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第1話「⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎へ!」


「……」


何かが聞こえてきた気がした。

でも、意識が朦朧としているせいで、何も分からない。

気のせいだろうか?


「…る?」


なんだろう、何回も呼びかけられている気がする。

時間が経つにつれて意識が段々ハッキリとしてきた。


「ごめんね。」


次の瞬間、後方から冷たいものが掛かってきた。

驚いたけど完全に目が覚めた。

僕は起き上がる。

ここは暗い部屋の中、いや森の中?

辺りを見回そうと後ろを振り返ってみると、

人がいた。

コップを持ちながら、しゃがんでこちらを見ていた。


「あ、気づいた?ごめんね強引に起こしちゃって。

 何回呼んでも起きなかったから。

 水、かけちゃった。冷たくない?」


僕は身構えた。


「…誰!」


「ちょっと落ち着いて、大丈夫だから。

 別に怪しい人とかじゃないよ。」


「いや、どこからどう見ても怪しい人。」


「うーん...。そこは否定できなさそうだね。」


そこは、「怪しい人じゃない」と返答する所だと思っていた。


というか一体何が起きているんだろうか?

僕はイマイチ今の状況を把握できていない。

とりあえず家に帰りたい気分だ。



「余計混乱しちゃいそうだけど君が今どういう段階なのか知りたいから、

 いくつか質問させてもらうよ。

 まず“自分自身”のこと覚えてる?例えば名前。」


謎の人物が、意味の分からないことを言いだした。


そんな簡単なこと.......。


簡単なこと....。



何、で.......?



「覚えて、ない。いや、思い出せない。名前があったのかも分からない。」


「...じゃあ、この森に来た理由で何となく覚えていることってある?」


何となく覚えていること?



「...、ぼんやりと、この森に走って逃げ込んできたような気がする。」


「そっか。じゃあこれで最後。

 君にとって大切な音とか、リズムとか覚えてる?

 メロディでも良いよ?

 何なら、イメージでも良いよ?」


大切な音?リズム?メロディ?イメージ?


謎の人が僕に問いかけてくる質問は、バラバラであるから相手の意図を汲み取ることができない。


だけど、覚えている。


それは、正確ではないけど覚えている。


「ところどころ曖昧で、全体はハッキリと覚えていないけど、

 ドラムの刻む音があって、

 シンセサイザーやベースが入ってくるような曲が、

 そういう曲なら覚えてる。」


「はぁ、良かった。それを忘れていたら、君はかなり危険な状態に近かった。

 緊急ではなさそうだから、丁寧に説明していくよ。」


危険な状態?一体どういうことなのだろうか?


「大体ここら辺に来た人は、

 なーにも覚えていないことが普通なんだ。

 “音楽”を除いてね。

 たまに覚えていない人もいるけど、

 その状態だと非常ーにマズイ。」


「つまり、僕は大丈夫だったってこと?」


「いや、そういう訳じゃない。一刻も早く、

 その不鮮明なメロディを完全な曲へとするために、

 いろいろ必要なことがあるんだよ。

 本当は、ここで今すぐにでも手伝いたいんだけど、

 もう手伝える力が残っていないんだ。

 だから、ここからは移動しながら話そうか。」


謎の人は立ち上がって明かりを持つと、こちらに向かって手招きをした。

知らないことが多いから、知りたい情報も多い。

僕はついていくことにした。

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