少年英雄と仲間たちの始まり
狂気の谷と呼ばれるその谷は、ごく平穏だった。子供たちが叫びながら遊び、女王は城にこもり、人々は談笑しながら小さな水晶を売っていた。
そこに、中背で茶色の髪と琥珀色の瞳を持つ19歳の青年がいた。彼の夢は、世界一の巨像退治師となり、三人組のチームを結成して、世界一の英雄になることだった。
谷の人々からは異質な存在と思われ、体も弱かったにもかかわらず、彼は夢を諦めなかった。いつか偉大な英雄になるといつも口にしていたため、誰も彼に近づこうとしなかった。幼い頃から、彼は皆に見下されていた。
そして、彼は家にいた。トーマ・イノスケという名の青年は、幼い頃に父親から贈られた金属の刀を静かに磨いていた。布で刀を拭きながら、小さな水晶の入った袋を手にしていた。
彼はそれらを見つめ、心の中で思った。
――すごい!まさか今でもこんな水晶を持っているなんて信じられない。まあ、売るつもりはないけどね。だって、子供の頃から小さな水晶のコレクターだったんだから。だから、思い出を大切に保管しておこうと思う。もちろん、売れば大金になるだろうけど!最近、この水晶はすごく売れるんだ。大会の賞品にまでなっているくらいだよ。かなりの金額になるだろうけど、いつか一緒にチームを組みたい人が見つかった時のために取っておこうと思う。この水晶はきっと役に立つはずだ!
それからトーマは窓辺に行き、通りを行き交う人々を眺めた。子供たちが楽しそうに遊んでいた。
すると、子供の一人の母親が近づいてきて、息子の手を引いてトーマを見ながら言った。
「さあ、行きましょう。あの人、変な人だって言うわよ。」
トーマはただ静かに見つめていた。からかわれるのはもう慣れっこだった。
突然、谷の住人たちの注意を引いた悲鳴が響き渡った。
女王は広場に、檻に入れられた3人の少女と共に立っていた。
1人目は、ふくよかな体つきで、赤毛と赤い瞳を持つ長身の女性だった。
2人目は、すらりとした体型で小柄ながらも非常に力強く、青い瞳と金髪をしていた。
3人目は、紫色の髪と黒い瞳を持ち、中肉中背だった。
3人は檻の中で、人々を睨みつけていた。女王は彼女たちを嘲笑った。
「この娘たちは城の水晶を盗もうとしたのよ!ここにいるのは、赤毛のイグニリア。最近ではなかなか見かけないわね。驚くべきことに、彼女はイグニリアなのよ!イグニリアを知らない人のために説明すると、火と水を操る者のこと。彼女の名前はハナ・イグニラよ。」我々には魔導士が二人いる。金髪のナラと紫髪のエミだ。どうやらこの三人の狂った女たちは、クリスタルや金を含む王国の物資を全て盗もうとしたらしい。罰として、今日、彼女たちは明日までこの広場に幽閉される。「明日の朝、この三人の少女は広場でギロチンによる処刑を受ける!」
市民たちは叫び始めた。
「クズ!反逆者!ゴミ!」
トーマは叫び声に加わる代わりに、別の考えを思いついた。
そして彼は考えた。
「ほとんどの戦士や英雄は必ず仲間がいる。だから、たとえ魔導士でもイグニリアでもなくても、世界一の英雄になるには仲間が必要だ。だが、谷から誰かを仲間にしようとしても、誰も受け入れてくれないだろう。みんな俺を嫌っている。だから、いい考えがある!」
彼は檻の中の少女たちを興奮した笑みで見つめ、こう思った。
「きっと女王は少女たちを広場に放り出して、人々に嘲笑させるだろう。だから、女王も含めて皆が立ち去るのを待って、彼女たちを助けよう。」
トーマは、市民たちが少女たちを罵り続ける中、その場を後にした。
家に帰ると、彼は窓から囚人たちへの罵詈雑言が続くのを眺めていた。そして、そこに留まり、待ち続けた。
5時間後、夜8時、彼は人通りの少ない通りを利用した。そして、剣と小さな水晶の入った袋を手に、檻へと向かった。
到着すると、彼はこう言った。
「こんにちは!僕の名前はトーマ伊之助。君たちを助けに来たんだ。僕は英雄になって、世界中の谷々を助け、巨像を倒すことを夢見ているんだ!」
少女の一人が彼を見つめた。皮肉っぽく答えたのはエミだった。
「あら、誰が来たか見て!私たちの白馬の王子様が、邪悪な女王から私たちを救いに来てくれたわ!」
ハナは苛立ちながら彼を見つめ、尋ねた。
