第62話 幻のような
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
例の施設付近の木々は僕が片付けたから施設がここからでも良く見えるはずだ。
付近にリチャードとトーマス組の姿は見つからないし、急に消えたレイラの姿は一向に戻って来る気配さえない。
ロイド君にみんなが無事で安全な場所にいるかどうかだけ調べて貰おう。
僕の【察知】では範囲が狭いのか付近にはいないみたいだからね。
ロイド:
彼らを【察知】出来ないので付近にはいないみたいですね。
移動系の魔法で何処かへと連れ去られたと考えられます。
例の施設の方もケータ様が片付けて仕舞われたので人の気配はしません。
召喚した勇者の封印作戦は全滅で終了ってことでしょうね。
圭太:
それって教団本部ってこと?
ロイド:
違うと思われます。
彼らを始末するなら連れ去る必要がないのですから何処かで監禁されていると考えられます。
その監禁先が本部という訳にはいかないと思います。
【位置表示】という魔法がありますから本部の場所を特定されたくないのであれば本部へ連れて行くのは危険過ぎます。
小夜ちゃん様の様子から本部の場所の特定に苦労されているようですから。
ロイド君が言うには【魔法を打ち消す魔法陣】のような魔法が使えない場所には移動系の魔法では直接行けないから付近に移動して中へ入ることになるらしい。
常時【位置表示】が働くような魔道具を装備してたら秘密にしている場所でも特定出来るという訳だ。小夜ちゃんが心配してそうな様子ではなかったから仲間も現状は大丈夫(直ぐに命の危機にはならない)と思われるから施設内がどんな風になっているかなどを調べて見ようかな。
あわよくば、何か手掛かりがあれば助かるんだけど、そう簡単に見つかるはずが無いかもね(;^_^A
施設と思わしき小屋みたいな建物に到着したんだけど、この外観だったら森の中にあっても不自然ではないかな。道路と呼べいいのか分からない整備された道が近くに見えるし、森の中の作業小屋みたいで自然に溶け込んでいるように見えるね。
こんな小屋みたいな建物に先程の人数がいたとは思えないけど、本当に教団の施設なのか疑わしい所だね。簡易的な拠点かもしれないけど僕のイメージとしては何かが違うとしか思えないんだけど。
ロイド:
ケータ様。気を付けて下さい。
魔道具特有の魔力を感じます。
空間系の魔道具のようですが・・・直ぐには何の効果があるのは分かりません。
圭太:
魔道具?
ロイド君がそういう前に僕は小屋の扉を開けているんだけど・・・。
扉を開けた先は小さな町になってた。先程まで木々が倒れた跡地しかなかったはずなのに人が住めそうな家や商店のような物まで見えるんだけど、奥の方に元の世界の教会と思えるような建物が見える。
もはや、小屋の中とは思えない光景だ。
ロイド:
これは【偽装】や【隠蔽】など複数の効果を町全体に施しているようですね。
入り口となる小屋はカモフラージュですね。
用のない者は小屋には立ち寄らないから中々見つからないのも仕方ないと思います。
圭太:
町全体を魔道具でカバーしているってことは重要な施設って考えも問題ないよね?
ロイド:
それはどうかと思いますよ。
小夜ちゃん様のような方から教団の存在を隠すだけの可能性もあります。
それでは、中へ入って調査を継続しようか。
男性門番:
おい。そこのお前。止まれ!
町の入り口に槍を構えた門番から声を掛けられた。
ここで無駄な犠牲を出す訳にもいかないので従う様子をみせて反応を伺うことにした。
圭太:
何でしょうか?
男性門番:
ここに来るのに何処で情報を得てやって来た?
圭太:
情報?
小屋があったから中で休もうと中へ入ったら、ここに着いたんですが。
男性門番:
あの小屋が見えたのか?
圭太:
何かの作業小屋のような建物がありましたから、寝床に使おうと中へ入ったんですが駄目でしたか?
