第8話 森の街 マルチド ※
冒険者登録時の偽装したステータスです。
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
圭太:
だ、騙された~。
六時間も歩いても村さえも見つける事が出来なかったのだ。
ロイド君は黙って着いて来るだけだった。
圭太:
ロイド君。これって道に迷ったっていうのかな?
ロイド:
いいえ。違います。
ルーク様は最初から人里とは反対方向に歩んで行かれました。
私はルーク様の意思でそちらの方向へと歩まれていると考えていましたので、道に迷ったとは思いません。
圭太:
え?!初めから間違っていたの?
ロイド:
人里へ最初から行くと決めていたのでしたら間違っていますね。
でも、ルーク様は街へ行きたかったのでは?
圭太:
・・・。
ロイド:
私は基本サポートが担当ですよ。
ルーク様は、私が言った通りにするのではなく私が言った事を参考にしてルーク様がお決めになるのです。
ルーク様は私に人里へと向かう正しい方向を聞かずにご自身で人里から離れて行く方向を選ばれたので・・・。
しまった、ロイド君をカー〇ビと同じような感覚でいた。
間違った方向へと進めば『間違った方向へと進んでいます。』と言ってくれると信じていたのだ。先程の失敗を糧に今後は間違えないように【街や町】の方向と時間を聞いた。近くにある【村や集落】も参考に教えてもらった。
ロイド:
ここから一番近くにあるのは、森の街と呼ばれているマルチドという街です。
南へ向かって森を抜けたら見えて来ます。
今の速度だと約一時間ぐらいですね。
南へと方法を示す。
圭太:
南へと前進♪
先程とは異なるテンションで進んで行こうとすると転んだ。
圭太:
あっ!
ロイド君は『言わんこっちゃない(;^_^A』なんて言いそうな顔をしていた。
圭太:
ルーク様。【気配探知】は使われていますか?
突然、そんな事を聞いて来た。
ロイド:
森などの見通しが悪い所では【気配探知】や【魔力探知】を使われておいた方が良いです。
魔物や盗賊などの襲撃に備える事が出来ますし、罠にも注意する事が出来ますからね。
僕はその意味を理解した。
先程、転んだのは罠に引っかかったからだ。
ゴブリン:
グギャグギャ!
ゴブリンが出て来た。
【ゴブリンに恐れられし者】なんて称号を持っていてもゴブリンは出て来る時は出て来るのだ。まるでGだ。ヤツらも警戒していても出て来るのがGだから(;^_^A
ゴブリン:
グギャグギャ!
既に、僕の周りを取り囲んでいる。
後ろの方からもゴブリンの叫び声が聞こえる。
まるで、『獲物が掛かったぞ。全員集合!』なんて言っていそうだ。
ゴブリンは右手には錆びた小剣を持ち、左手には壊れかけの小さな盾を持っていた。決して、〇ジオを持っていた訳ではない。
ゴブリンにとっては良い感じに木が茂っているので、僕にはうまく刀剣を使えない嫌な戦いの場だった。別に刀剣使わなくてもゴブリンぐらい殴って倒す事が出来るのだが、ゴブリンを素手で殴るのには若干の抵抗があったのだ。ロイド君が僕の考えを読んだように
ロイド:
落ちている木の枝を使うと良いのではないでしょうか。
確かに、落ちている小枝を使えば倒せる。
小枝を拾って闘気を流す。小枝を闘気によって強化したのだ。
圭太:
さぁ、来いよ!
目の前のゴブリンを挑発してみせる。
ゴブリン:
グギャー。
ゴブリンも挑発されたのが分かったのか大声で叫び飛び掛かって来た。
その攻撃を難なく躱し、喉元へと突きを放つ。ゴブリンは吹き飛び、強化したはずの小枝は粉砕した。
圭太:
あれ?
