第52話 異世界で花火を・・・
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
賢者の件で王国の治安を考える必要が出て来たんだけど、忍者部隊に任せて大丈夫か心配だな。見た目が某魔法少女のような忍者って誰得なのだろうね。管理体制のメインはロイド君だから安心も出来るんだけど・・・。
王国から出て行く人たちには、勝手だけど【位置表示】を付けさせて貰おう。問題行動があればロイド君が教えてくれるだろうし、問題のあるシーンはモニターでも確認出来るようにしたいとも思ってるしね。
王国から、ある程度の距離が離れたら【位置表示】は消えるように設定してある。
王国のイベントに『花火大会』なんてどうかとクロが提案して来た。
集客の効果があるので住人の増加や商業面でも良いような話に聞こえる。それで、花火をどうやって手に入れるのかを聞くと困った顔をしているのだ。
圭太:
花火大会するには花火玉が必要なんじゃないの?
クロ:
そうですね。
どうやらこの世界には花火がないんですよ。
圭太:
花火玉がないと分かった上で花火大会をしようと提案したんだから何か代案があるんだろ?
クロ:
魔法を打ち上げ花火のようには出来ないのでしょうか?
圭太:
魔法を花火のように打ち上げるって?
クロ:
そうです。どうですか?
圭太:
やってみないと分からないけど、面白くない花火が出来上がると思うよ。
魔法は爆発するだけだから打ち上げ花火のように爆発しても広がらないとはずだよ。
クロ:
構いません。
私たちでは出来ないことなので魔法が使える方に挑戦して貰えるだけで良いのです。
圭太:
花火と言えば夜と思うから、今夜は小夜ちゃんとシロとアンも誘って花火を試してみようか。
クロ:
そうですね。
みんなで考えてみるのでも面白そうです。
今夜を楽しみにしてます。
もう二十歳を超えると言うのに、まるで子供のような喜びようだった。
そんなクロにシロとアンと小夜ちゃんに声を掛けておいてと言って僕は花火をどうするのか考えるためにこの場を去った。
僕は職人さんの所へと向かう。
今夜は化学実験しないとね(笑)
圭太:
ねぇ、聞きたいことがあるんだけど、分離とか抽出とか合成ってどうすれば出来るかな?
男性職人:
それは俺たちの領分じゃねぇな。
悪いけど、錬金術師に相談してみてくれないか。
圭太:
錬金術師?
男性職人:
ああ。分離や抽出や調合や合成などと言ったのは全て錬金術になる。
それを扱える職業が錬金術師だ。
俺たちは鍛冶師だ。
鍛冶をする仕事や建築系が主な仕事だな。
錬金術師に何か用かい?
それとも錬金術に興味でも湧いたのかい?
圭太:
錬金術師に仕事を依頼しようかと思いましてね。
物質からある物を取り出して一つにまとめて貰いたいんだよ。
不純物の混ざった鉄鉱石から鉄を取り出すようにね。
男性職人:
何処で仕入れて来た情報か分からねぇが凄いことを考えるんだな。
だが、それは俺らでも出来ねぇな。
今夜までに一キロ欲しいなんて言われても無理に決まっているぞ。
俺らに依頼しても一キロを作るのに三日は必要なる。
錬金術師が仕事をしても必要な材料が一キロなら元となる原料は三~五キロは必要となって来るはずだ。
専門じゃねぇから確かな話じゃねぇが、それぐらいは必要と思ってくれ。
それにだ元の原料を三~五キロも売ってくれる店もねぇぞ。
元が高価なので手に入らないから高価なんだ。
製法も限られてるしで中々成功しないそうだしな。
圭太:
分かりました。
無理そうなので今回は諦めます。
情報をありがとうございました。
男性職人:
おう。
そういうと僕は職人さんの所から次の場所へと移動する。
圭太:
ロイド君の知識で何とか出来そうなことはないかな?
