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魔力と容量と成長

1歳を迎える頃、少しずつ魔法を使う練習を始めた。小さな手で紙を揺らしたり、光の玉を作ったり、空間に微かに風を起こしたり。赤子のアルは、魔力が体内でどう循環するかを覚え、体内の魔力量が収まる範囲なら、安全に使えるようになった。でも、まだちゃんとした詠唱はできないし、すぐに魔力は切れてしまう。

2歳になる頃には、両手で紋章に触れる「ドレイン」の時間を増やした。母が膝に抱き上げてくれる隙に、自然に手を伸ばす。父の胸元で淡く光る紋章――触れた瞬間、微量の魔力が指先に流れ込み、胸の奥に小さな震えが残る。器の小さい体でも、確かに手応えはある。吸える量はわずかだが、少しずつ魔力を増やすことができた。

紋章以外にも触れられないだろうか――赤子ながら考える。ふと、前世の記憶が微かによぎった。師匠の声だ。

『フリーランス、魔力のことを忘れてはいないか?』

『す、すみません、師匠』

『魔力は人以外にも流れている。植物や動物にも魔力はある。だから、食べて体を整えろ。少しずつ回復するぞ』

なるほど、魔力は身の回りにあふれているのか。動物にはまだ危険があるが、木なら安全そうだ。近くの大きな木に手を伸ばす。幹から、ほんのり温かい流れが指先に伝わる。赤子の体でも少しずつ吸い上げられる。魔力はまだ微量だが、器の中で循環させる練習には十分だ。

これなら初級魔術も使えそうだ。

「天の息吹よ――ウィンド」

手のひらの上で風が螺旋を描く。使えた。

魔力量が増えてきたことを確かめながら、アルは家の書斎に忍び込み、魔法の本を読み漁った。転生前の自分は風魔法しか知らなかった。無知とは罪だ――風魔法以外も学んでおこう。

3歳になる頃には、魔法を使う練習とドレインを組み合わせられるようになった。遊びながら魔力を使い、木からも吸い上げる。器の中の魔力は確実に増え、胸の奥で感じる感覚も強くなっていく。誰も気づかない。父も母も、ただの赤子の遊びにしか見えない。

――赤子でも、少しずつ分かる。これが、俺だけの魔法、『ドレイン』だ。遊びながら、少しずつ、器を広げていく。赤子アルは胸の奥で小さく震える魔力の流れを感じ、静かに微笑んだ。

魔力も増えたし、魔法をしっかり使ってみたい。とはいえ、こんなところで魔法を使っているところを見られたら困る。森にでも行こうか――でも、まだ体が小さい。3歳だもんな。しょうがない、あと一年待とう。それに、まだしっかり読み書きもできない。単語単語で話せる程度だ。まずは読み書きを学ぼう。

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