突き飛ばしたゴブリンは、辛うじて生きていたのだ。
ロイド君との訓練では、今の攻撃でゴブリンを倒せていたのだが(;^_^A
ゴブリンの持っていた小剣を使いたくはないが小剣を手に持ち止めを指す。
何度か同じ事を繰り返してゴブリンの集団を倒し森を抜けたのだった。
圭太:
あれが森の街 マルチドだよね?
ロイド:
そうです。
僕達はマルチドへと向かうのだった。
森の街 マルチド
この街は人族の国の辺境にある街だ。辺境と言っても魔の森と呼ばれている森に近いだけで街道から遠く離れていない。街道を魔物から守るために作られた防衛都市だ。そんな街は魔の森が近くても結構栄えているのだ。
魔物から採れる素材や魔石は結構な金額で他の町へ売る事が出来る。
特に、トレントと呼ばれる木の魔物から採れる木材は高級な木材で結構な金額である。森の中には強力な魔物も存在し、その魔物の持つ魔石も大きな魔力を得られるので取引額は高めだ。
強力な魔物と言ってもドラゴンなんかは存在せず、オーガやオークが強力な魔物になるのだった。まぁ、オークは魔物だが肉は食用として重宝している。魔物の肉を食べる事で身体に及ぼす影響はない。
魔力が篭っていた肉なので寧ろ美味しいのだ。
オークの上位種であるオークキングやオーククイーンともなると手に負えない魔物となるが、その肉は王都の貴族達に高値で売れるらしい。
マルチドから魔の森への道の反対側に向かうと森のダンジョンがある。
ここで取れる鉱石やダンジョン産の武器や防具も高値で売れる。冒険者にとっては一大拠点だ。
本来なら人口が多く消費の多い王都の方が稼げるはずだが、マルチドで稼いだ方が儲かるのだ。
冒険者登録した新人は森の外側で狩りをし暮らしていく。
中級冒険者になって来ると森の奥深くへと行き魔物を倒してくるかダンジョンの浅い階層で稼ぐかのどちらかになる。多くの冒険者が中級になれば稼げる機会を多く選択出来るのだ。
正に、一攫千金を狙った冒険者が集まって来る街だ。
そんな森の街 マルチドの入り口の前にルーク達はいた。
男性門番:
おい。この街へ何しに来た?身分証はあるか?
圭太:
この街では冒険者登録が出来ると聞いたので・・・身分証はありません。
僕を上から下まで舐めるように見て。
男性門番:
冒険者ギルドは、ここを真っ直ぐ行った所の左側にあるぞ。
目印は大きな剣と大きな盾が入り口を挟んで置いてあるので分かると思う。
それと身分証がないなら身元保証金として銀貨一枚という入場料を取るが金はあるのか?
圭太:
はい。銀貨一枚ですね。
男性門番:
次からは冒険者ギルドカードを見せれば通してやる。
懐から取り出した銀貨を受け取ると僕にそう伝えると他の通行人へと声を掛けて行った。
男性門番:
おい。この街へ・・・。
(圭太):
NPCか!
心の中で突っ込んでみた。
ロイド:
ルーク様・・・。
街の中へと入ると正面が大通りとなっていて馬車が通る。
人もまた邪魔にならなように横へと避けて歩いている。道添いに店が並んでおり、何か美味しいそうな匂いのする食べ物を売っていそうな店、見た事もない色をした果物や野菜を売っている店、こちらの文字で『魔道具専門店』と書いてある店、軒先に鍋やヤカンやフライパンを吊るして販売している店などが並んでいる。
その先に冒険者ギルドを示す大きな剣と大きな盾が目に入る。
圭太:
こんな大きな剣と盾は誰が使うんだろう。
ロイド:
何でも初代勇者が使っていた装備品のレプリカだそうです。
圭太:
初代勇者が使っていたの?