ロイド:
無理ですね。
この世界で火薬を作られるおつもりでしょうが止められた方が確かです。
変に火薬の製法が他の人へと流出してしまうと悪用のおそれが出て来てしまいます。
それに、この領分は勇者神様の領分となりますから・・・。
ロイド君がそういうと師匠の気配だけが感じられる。
(師匠):
火薬は作るなよ。
戦争に使う爆弾の元になるしの。
花火は殺傷力の関係で厳密には(儂が言う)火薬とは言わないが不純物が混ざっているに過ぎないから火薬は作るなと警告はしておくぞ。
そういうと師匠の気配が消えた。
師匠が僕らの会話を聞いていてツッコミ入れて帰って行ったようにしか感じられない。まぁ、師匠の様子だと火薬を作れば殺されるかもしれないね。【古の契約】を保守するのは師匠の仕事だから仕方ないね。
師匠にクギを刺されたから例の目論見は中止にした。
炎色反応を利用して【火球】である物質を燃やそうという考えだったのだが、花火作りには火薬が必要だし炎色反応は単に色付けでしかないのだが悪用する人はどんなことにでも悪用するから心配するのも仕方ないと思う。
今夜は適当に魔法を打ち上げて無理にでも花火の件(特に火薬に関して)は終わらせようと思う。
ただ、心配なので別件のことが僕は心配なのだ。
最近、場内で例のアレの匂いがするのだけど小夜ちゃんがお城で食事をするだけなら問題ないと思うけど、それを広めようとするのは止めて欲しい。
そんな小夜ちゃんの毒牙に掛かった人物が三人ほど犠牲になった。
三人とはシロとクロとディーンさんだ。
僕から見たら犠牲になったと考えるんだけど、小夜ちゃんからすると仲間が増えたという感じだ。どうやら、三人とも好みが合うようで例のアレが好きになったみたいで、他の人たちにも勧めているようだった。
僕が苦手なのは知っているから僕に隠れて食べているようなのだが・・・。
今夜の花火の打ち上げに持ち込みそうで僕には嫌な予感がするんだけどね。
最近になってお城で働く人たちには好んで食べられているみたいだから誰かが持ち込みそうなんだよね。
僕が嫌っているのを知っているから何とは思うんだけど・・・。
花火をどうやって表現しようかと悩んだんだけど結局は決まらずに夜を迎えてしまっていた。
攻撃魔法を花火のように目立たせてしまっても良いのか疑問も残るしね。
攻撃魔法ってある程度は不意を突いていないと駄目と思うな。
元の世界の試合形式みたいに『魔法使います。』&『分かりました。』なんて具合な訳にいかないんだから、暗闇を利用するならいきなり魔法が飛んできた方が魔法を使う方も都合が良いはずだ。目の前に立つ敵対する相手に対して、堂々と呪文を唱えるゲームのようでは駄目な気がするのは僕だけだろうか。
みんなと集合する前に小夜ちゃんと打ち合わせをしてみる事にした。
小夜ちゃんなら花火をどう表現するのか聞いてみたかったからだ。
圭太:
ねぇ。小夜ちゃんは花火をどう表現するつもり?
小夜:
何にも考えていないわよ。
花火なんて遊びでしかないんだから、それを生死の掛かった魔法でなんて表現することが間違っていると思うわ。
圭太:
それでも、適当って訳にはいかないんじゃないかな。
小夜:
そうかしら。
私は適当に夜空に向かって魔法を使う予定よ。
そうしないと何も出来ないんだからね。
私の魔法の出来ることと言えば、速度を早くしたり大きく爆発させたり魔法を操ったりが出来るぐらいよ。
魔法で花火の再現なんて私には無理よ。
小夜ちゃんと花火について話した後、僕らは時間が来るまで食事をしたりをして時間が来るまで待つことにした。そして、クロ待望の夜の花火の実験の時間がやって来たのだ。
花火(魔法)を打ち上げるとしても住民に驚かせるような迷惑を掛ける訳にはいかない。だから、王城で守備隊には魔法を使うことを伝達して王城で打ち上げることにした。
そうじゃないと誰もが驚くと思うしね。
圭太:
クロ。元の世界の花火なんて魔法で表現出来ないし、火薬は作らないことが前提になるけどいいよね?
クロ:
火薬ですか?
何に使うのでしょうか?
圭太:
花火の作り方とか知らないかな?
クロ:
はい。
花火がどうやって作られているのかや何を材料にしているのかも分かりません。
圭太:
どうして花火なんて思いついたの?
クロ:
夏じゃなくても花火と言えば人が大勢集まるイベントですからね。
他国の人たちも王国へと押し寄せて来るとイベントとして成功するのではないと・・・。
小夜:
そういう理由なのね。
花火じゃなくても人が集まるイベントなら良かったんじゃないの?