男性門番:
そうか。
では、悪いがこれからは拘束させてもらう。
俺たちの後について来てくれ。
ここは連行されるしかないようだね。
何処へ連れて行かれて、どんな人物がいるのか楽しみだ。
ロイド:
ケータ様。お仲間の反応があります。
この町の中央にいるみたいです。
仲間の無事も確認出来たことだし素直に連行されてみよう。
僕らが行くと横道からどんどん衛兵が増えて来る。こんな人数で僕を連行しなくてもいいと思うのに増える人数は一行に減る気配はない。
中央の教会のような建物の入り口に到着した頃には僕に付近には約四十人ぐらいの人が密集してたよ(;^_^A
教会には元の世界だと十字架などシンボルが建物についているんだけど、ここの建物には一切のシンボルなどはない。ただの教会風の建物と呼んだ方がマシな気がするよ。
そんな建物の中から一人の男が出て来て、僕を連行して来た門番は僕を引き渡すと去って行く。途中で集まって来た衛兵に取り囲まれて、まるで集団リンチが始まろうとするような状況になってしまった。
リーダー格の男性:
ほう。
貴方が例の小屋を見つけて町の中へと入って来た者ですか?
転生者の言葉で【ゴキブリホイホイ】という言葉があるそうです。
我々の中ではあの小屋は【転生者ホイホイ】や【転移者ホイホイ】と呼ばれているんですよ。
転生者や転移者のようなこの世界とは別の世界の記憶を持つ者にしか見えない小屋なのですよ。
圭太:
・・・。
リーダー格の男性:
小屋を発見出来ない者がこの町へと入るには専用の魔道具がないと入れません。
小屋を発見して町中へと来る者は全て転生者や転移者になるような魔道具をあの方が作られたのです。
普通の者には小屋なんて見えなくて森の中にいるようにしか見えないですからね。
圭太:
・・・。
リーダー格の男性:
貴方の装備品を見る限り我々の捕獲対象の騎士と同じ装備ですからね。
貴方が我々の目的の勇者ケータですね。
貴方方四人の中から一人の勇者を見つけ出すのが我々の仕事ですからね。
スパイを送り込んだのですが失敗でもしたのでしょうね。
貴方がここにいるってことがその証明でしょうしね。
圭太:
・・・。
リーダー格の男性:
では、参りましょうか。
衛兵が邪魔でしょうから退けましょうか。
【報勇】は呼びますけどね。
圭太:
【報勇】?
そういうと僕と取り囲んでいた連中が引き下がり、その奥から忍者のような剣を構えた皮鎧を来た【特殊部隊です】と言った格好の人たちが出て来て僕を取り囲む。取り囲むのは変わらないんかいとツッコミを入れたくなるね(;^_^A
雰囲気が異なっているから流石に余裕があると見せる訳にはいかないので苦戦しつつ危ないかも?みたいになるように調節をしようかな。理由は分からないけど、破〇流武術や神剣や魔法が普段通りに使えることは確認できてるしね。普段の行動が出来れば怪しい集団なんて怖くないからね。
ここからは、時代設定が違うような戦いだった。
その様子は『忍者VS忍者』のようなカンとかキーンとか音だけが響き渡るような剣戦のやり取りと、グハァとかグギャとかが聞こえるだけで姿を捕らえることが出来ない。
そんな戦闘を繰り返すと思ってたんだけど・・・。
まさかの全員が竹槍を構えて指揮官らしき人物の号令に従い『突撃~。』『やぁ~。』なんて掛け声で一斉に突撃して来るとは思わなかったよ。
忍者のような恰好で竹槍突進っていつの時代の戦術なんだよ。
竹槍を全て斬り捨てると武器がアッという間に無くなってしまったことに驚いてるんだけど本当に大丈夫なのか?と疑いたくなるよ(;^_^A
仮にも僕は勇者で剣を構えてるんだよ?