ロイド:
レプリカなので実際には使っていませんが、初代勇者が使っていたとされている物と同じ大きさだそうです。
圭太:
へぇー。こんな大きな武器を使えるんだ。
初代勇者って凄いな!冒険者ギルドに着いたから中へと入ろうよ。
冒険者ギルドへと入ると中冒険者ギルドの中は思っていたよりも広かった。
天井から吊るされた案内看板には『登録受付』『依頼受付』『依頼受付』『買取受付』と四つの看板がある。依頼受付が二つもあるのに、そのどちらにも行列が出来ており人がたくさん集まっていて、その周りにもどうやら受付に並べていない人達がいた。
行列が長すぎてギルドの中では納まらないので行列が減るまで待っている人もいるようだ。奥には食事と酒を飲めるカウンターとテーブルがあり、そこでも酒を飲み飯を食いながら自分の持つ番号が呼ばれるのを待っているようだ。
どうもこちらの人達は買取の査定の順番待ちのようだった。
僕は登録受付の前と行き、受付に席に着くお姉さんに声を掛けた。お姉さんは年頃は僕より少し上かな?キッと睨まれた。
ロイド君みたいに僕の考えていることがバレているのか分からないが、お姉さんの年齢を少し考えただけで突然機嫌が悪くなったように見えるのは気のせいだろうか。
圭太:
あの~。冒険者登録したいのですが・・・。
女性受付
冒険者登録?貴方がですか?
圭太:
はい。
先程のことがあるからなのか言い方が少し怖い。
女性受付:
畏まりました。
冒険者や冒険者登録についての説明は必要ですか?
圭太:
説明もお願いします。
冒険者や冒険者登録に関して説明を受けた。
①冒険者にはランクがある。
最低ランクのFランクからSランクまでの7段階で評価される。Fランクは新人、DランクからCランクへと上がる時には昇給試験がある。AランクからSランクへ上がる時にも昇給試験がある。Sランクの中でも特別な存在はSSランクという名誉が与えられる。
②冒険者同士の私闘は禁止である。
武器や魔法を扱うことが出来る職業の者が所構わず私闘を行えば、巻き込まれる住民も出て来るし、巻き込まれた挙句に死亡した例もあるからだ。どうやって冒険者同士の争いを解決するかというと冒険者ギルドの立ち合いの元で決闘を行う。
ギルドはどちらか一方の肩を持つ訳にはいかないので決闘の審判をすることで介入するようだ。金銭が絡んだ問題には話し合いとお金で解決するし、時には、鬼教官が指導する模擬戦なんて物もあるらしく喧嘩の仲裁という名の模擬戦が行われるらしい。殆どの問題がギルドの仲裁で解決するが場合によっては裁判なんてこともあるようだ。
③依頼の受け方と対応するランクについて
依頼ボードにある依頼を受けるか受付から教えて貰った依頼を受注出来る。冒険者が言うような依頼を教えてくれる=依頼を探してくれるなので、どんな依頼を受けるといいかなんてアドバイスを貰える訳ではない。
アドバイスを貰うなら担当受付の方だ。
受付担当を付けてもらえると【身体能力】に適した依頼を教えてくれる。依頼報酬の3%が担当受付の報酬を支払う必要があるが・・・。「消〇税か!」と心の中で突っ込むとロイド君が何か言いたそうにしている。
ギルド内での冒険者が行う雑用のようなことも担当受付がしてくれる。
「サー〇ス♪サー〇ス♪」と某漫画のような事なのか!そうのか!冒険者が受ける依頼は、冒険者ランクと同じ依頼しか原則受ける事が出来ない。新人でもずば抜けた者も出る事から原則でしかないようだ。
冒険者の中には自分の能力を判断出来ずに上のランクの依頼を受けてしまう者を防ぐためである。ギルド側からの要請があれば上のランクを受ける事が可能なのだ。
④ギルドからの要請と指名依頼について
先程と被るが上のランクを依頼を要請を受けるかどうかは冒険者が選択出来る。上位ランクになればギルドのみならず貴族や国からの指名依頼を受ける事になるそうだ。この場合も受けるか否かを選択する事が出来るようだが断るのにも覚悟が必要と言われた。
上位ランクには街が魔物に襲われて危険な時にだけ発生するギルドからの指名依頼は断るとランクが一つ下がる。
後は細かい部分なので聞き流してもロイド君が覚えていてくれるだろう。
ロイド:
・・・。
ロイド君がジト目を向けて来るが(;^_^A
何か他の冒険者から感じるエネルギー?気配?のような物がロイド君の予想よりも小さいように感じた。魔の森でロイド君から言われた通りに、あれから気配探知と魔力探知を常時使っている。
圭太:
トイレは何処ですか?
