第13話 — ハルミ vs. ツールズ:パート1/873
妹の泉がハルミのもとを去り、この事態は日本全体に影響を及ぼしかねない。
電気もドアもなく、知識も何もない…
ハルミは行動を起こすことを決意する。
「今日こそこのドアを直す日だ!!!!」
しかし、彼女の最大の敵は道具でも家でもない…説明書を読まなかった彼女自身なのだ!
朝は、イズミがリュックを背負い、
まるで戦場へ向かう兵士のような深いため息から始まった。
「ハル……楽しかったよ。でも、
文明のある生活を忘れる前に、私は帰らないと」
ハルミはむっとして唇を尖らせる。
「……イズミ、私を置いていくの?」
「うん」
「……だよね」
メイがイズミの脚にぎゅっと抱きついた。
「イズおばちゃん、明日も来る?
おじいちゃんみたいに消えないよね!?」
「だ、大丈夫!週末には来るから」
「約束?」
「指切りダブル約束!」
タケルは静かに頷くだけだったが、
“あ、ちょっと嬉しいな”という微笑みが一瞬だけ浮かんだ。
イズミが去ったあと、
ハルミはドアを閉め、深呼吸して肩を回し、宇宙に宣言する。
「――本日のミッション!
この家を“ちゃんとした家”にする!!」
「ハルおばちゃん……」
メイが瞬きする。
「それって……掃除?」
「そう」
「じゃあ、死のミッションだね」
「その通り。だから勇気が必要なの」
タケルは腕を組んだ。
「まだ電気ないし、トイレにドアもないけど」
「もちろん知ってるよ!」
ハルミは自信満々に言い放つ。
「だからこそ――」
彼女は壁際に置かれた巨大な箱を指さした。
「ジャーン!!
トイレのドアが届きました!!昨日の夜に!!」
メイはぱちぱちと拍手。
タケルは“これは絶対に失敗する”という顔をした。
……そして彼の予感は、100%正しかった。
「説明書?聞いたことない」第1話(全12084話)
箱は、運命のように重かった。
ハルミは引っ張り、押し、
そしてドアに話しかけ始めた。
「さあ、ドア……前向きに考えて……」
「ハルミ」タケルが言う。
「ドアは考えない」
「だから今、教えてるの!」
結局、
ハルミがプチプチに手を絡ませて5分間動けなくなり、
タケルが一人で箱を運ぶことになった。
20分後。
数えきれない事故の末――
「タケル、ドライバー取って」
「それハンマー」
「似てる」
「全然違う」
「じゃあ、あの黄色いやつ」
「……テープだ」
「完璧!」
メイは目を輝かせて見ていた。
「ハルおばちゃんって……ヒーロー?」
「……まあ、そんな感じ」
タケルは諦めた声で答えた。
30分後……
40分後……
1時間後……
カチャン。
「――でーきーたーーー!!!」
ハルミは富士山を登頂したかのように両手を広げた。
メイは拍手。
タケルは深く息を吐いた。
ハルミはドアノブを回した。
開いた。
彼女は笑った。
「ほら!言ったでしょ!
私は天才!工具の芸術家!――」
ドアを閉める。
ノブを回す。
もう一度。
押す。
引く。
「……タケル」
「なに」
「ドア、開かない」
「逆に付けたね」
「――私が……何を???」
そう。
ドアは完全に逆だった。
鍵は外。
蝶番も逆。
「ハルおばちゃん……」
メイが手を握る。
「泣かないで」
「泣いてない……目から汗が出てるだけ……」
屈辱のドア事件のあと、
ハルミは次のミッションへ。
「次!リビングと廊下を掃除!」
「昨日、もう二度と掃除しないって言ってたよね」
「でも私は止まらない!」
「ドアすら開けられないのに」
「それは細かいこと!!」
メイは楽しそうに雑巾を持ち、
タケルはプロのように掃除し、
ハルミは――
優しい竜巻のように転び、ぶつかり、顔面で床を拭きかけた。
「いたた……背骨が変な音する」
「休んだほうがいい」
「休憩は弱者のもの」
「君は弱者」
「今日は心が繊細なの!傷つけないで!」




