静かな公園。
月日が流れるたびに忘れて行く物、いつまでも忘れない物。
きっかけがなかったら忘れていた物。
そんなものじゃない、きっとまりあは、求めてた。
胸の中で小さくでも、あなたの事、いつも思っていた。
あれから季節は秋になろうとしていた。
まりあの生活は前と何も変わらない、何と無く生きている。
ただそれだけ。
彼と出会った事さえも、どこかに消えつつあった。
そしていつもの様に、学校帰り、売りに走った。
中年のちょっと怖そうな男が話しかけてくる。
それでもまりあには関係無い。
買う大人は全て同じ汚い人間なんだ。
値段交渉成立、ホテルに入る。
いつもと同じ、何も変わらないはずだった。
所がホテルに入ると無理矢理、男がまりあの腕を掴んだ!!
「やめて」
まりあは、腕を掴んだ男の手を振りほどこうとする。
でも、力が強くて何の抵抗もできなくてそのまま、男の成るがままに犯された。
怖い…やめて。だれか助けて。そう思っても、もう、遅かった。
「いやがっても、おまえなんか助ける、人間なんかいない!!ガキが調子にのりやがって。この、汚い女が!!だまってやらせろ。」
男の声が、頭に響いた。
分かってる、そんなの。
どうせ私なんて、社会から外れた、汚いゴミなんだ。
もういい、どうしたっていい。
そう、思いながら、涙をこらえた。そして、ホテルを出る前、男がいった
「今、援助がりと言うのをしてて、君みたいな奴が体売ってるとほかの風俗店がもうからないんだ。たまたま運が悪かったと思え。」
そう言うと、まりあを独り残し、男はホテルを後にした。
運が悪かった…そうなんだ。
私、運が悪かったんだ。
まりあの体は震えていた。
いてもたってもいられなくなり、ホテルを飛び出し、走った。
何で、何で私がこんな目に合わなきゃいけないの!?こんな、こんなのって無い。
ありえ無い。
もう、何を考えたか分からない。
とにかく走った。
苦しくても。
途中、涙が出そうになったけどこらえながら、走る。
そして、夜の静かな公園に辿り着いた。
もう走れない、そう思い、静かに揺れているブランコに乗った。
体が震えて、涙がこぼれて来る。
怖い、運が悪かったなんて思えない。
どうして、あんな事する??買う大人と売る子供、犯す大人と犯される女。
世の中汚い、大人は汚い…私も汚い!?そう思いながら、ふと気付いた。
そう言えばここ…そう、まりあが居る場所は、りょうと出会った公園。
もうどこかに消えたはずの場所。りょう、今、何してるんだろう?気になる。また来るから…もう、遅い。あれから一ヶ月、二ヶ月は立つ。居る訳なんてない。なんで、一目みただけなのに、こんなに気になる??もう。逢えないって思うと寂しい。俺は、りょう。君は??君の名前は??私は、まりあ…。だれもいない静かな公園。そこは真っ暗で、ただ聞こえるのは風の音、ブランコが揺れる音。まりあ独りしかいない。本当に独りになれる場所。だれも居ない、静かな場所。まりあは独り、ブランコにゆっくりと、揺られていた。