第46話 クエスト:先輩を探せ
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
マスターが冒険者ギルドを退職したので今日はマルチドの冒険者ギルドへと来ている。
ギルドマスター:
エルフ族のように老けないお前らの方がおかしいんだ。
ギルマスも十年という歳月には勝てないらしくて少し老けたように感じる。
そんなことを考えているとギルマスの皮肉を躱して先輩の行方について聞いてみる。
ギルドマスター:
先輩ってケーシの事か?
ケーシならエルフ族の嫁さん貰って、確か何処かに移住したかな。
ニーナ。ケーシが何処にいるか分かるか?
ニーナ:
ケーシさんですか?
ケーシさんなら妖精族の国にいるはずですよ。
何処にいるかまでは私にも分かりませんが妖精族の国の冒険者ギルドで聞いてみるしかないですね。
このニーナさんと女性はマスターの秘書をしているみたいだね。
三十歳g・・・何か寒気がするんだけど小夜ちゃんを見たけど「私じゃないよ」というような顔をしていた。
ロイド:
・・・。
ロイド君はジト目をするんだけどね。
ケイト:
あら?ケータさんお久しぶりですね。
お元気でしたか?
圭太:
ええ。お久しぶりですね。ケイトさん。
僕の受付を担当してた受付のお姉さんだ。
十年前はマルチドの冒険者ギルドはニーナさん、ケイトさん、もう一人の人(影が薄くて名前を憶えていない女性)の三人が受付を担当していた。ケイトさんが僕の担当だった。ニーナさんは、前のギルマスの秘書をしていた女性の方が辞められたので秘書になったそうだ。
ケイトさんは結婚を期に退職されて今は二児(男の子と女の子)の母だ。
名も知らない女性の方(名前はアサヒさん)も退職されていたみたいで受付は僕の知らない人ばかりだった。ケイトさんが言うには先輩は竜王国にいるそうで、竜族の王族の方の所にお婿に入ったそうだ。
どうやら、勇者の肩書が有利に働いたそうで竜族なのに婿入り出来たそうだ。
ギルマスとニーナさんに言うことが違っているのだが・・・(><)
ギルドマスター:
こんなこともあるさ。
こんなこと言ってギルマスは誤魔化していたよ(;^_^A
何でも先輩の奥さんは竜族の王族の中でも次期竜王になられる方で竜王国の中では有名な方らしい。青い衣装に青い髪が特徴で幼い感じが凄く良いのだとか。現在は、竜師団の団長を詰めているような立派な人のようだ。
あれ?何処かで聞いたことがあるような肩書なんだけど僕の気の性だよね。
そんなことを聞いたので僕らは王国へと戻り竜王国の首都の冒険者ギルドへと【転移】を利用して向かう。
冒険者ギルドで【ケーシ】という冒険者について聞くんだけど知らないと答えられた。それではと【竜師団の団長さん】には何処で会えるのか聞くとお答え出来ませんと言われた。
圭太:
あれっ?
小夜:
おかしいわね。
もしかしたら【のじゃ】が竜師団の団長かもしれないので【のじゃ】の気配を【察知】で探してみる。気配は僕の近くにあったので、その姿が目視出来るのではと思い【のじゃ】を探したが見つからなかった。
ギルマスに話がしたいと申し出てSSランクのギルドカードを見せるとギルマスは今は来客中で会えないと言われた。来客が帰り次第で構わないから面会の予約をしてギルドの中で時間を潰すことにした。
そうするとギルマスと【のじゃ】が二階から降りて来て、二人は挨拶をして別れを告げていた。目的の人物が見つかったのでギルマスの面会を後回しにいて【のじゃ】を捕まえる。
圭太:
【のじゃ】。
君に聞きたいことがあるんだけど答えてくれるよね
半ば脅迫気味に聞いてしまった。
【のじゃ】は次に僕に会うと殺されると思っていたらしくて悲鳴をあげる。殺さないから大丈夫と言ったのだが信じて貰えなかったんだけど、小夜ちゃんが何とか話して落ち着いて貰えた。
圭太:
ケーシという冒険者が竜師団の団長さんと結婚か婚約したそうなんだけど知らないかな?
青い髪の少女:
妾は誰とも結婚も婚約もしておらんのじゃ。
ケーシという名の冒険者も知らんのじゃ。
圭太:
あれっ?
小夜:
あれれ?
圭太:
知らないなら仕方ないね。
引き留めて悪かったね。
そう言うと【のじゃ】と別れてギルマスとの面会に向かう。
ギルマスも【ケーシ】という冒険者については知らないそうだった。
先輩何処へ行ったんだろう?