私には工夫した魔法なんて使えないからケータみたいにはいかないけど協力するわ。
クロ:
では、二人ともお願いします。
そういうと小夜ちゃんが【火球】を夜空へと打ち上げた。
思ってた通りに暗闇に【火球】を打ち出しても何も見えない。ドーンと爆発する音だけが聞こえるんだけど魔法で花火を表現するのは無理だったみたいだ。
仕方ないので僕も魔法を使う。
そうすると、魔法で花火が打ち上がるイメージで夜空を見上げる。
流石に音は出ないが、花火を上げたように花火もどきが夜空に綺麗に花開いた。元の世界の花火を知っている僕を除いた三人は唖然として夜空を見て上げてから僕に疑問を投げかけた。
小夜:
ちょっとケータ。
花火って再現出来ないって言ってたじゃない。
あれはウソだったの?
圭太:
そんなことないよ。
花火を再現はしていないからね。
あれも魔法だけど・・・。
時間を少し前まで巻き戻すと僕と小夜ちゃんとが花火をどうやって表現するか話をしてた後にロイド君がこんなことを言って来たのだ。花火がどんなものか知りたいみたいだったようだけど。
ロイド:
ケータ様。
頭の中で構いませんから、花火とやらをイメージしてみて貰えませんか?
圭太:
どういうこと?
ロイド:
花火をイメージしたものを魔法として使えないか確認する為です。
ケータ様。これが花火ですね。
これならば【幻想】の魔法を使えば可能かと思います。
ただ、魔法に掛からない者もいますから全員に見て貰うことは出来ないかもしれないんですが構いませんね。
ロイド君をそんなやり取りがあったから、ここにいる人たちが花火をイメージした【幻想】を使ったのだ。王国は師匠の【儂の部屋】と同じ僕の領域だから僕の影響下にある状態だから掛からないって事はないんだけどね。
クロ:
花火なんて無理だと言われてたのに花火を再現するなんて凄いですね。
圭太:
そうでもないよ。
あれの種明かしをすると幻覚の類だからね。
幻を見ているとでも思ってくれていいよ。
ただし、幻覚系の魔法なので掛かる人と掛からない人が出て来るんだ。
残念だけど、僕以外が同じ魔法を使っても全員が見れるって訳にはいかないんだ。
ここは僕の領域だから影響力を自由に出来るから実現出来たんだ。
クロ、シロ、アン、小夜ちゃん、ディーンさんは花火を見て驚いたように感じる。若いアンには大変珍しい現象だったようで凄く喜んでいたように感じた。あれから十年も経過したのでアンの喜びようも何か違うように感じたね。
年齢で喜びようも変わるようだね。
ロイド君が言うには【幻想】の魔法を使えば『花火大会』や『お化け屋敷』なんてことも出来るんだけど、リアルのお化けの方が幻覚よりも凄くて驚かないと思うから『お化け屋敷』の案は即座にボツ案になったんだけどね(;^_^A
この花火に音も出るようにしたら、魔道具を利用して面白い花火が出来るとは思うんだけど実現するには時間が掛かりそうだね。
幻覚系の魔法に掛かりやすくする魔道具なんて誰得なんだと職人さんに言われそうだし・・・。翌日になったら職人さんに相談してみようかな。
正攻法で攻めた小夜ちゃんと変則だけど花火を見せる事が出来た僕なんだけどクロの評価は微妙だったみたい。花火自体は好評だったんだけどネタバレが【幻想】という幻覚系の魔法だったことに納得出来なかったみたい。
元の世界の花火と比べてしまうのは仕方ないことだしね。
後、クロには火薬について簡単に説明しておく。
そうでないと後々面倒になる方が面倒だからね。
火薬を作るのは材料さえあれば簡単に作ることが出来る。
だけど、その先にある物が危険なんだ。花火を作ったばかりに爆弾を作れる原案を作ったのでは後世の人に申し訳ないしね。それ以前に師匠に潰されるのが先だけど・・・。
花火の実験?が終わったんだけど、本当は花火を見ながら食事でもと予定していたようなんだけどね。僕と小夜ちゃんの手が空かないから結局は花火が終わってから王城でみんなで食事をすることになった。
僕とアンだけだけが別の料理で、他の人たちは例のアレを食べるようだった。
夜に例のアレを食べるなんて僕には出来ないよ。それ以前に苦手だから食べることも出来ないんだけどね(;^_^A
例の如く、小夜ちゃんが無理矢理に例のアレを僕に食べさそうとするんだけど、ここは何とか逃げ切れた。この前みたいに転移魔法で逃げた訳じゃないよ。
圭太:
他の人たちが僕らを見てるよ。
そう言っただけで引き下がったのだ。
そんなやり取りのあったんだけど、僕らは寝ることにした。
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