戦争防止表彰
ヴィンセント王国が提唱した新国際機構は、
最初、多くの国で嘲笑された。
「戦争を止めたら賞金?」
「理想論だ」
「子供じみている」
だが王クラーク・デ・トーマスは、
会議でただ一言だけ言った。
「戦争には報酬がある」
「なら平和にも報酬を付ければいい」
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## ■ヴィンセント国際連合 設立
後に各国から単純にこう呼ばれる。
Vincent International Union
目的は異様に明確だった。
* 戦争停止
* 戦争予防
* 停戦維持
* 接続戦抑制
そして特徴的だったのが、
「戦争防止表彰制度」。
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## ■制度内容
一定期間、
* 戦争回避
* 停戦成立
* 大規模衝突防止
* 報復停止
に成功した個人・組織へ:
### 一人当たり300万円相当の表彰資金
を支払う。
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## ■最初の反応
軍人たちは困惑する。
「撃った方が出世する世界だったのに」
外交官たちはざわつく。
「止めた方が得?」
商人たちはすぐ反応した。
「戦争回避の方が利益率が高い」
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## ■一番変わったのは“空気”
それまで:
* 戦争は英雄
* 攻撃は勲章
* 強硬派が出世
だった。
だが数年後、
少しずつ逆転が起きる。
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## ■新しい出世ルート
若い官僚が気付き始める。
「戦争を止めた方が評価される」
さらに:
* 表彰
* 資金
* 国際評価
* 昇進
* 安全
が付く。
つまり:
> 「平和維持」が“キャリア”になった
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## ■兵士たちの変化
ある前線部隊の記録。
> 勝利しても何も残らない
> だが停戦成立なら家に帰れる
別の記録。
> 初めて“撃たない技術”を学んだ
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## ■商人たちの変化
市場はもっと早かった。
戦争より:
* 復興投資
* インフラ契約
* 流通維持
* エネルギー供給
の方が長期利益になる。
つまり:
> 「平和の方が儲かる」
が広まる。
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## ■外部国家の皮肉
かつて接続戦を続けていた国家ですら、
次第にこう言い始める。
「停戦調停官を増やせ」
「戦争防止の方が予算効率がいい」
これは理想主義ではない。
完全に会計の論理だった。
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## ■優利恵の感想
優利恵は笑う。
「なんか変だね」
ロイが聞く。
「何がです?」
「昔は人を倒したら褒められたのに」
少し間を置く。
「今は“止めた人”が褒められる」
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## ■王クラークの狙い
王は静かに説明する。
「人間は善悪だけでは長く動かない」
「だが“得”は継続する」
そして続ける。
「なら平和にも利益構造を付ける」
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## ■20年後
世界は完全平和ではない。
小競り合いもある。
利権争いも残る。
だが、明確に変わった。
### 昔
* 戦争継続が利益
### 今
* 戦争停止が利益
ここが逆転した。
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## ■歴史家の評価
後世の記録。
> ヴィンセント王国は人類を善人にしたのではない
>
> “平和の方が得”な設計に変えたのである
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## ■ドリトルの夜
王都ドリトルは変わらない。
水は流れ、契約は更新され、土地は維持される。
資源管理ロボはいつも通り。
出来ません
売りません
守ります
だが、その外側では初めて、
> 「戦争を止める側に報酬が出る世界」
が静かに動き始めていた。