妖精族の国の冒険者ギルドの方にいるかもしれないので王国経由で妖精族の国の王都へと【転移】する。
ここでも冒険者ギルドのギルマスに面会を申し込んで【ケーシ】という名の冒険者を探していると伝えたんだけどギルマスも職員も誰も知らないというのが答えだった。
マルチドで得た情報は全て誤情報だった。
もう一度マルチドへと向かいギルマスに確認するとギルマスやニーナさんやケイトさんは誤った噂の情報を信じていたらしくて本当にケーシが何処にいるのかは分からなかった。
他国の冒険者ギルドに問い合わせをすることは、いくらSSランクの冒険者でも出来ないと言われた。 冒険者ギルドでマスターに聞くのはOKでも国を跨いだ個人情報のやり取りは出来ないみたいだね。
もしかしたらと思ってエルフ族の国のマスターの所へ行ってみることにした。
以前、マスターがケーシが冒険者として活躍しているなんてことを言っていたので知っているかもしれないからね。マスターにケーシについて聞くとマスターからも行方は分からないと言われた。
冒険者ギルドを退職したから冒険者の情報なんて手に入らないし、組織のことに専念してたから情報すらないそうだった。エルフ族の王都へ来たんだから冒険者ギルドのギルマスにも聞いたけど何の手掛かりも得ることは出来なかった。
先輩って一体何処で何をしているんだろう。
余計に所在を知りたくなったと思うんだけど、小夜ちゃんは先輩のことだから大丈夫だよと言ってた。小夜ちゃんと先輩って相性が悪いから会いたくないだけかもしれないけどね。
先輩が殺されて死ぬなんてことはないとは思うけど行方は知っておきたいな。
気になり始めたら探すのが僕だ。
先輩の行方を何が何でも探して見せると意気込む。
現時点で先輩がいないと分かっているので
『エルフ族の国』
『妖精族の国』
『竜王国』
『人族の国』
『獣人国』
この短期間で五つの国の冒険者ギルドで確認出来ている。
残す国はドワーフ族の国だけなんだけど先輩はいないような気がする。
まさか、精霊族の国に渡る伝手でも得て精霊族の国にいるのかもしれないけど先輩はいないような予感がする。何処かのダンジョン探索しているって考えもあるんだけどダンジョンから探し出すのは困難を極めるしね。
小夜ちゃんがダンジョン攻略時のアナウンスを聞いてダンジョン攻略ってのもあり得そうではありけれど・・・小夜ちゃんがダンジョン攻略時の報酬は無かったんだ。
神様が言うには短期間でダンジョンを攻略し過ぎだそうで、本来なら一千年以上や一万年以上の間隔でダンジョンが攻略される頻度なのだそうだが、僕が攻略してからまだ十年しか経過していないので神様から早い過ぎると思われたんだろう。
若くしてダンジョンを攻略してしまった冒険者が他のダンジョンを攻略して冒険者人生を終える。その後にダンジョン攻略するような人物が現れるのは結構先のようだった。
それが一千年や一万年ぐらいの周期なんだろうね。
小夜ちゃんが攻略してしまったから今後十年は誰も攻略は出来ないし、休眠期間と言ってもダンジョン攻略が出来ないだけで探索は出来るしね。
結局、先輩は現在行方不明という事になった。
ドワーフ族の所でも見つからなかったからだ。流石にダンジョンの中は探せないしね。
小夜ちゃんも行方不明と判断したからか心配そうにしてる。
知り合いが行方不明だと誰でも心配はするよね。魔道具で先輩を探せないかと王国の職人さんの所へ訪問した。
職人さんに事情を説明するとそんな魔道具は作れないとだけ言われた。
まぁ、ダンジョンの中を【察知】する魔道具なんて無理なはずだしね。
先輩には小夜ちゃんの時と違って【位置表示】を付けていないからこんなに苦労しているのだ。小夜ちゃんには【位置表示】を付けた理由はエルフ族に召喚されたことが確実だった訳だし、エルフ族が何を企んでいるのか分からなかったから【位置表示】でどんな行動をしているのか直ぐに分かるしね。
先輩は人族に召喚された訳だけど人族の賢者(首謀者)を捕らえた訳だしステータスも低かったから安心していた部分もあったと思うな。
そんな話をしていたんだけど、僕と小夜ちゃんは信じられない人物を見つけてしまったのだ。何と先輩がこの王国で食事をしていたのだ。あれだけ探したのに先輩は王国にしたのだ。つい最近王国にやって来た可能性は否定出来ないんだけど、取り敢えずは先輩が無事で何よりだ。
圭太:
あれ?先輩じゃないですか?