そんな相手に竹槍で突撃し武器を壊されたぐらいで驚き戦闘にならなくなるなんて僕を甘く見ているのだろうか。竹槍が壊れたら次の竹槍がまるで次の竹槍を使えというように投げ込まれたのを発端に凄くやり辛くなって来た。
全員が一斉に攻撃をするんだけど『はぁ。』という掛け声と共に竹槍で突いて来る。次の『はぁ』という掛け声で竹槍を上段から叩きつけて来る。僕が躱すと竹槍は地面に当たり、パァーンという乾いた音がする。
槍で突いて来る時にはビュンという音が、地面にたたきつけるとパァーンという音が全員が同時に攻撃しているはずなのに音が乱れることなく同時にビュンとかパァーンという音がするのだ。
教会風の建物から出て来た男は僕との対戦の準備をしているのか特に変わった様子のない普通の鎧を装備し始めた。今から鎧を装備?と思っていたんだけど、竹槍の攻撃は途切れることなく続いているから同時に四方八方から攻撃なんてされると避ける行為しか出来なくなる。
男の準備が出来たのか先程まで竹槍で攻撃していた連中の攻撃が急に緩やかになり、出番が来たかのようにリーダー格の男性が僕の前に出ると引き下がって行ってしまった。リーダー格の男性は気合と共に筋肉は膨れて来たんだけど、身長を筋肉の割合を考えると筋肉ダルマにしか見えない。
そこからリーダー格の男性は更に変化し始める。
最初は見間違いかと思ったんだが男の身長が元の約二倍ぐらいにまで伸びた。膨張した筋肉が丁度良い具合になるぐらいに身体が変化したのだ。某漫画でも筋肉隆々になることはあるけど身長が伸びて安定するなんて初めてだね。
その様子は某漫画に出て来る『自称天才の人』のようで雑魚にしか見えないのが残念だね(;^_^A
それに男が装備している金属鎧なんだけで身体の変化に応じて鎧の形も変化しているのだ。人の身体が筋肉の膨張程度なら理解出来るけど、身長が伸びたり金属鎧の形状が変化したりするのは普通にはあり得ないことだ。
圭太:
ロイド君。
人の身体が急成長したり金属鎧が変化したりするのも魔道具の影響なの?
ロイド:
そうです。
魔道具が影響を与えています。
圭太:
不自然な現象は、全て魔道具の影響と言ってるけど、どうして魔道具の影響なの?
薬とかないのは分かるけど・・・。
ロイド:
魔道具というのは魔力が自然界などに魔力の影響を与える道具のことです。
この世界にはケータ様のいた元の世界とは異なり魔力を利用することが出来ます。
元の世界にも魔力はありますが、魔力を利用していないのが元の世界です。
魔力に頼らなくても大丈夫と言った所でしょうか。
身長が伸びたという不自然な現象も火系の魔法を使って火のない所に火を起こすなんてことも魔力が作用しなければ不自然な現象でしかありません。
ケータ様が転移出来るのも空を飛ぶのも魔法が働くのも全ては魔力があるからです。
今回のように身長が伸びる事や筋肉が膨張する事もこの世界では魔力が影響したという事で片付けてしまいます。
魔力を使って不思議なことが起きた=魔力の仕業とそう考えるしかありません。
ロイド君の話が終わったのが先なのかリーダー格の男性が攻撃して来たのが先なのか分からないけど、丁度良いタイミングでリーダー格の男性が攻撃して来た。話に夢中って訳じゃないから余裕で攻撃を躱すんだけど、隙が出来たと感じて攻撃して来たんだろうけどそうはいかないよ。
リーダー格の男性:
はぁぁぁ。【幻影陣】
そういうとリーダー格の男性が二人になり僕と向かう形になった。
二人になった男は短剣を使う者と素手で戦う者とに分かれた。同じ武器を使って来ると予想してたんだけど裏切られた形だね。更に男は右利きと思ってたんだけど短剣を構えた方は右利きらしい構えを取っているが、素手で構えた方は左利きの構えを取っている。
同じ人物なら構え方は統一されることが多い。
利き手の関係統一されるのだが、この男は二人に分かれたことで左利きと右利きに分かれたのかもしれない。そんなことはあり得るのか?と思ったんだけど、先程のロイド君との話の魔力が関係しているなら辻褄があってしまう。
魔力もしくはスキルの影響なんだろうね。
そんな男とある程度組手のようなことをすると
リーダー格の男性:
やはり二人では無理でしたか。
次はどうですかね。
【幻影陣】
二人だった男がそれぞれが二人に分かれてリーダー格の男性は四人になった。
短剣を持つ者が二人になり、素手の者が二人になるのだから素手が二人と短剣が二人になると思ってたんだけど、何処から武器を出しのか不明なんだけど、短剣、素手、短双棍、旋棍を構えた四人になった。
いつの間にやら短剣も微妙に短剣になってるしね。
四人全員が違う武器を構えてるのだ。それに短双棍や旋棍まで含まれた相手を戦わなければならないのは面倒だ。同一の武器を扱う四人なら連携も苦労はないんだけど、変わり種の武器を使われると連携されると面倒になる。
この手の棍系の武器は連撃をして来る。
左右の手に武器を持つから右左、左右とタイミング良く連撃委しやすい。そういう作りの武器だからね。
こいつらに手間取ってたら次からも面倒になりそうだしね。
二人が四人になったんだから四人が八人になるなんてことも考えておかないとね。
多分だけど武器はそれぞれが違って来たり、戦い辛くなるような工夫はして来ると思うしね。
圭太:
ロイド君。
【幻影陣】とか言ってるから分身系じゃなくて幻系の技だと思うんだけど、僕から見えない位置に本体が隠れてるなんてことはない?
