱かっただけなんだけど

すげー辛くてさ

何にもやる気起きなかった



だけど

今だから言うけど

ほんとはお前と組みたいんだよ

総一郎

誠也も絶対そう思ってるよ

けどお前といるのが

不釣り合いなんじゃないかって

勝手に俺らが思ってるだけなんだ

だからさ

誠也とバンド組んで成功してくれないかな

この気持ちが

お前に届いたらいいのに

総一郎



あぁ、眩しいな

ヘッドライトがもうすぐそこだよ

怖いな

怖いよ

怖いなんてもんじゃないよ

けど怖い以外に表せないんだな

あんなの馬鹿でかいトラック

ぶつかったら即死だよ


なんでこんなクソみたいな人生歩んでたんだろ

そりゃその時はこれがベストだって

この道で行くしかないって

思ってたけどさ


もっとあっただろ!

絶対に!


もっと結衣のこと見てあげれば

他の女の子なんか見向きもせずに

ただただ見つめ続ければ

絶対にまだ付き合ってたはずなのに

あの時勇気を出して

もう一回チャンスくれって

そしたらまだ付き合えてたかもしれないのに


親に気持ちぶつけて

専門行きたいんだって言ってれば

今も総一郎と誠也と

スタジオでバンドの練習してたかもしれないのに

引きこもって無かったら

もっと長く一緒に遊べたはずなのに


もう一回抱きしめて

もう一回キスして

クシャっとした顔で笑いながら

俺の名前呼んで欲しいよ


3人でゲームして

コンビニで立ち読みして

もう一回笑い合いながら

夢について語り合いたいよ



もうぶつかるな

16と半年ちょっとか

長いな。いや、短すぎたな

絶対にもっと楽しい人生送れたな

今なら自信あるよ

こんなにいい彼女と

こんなにいい友達が

すぐそばにいてくれてたんだから

はは、もったいないな


死んだら

結衣のことも

総一郎のことも

誠也のことも

忘れちゃうんだろうな

けどこの思いは

覚えておきたいな

せめてこの思いだけは

忘れたくないな



どんな人にも

周りを見れば

自分を思ってくれている

大切な人が

必ずいるんだ

その人たちの事は

何よりも

大切にしよう





冬の乾いた空の下で

自分が強く思っている事を

実体験も織り交ぜながら書きました。

自分の心の中から出てきた言葉を

繋ぎ合わせただけなので

とても雑な話ですがいかがでしたか?

こんな拙い話を読んでいただいて

ありがとうございました。

心の底から感謝を申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