こんな所でお食事ですか?
啓二:
ん?ケータか。
ここの食事が美味いと聞いて食べに来たんだ。
何処の国の食事も何か微妙だし、勇者の子孫とかいう連中の作る料理は名前ばかりで実物と全く違うしでな。
圭太:
異世界の食事は僕らの好みの味とは違いますからね。
啓二:
なぁ、ケータ。
お前の隣にいるは大森か?
圭太:
先輩。ここでは彼女は【サーヨ】と名乗っています。
元の世界の名前で呼ぶのは止めて下さい。
啓二:
おお。そうか悪かったな。
すまんな。サーヨちゃん。
小夜:
先輩。私はこう見えても先輩と同じ二十歳なんですよね。
同じ歳なのに『ちゃん付け』は止めて下さいよね。
私も先輩のことを『ケーシさん』と呼びますから『サーヨさん』と呼んでいただけますか。
何か小夜ちゃんが少し怒り気味で先輩に『ちゃん付け』で呼ばないように言ってるよ。ここで戦闘だけは勘弁して欲しいな(;^_^A
啓二:
サーヨさん。分かったよ。
それに、ケータ。
お前も俺の事を『ケーシさん』か『ケーシ』と呼べばいいぞ。
元の世界じゃないんだから先輩後輩関係も意味ないと思うからな。
異世界の先輩と言えばケータになるんだから今更先輩後輩もおかしいからな。
圭太:
僕には先輩は先輩と呼ぶクセがついているので厳しいかもしれません。
今後、そう呼べるよう努力します。
もしかして、ご飯のためにここへ来たんですか?
啓二:
そうだが、何か問題でもあるのか?
小夜:
何もないわ。それよりもケータ。
職人さんの所でケーシさんにご馳走してあげたら?
そう言うと小夜ちゃんは肘で僕に合図を送って来た。
例のテーブルの存在は教えられないが料理を食べさせるのは可能だしね。
圭太:
今ご飯を食べた所ですが、まだ何か食べる余裕はありますか?
啓二:
うん?
何か食べさせてくれるなら構わないんだが金に余裕はないぞ。
圭太:
お金の心配なら大丈夫ですよ。
ただ、そこで食べた物については詮索しないで下さいね。
何か元の世界の料理で是非食べたい物とかありますか?
先輩は暫く悩んだ挙句 僕にリクエストして来た。
啓二:
何でも良いのか?
それなら、お前らも知っている近所の定食屋のA定食って覚えているか?
圭太:
先輩が好きだったと噂の〇〇食堂のA定食ですか?
本当にA定食でいいんですか?A定食って肉野菜炒めではなかったですか?
小夜:
ケータ。それって本当なの?
啓二:
そうだが、何か問題でもあるのか?
A定食の味付けは俺好みなんだ。
馴染みのあるA定食を食べると元気が出て来るような気がするんだ。
大会に参加するような時もいつもあそこで食べてるから俺の勝負飯と言っても過言ではないぐらいの気に入ってるんだ。
先輩がそこまで〇〇食堂のA定食がお気に入りとは知らなかった。
小夜ちゃんと先輩には先に職人さんの所へ行っていて貰う。僕は屋敷へと戻り、〇〇食堂のA定食を例のテーブルを使って用意する。
容器やお皿も〇〇食堂そのものだったんだけど、入れ替える時間的な余裕はないからそのまま職人さんの所へと持っていく。先輩と小夜ちゃんが先に着いてるはずだから、職人さんには軽く挨拶だけして先輩へとA定食を差し出す。
先輩はそれを見て凄く驚いていたんだけど、先程は王国の食事処で食事を済ませたとは思えない勢いでA定食を凄い早さで完食していた。食べ終わった先輩は何故か目に涙を浮かべていたんだけどね。
啓二:
ケータ。ご飯ありがとう。美味かったよ。
それに本当に〇〇食堂のA定食だったのには凄く驚いたんだけど・・・
先輩はご飯のお礼を言った後 何かを言おうとして途中で止めたような感じがした。
啓二:
俺は人族の王都にいるから次は王都で会えるといいな。
じゃ、またな。ケータにサーヨさん。
そういうと先輩は人族の王都へと旅立って行ったみたいだった。
灯台元暗しとよく言ったものだね。まさか王国にまで美味しいご飯を探して来ていたとはね。
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