さっきから少し掠ったはずなので手応え(反応)が全くないから本体は別にいるかと思ったんだけどうかな?
ロイド:
流石ですね。
本体は見つからないように後方にいますよ。
後方でジッとしている訳ではなくてケータ様を視界に入れつつ隠れながら移動しているみたいですね。
居場所を特定されないように工夫しているみたいですね。
圭太:
タイミングを合わせられる?
ロイド:
大丈夫ですよ。
いつでも構わせんか?
圭太:
【弧月】を使う予定だけど、仲間への被害が出ないようなタイミングにして欲しいな。
こんな町がどうなろうと関係ないけど仲間が傷つかないようにしないとね。
ロイド:
はい。分かりました。
タイミングは私にお任せ下さい。
僕は【弧月】を出すタイミングを計りながら、四人からの攻撃を躱すとロイド君が男の本体の位置と仲間への被害が出ない丁度良いタイミングを知らせてくれた。
ロイド:
ケータ様。今です。
圭太:
面倒だから、纏めて消し飛んじゃえ。
【二の太刀:弧月】
広範囲に【弧月】を放つと被害が甚大になるから出来るだけ控えめに使ったつもりだったんだけど、神剣での秘技だから加減が難しいね。仲間はギリギリ無事だけど町が半壊しそうだね。僕の背になる方には秘技は使っていないから被害はないけど全面は壊滅だしね。
さてと、リーダーの男はというと即死だった。
【弧月】を近距離から受けたのだから仕方ない。あれで生きているとなるなら考えなければならない所だった。
衛兵など警備関係の人は町が半壊してしまったことで慌てて生存者の保護など行い始めた。僕を封じ込めようと考えてた連中だけど、リーダーを倒したから生存者は助けることにした。もしかすると関係ない人もいるかもしれないしね。
仕方ないから、この町を覆うように【身体蘇生】を使って致命傷で虫の息の人まで助けるつもりで魔法を使った。魔法が間に合わずに死んだ人もいたけど、あのまま放置した結果よりはマシと思うな。警備関係の者は僕が回復魔法を使うとは思わなかったようで驚いた顔で僕を見ているんだけど血も涙もない人じゃないよ(;^_^A
僕の仕業だけど、嗾けてには君たちだからね。
被害者は君たちじゃない。反撃とか予想外のことも考えておかないと駄目だよ。勇者の力を甘く見過ぎた結果がこうなったんだからね。もう少し考えられた行動をすべきだよ。
人族の賢者も僕の本当の実力を知らないのかもしれないね。
能力が落ちている(能力を封じている)と考えての行動でも些か実力者の考えが足りないように感じるね(;^_^A
【真勇教】の施設調査の依頼の結末は意外な方向へと発展していくのかもしれない。僕は仲間を助けたんだけど、本当のランスロットにはこんな事が出来るような力はなかったそうで、僕が助け出したことを疑われた。
レイラ:
団長に助けを求めた後に助けたんじゃない。
まぁ、小夜ちゃんが来てたとしても同じようなことになってたと思うよ。
小夜ちゃんが来てた方が壊滅具合は酷いと思うけどね。ロイド君に仲間の場所を聞いてから助けに行ったんだけど牢屋みたい所を想像してたけど、隔離部屋のような所に仲間を連れ去った連中と一緒にいた。
連中は僕の顔を見ると怖がっているのだ。
僕が召喚された勇者ケータだという内部事情を知る者の反応だよね。その様子を見たレイラは不思議そうな顔をして僕に『ありがとう』の感謝の意を伝えて来た。
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