「私たちは簡単には手に入らないわよ、坊や!あなたと手を組むくらいなら死んだ方がマシ!何か重要なものを提供してくれるなら別だけど。一体何をくれるの?」
すると、トーマは冷静に、そして思案顔で彼女たちを見つめ、答えた。
「そうだな、もし俺たちが有名なヒーローになれたら、名声と金と、たくさんの冒険をチームで提供しよう!」
少女たちは一斉に言った。
「決まり!」
しかし、ナラは不思議そうに彼を見つめた。
「それで、どうやって私たちをここから出すつもりなの、坊や?」
トーマは困惑して尋ねた。
「え?」「でも、あなたたち魔法使いなら、魔法でポータルを開いたりできないの?」
エミは腕を組んで答えた。
「私たち魔法使いは魔法の杖でしか魔法を使えないの。それに、女王様が私たちを閉じ込めた時、何もかも奪ってしまったのよ。」
トーマはハナを見て言った。
「君は?イグニリアだろ?火と水を操れる。それを使って檻を燃やせるじゃないか!」
ハナは恥ずかしそうに言った。
「確かにそうね。思いつかなかったわ!」
そして、彼女は火を使って檻を溶かし始めた。
檻を溶かしている最中、トーマは近づいてくる足音を聞いた。彼は慌てて、何事もなかったかのように公園のベンチに腰を下ろした。
通り過ぎた男が立ち去ると、少女たちはその隙をついてトーマを驚かせ、彼を飛び上がらせて叫ばせた!
すると、谷の住人たちが皆、何が起こったのか見にやって来た。到着すると、少女たちが放し飼いにされ、その傍らにトーマがいた。
村人の一人が叫んだ。
「あいつ、少女たちと逃げてるぞ! そいつも逃亡者だ!」
どうすればいいのか分からず、トーマは辺りを見回した。あたり一面に人がいた。
すると、二頭立ての荷車が目に入った。トーマは待つこともなく、荷車に駆け寄り、少女たちに叫んだ。
「さあ、少女たち! 俺について来い!」
少女たちはすぐにトーマの後を追った。トーマはハナと共に先頭を走り、ナラとエミは荷車に乗った。
そして、トーマとハナは二頭の馬を谷の門へと向かわせ、逃げようとした。
しかし、彼らは門の前に三人の衛兵がいるとは予想していなかった。衛兵たちは門を閉め始め、谷の門はゆっくりと閉まり始めた。
彼らは閉じ込められてしまった。後ろからは村人たちが追いかけてきた。目の前の門は、ほとんど閉まりかけていた。
その時、トーマはハナを見て叫んだ。
「全速力で門を突破するんだ!必ずできる!行くぞ!」
ハナはその言葉を理解し、馬たちをさらに速く走らせた。すると、馬たちは猛スピードで駆け出した!
トーマは再び叫んだ。
「必ずできる!」
そしてハナは叫んだ。
「間に合わないわ!」
門は三人の衛兵によってほぼ完全に閉められていたが、馬たちはそんなことは気にしなかった。衛兵たちを飛び越え、門をくぐり抜け、見事に逃げ出した!
そして、彼らは逃げ去った。
村人たちがまだ彼らを追いかけている中、一人の男が女を見て言った。
「女王様に、逃亡者たちが逃げたこと、そして谷のあの変わり者の少年、いつか英雄になると豪語していた少年が、あの三人と一緒に逃げたことを知らせよう!」
女は彼を見て言った。
「お任せください!」
そして彼女は女王のもとへ行き、報告した。
一方、トーマと少女たちはすでに谷から遠く離れたところで、荷車と馬から降りて地面に横になった。
トーマは言った。
「君たちにこんな目に遭わせてしまってごめん。でも、お願いがあるんだ。僕はこれまで誰にも信じてもらえなかった。ずっと一人で育ってきた。でも君たちは僕とチームを組むことに同意してくれた。だから、一緒に世界中を冒険して、谷の人々や人々を助け、世界一のチームを目指さないか?人間一人、イグニリア一人、そして魔法使い二人!」
エミは彼を見て、笑顔で言った。
「謝らないで!楽しかったわ!もちろん、引き受けるわ。冒険大好きだし、あなたたち3人は最高よ!」
ハナも言った。
「もちろんよ!冒険大好き!」
そして最後にナラが答えた。
「リーダー、お役に立てて光栄です!」すると、トーマは興奮した様子で彼らを見つめ、真ん中に手を差し出して言った。
「さあ、約束しよう!絶対に諦めない、絶対に仲間を見捨てない!」
3人はトーマの手を取り、声を揃えて叫んだ!
こうして彼らは、狂気の谷の住人たちに追われながら、新たな使命を背負うことになった。世界一のチームになり、愛する人々を守るために。