何かおかしな感じがするのでひとまずトイレに逃げるつもりで聞いた。
受付のお姉さんは無言で看板を指す。
その先にはトイレへの案内の看板があった。良く見ろと言わんばかりの無言で指さしたのだ。
圭太:
ありがとうございます。
お礼を言ってトイレへと向かう。
ロイド:
どうなさいましたか?
圭太:
他の冒険者の人を【鑑定】したら、僕の【身体能力】が異常に見えるよ。
新人でこの【身体能力】では目立ち過ぎるから【身体能力】を更に偽装するためにトイレに来たんだ。
ロイド:
【鑑定】しましたが異常には見えませんが(;^_^A
圭太:
登録受付に並んでいる人の殆どは新人みたいだよ。
それにランクが高そうな人でも僕と同じようなスキルレベルの人はいなかった。
流石に新人でスキルのレベルが違い過ぎるのは不味いと思う。
せめて、もう少しスキルのレベルを調節しないと目立ち過ぎるよ。
僕とロイド君の意見の相違が生まれた。
ロイド君の言うようなスキルレベルの人を探せば見つかるだろう。
だけど、それは高ランク冒険者と呼ばれる人々だったならの話だ。
この街の冒険者ギルドにいうような新人冒険者やDランクやCランクの冒険者が同じスキルのレベルかと言われると無理がある。もう少しスキルのレベルを下げないと目立ってしまう。
武内圭太
年齢:19歳
性別:男性
レベル:5
スキル:剣術レベル3、炎魔法の心得、水魔法の心得、風魔法の心得
土魔法の心得、光魔法の心得、鑑定、気配探知、魔力探知、魔法のバッグ
称号:中二病患者
本当ならスキルの内容もヤバいのだが・・・圭太は気付かなかった。
圭太:
途中ですみませんでした。
もう一度列に並んでから順番が来ると先程の受付のお姉さんに謝って登録をお願いした。
女性受付:
この板に軽く魔力を流して下さい。軽くですよ。軽く。
某ネタなのか?ネタですよね?魔力を強く流して良いんですよね?
ロイド:
ルーク様。魔力は微量でお願いします。
元の世界のネタではありません。
ロイド君が伝えて来た。
またしてもジト目だ(;^_^A
女性受付:
スキルの内容は異常なのに、スキルのレベルは平凡・・・。
これで登録完了です。ルークさん。
受付のお姉さんが小さな声で何かを呟くように言ったようだが聞こえなかった。
声が小さくても僕の名前を呼ぶのだけは聞こえた。
圭太:
あれ?僕 名前言いました?
女性受付:
冒険者ギルドカードには、ルークさんの名前と年齢が出ますからね。
スキル内容などの【身体能力】はギルドカードには記載されませんが、ギルド職員はギルドカードの情報を端末から見ることが出来ます。
中二病なんですよね(笑)
冷たい目で言われたのはショックだった。
この世界でも【中二病】は分かるらしい(;^_^A
ー補足ー
ステータスの攻撃力:100みたいな表示は敢えて避けています。
ステータスを確認出来る者には実際の能力値が見えています。
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ー投稿中の作品ー
赤の勇者 ~ちっちゃい聖女は伝説の勇者様?~
こちらの作品も宜しくお願いしますmm