第43話 世界情勢
第三章のスタートです。
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
あれから十年の歳月が経過した。
僕は二十九歳になったんだけど、見た目の変化が全くなかった。
それは小夜ちゃんも同じだったんだけどね。歳だけ取った感じになってしまいギルマスとかには年取った姿を見せたくないから偽装してるんだろとまで言われる始末だ。僕が勇者と判明してから髪色の偽装も解いて黒髪に戻したから偽装なんて使っていないんだけど・・・・
小夜ちゃんは見た目、体型がそのままなので子供扱いされることが多い。
そのことに触れないように注意を払っているんだけどね。小夜ちゃんに対しての禁止語句はたくさんあるのでみんなで注意している。
シロとクロとアンは僕らのように見た目や成長が止まるなんてことはなかった。
シロとアンは普通の女性という感じの成長具合で出る所は小夜ちゃんと違って出てるからね。どことは言えないけど・・・。クロもお兄さんって感じでいい感じに成長してる。
一番年下のアンが十五歳を超えたので全員が冒険者になったことになる。
小夜ちゃんが僕の後を追うように冒険者になってもうSSランクに手が届く高ランクの冒険者だ。ランクアップの資格のSランクの魔石も十分な数を小夜ちゃんが売ってるしね。間違いなくSSランクの冒険者になるはずだ。
シロとクロも十歳当時は成長したら冒険者になるってことだったんだけど、一度は冒険者になってCランクにはなったけど今は冒険者の肩書だけなんだ。クロは王国の宰相候補として育てることにしたし、シロは秘書になりたいと申し出て来たからね。
アンは冒険者登録したばかりだからEランク冒険者になったかな?と思う程の低ランクだ。
僕と小夜ちゃんは婚約という形で落ち着いた。
小夜ちゃんがミソジにもなって彼氏もいないし出会いもない。ケータに責任を取って貰うと約束しているし何てことを言い始めて終わらなそうになったから婚約という形だけも取ることにしたのだ。
何れは僕が王様となった時に横にいるのが小夜ちゃん(王妃)となるんだろうね。シロとクロも僕と小夜ちゃんと境遇が近いからシロとクロも付き合うようになったそうだ。
出会いがないし転生者という理由からこの世界の人々と少し距離を置いたような雰囲気を二人は持っているからね。結婚は子供が出来てからと言ってはいるんだげ、ヤルことをヤレば子供はいつ出来てもおかしくないよ(;^_^A
もう十年も前のことになるんだけど、小夜ちゃんが師匠の所に入り浸っていたのは僕と結婚する為のアドバイスを貰っていたみたいだった。自殺の原因も僕が急にいなくなってしまって心が病んでしまってて何度か自殺未遂で済んでいたんだけど、立ち直ったかと思われた時に事故を装って自殺したようだった。
実の所は事故死か自殺かは分からないが本当の所なんだろうけど神様が自殺と言っていたから自殺なんだろうね。好きだった僕が、この世界で生きていると知って僕と結婚したいなんてことで師匠に相談していたそうだ。
僕が繁盛していない剣術道場に通っていると知って小夜ちゃんも道場に通うようになったとか色んなエピソードを聞かされた。結構小さい頃から僕のことが好きだったなんて僕は気が付かなった。
どうやら師匠は知ってたみたいだけどね(;^_^A
転移魔法を覚えるのも苦労したそうで、転移魔法を使って僕に夜這いを仕掛けた?時が行動開始だったみたい。夜這いは何とか切り抜けたんだけど、事あるごとに真っ裸の件(決着はついたはず)を持ち出していたしね。ケータは巨乳好きだから厳しいぞとか師匠は言わなくても良いことを言っていたみたいだし・・・。
決定打は、僕と小夜ちゃんが成長しないってことを師匠や神様から聞いた時だね。身体が成長しないから年数重ねれば見た目が変わらないまま何年も過ごすことになる。老化して死ぬことはないから一生この姿で過ごすことになるとか言われたよ。
そうなると他の人を結婚なんて決心がつかない。
愛する人の方が先に次々といなくなるからね。
小夜ちゃんは子供を作ることについては否定はしなかったけど肯定もしなかったね。子供が先に年取って亡くなることが分かってるから・・・その覚悟が出来るまで子育ては先かも。
僕らが成長しないのは勇者召喚の影響のようだ。
それでは、先輩も成長しないのかというと先輩は成長するようだった。エルフ族とかと同じように長寿になるそうだ。
これは勇者召喚の儀式が二つ同時に行われた影響だそうで先輩だけが不遇になったようだ。先輩が得るはずだった力を小夜ちゃんに配分されみたいだしね。
ー閑話休題ー
【王国】の建国が無事に出来た。
これまでは【圭太の王国】と呼んでいたが、この度【王国】として独立国家を名乗ることが出来た。王国の人口もやっと千人を超えた。
千人程度で独立国家というのもおかしいかもしれないけど(;^_^A
王都エリアは自由に移住出来るように開放したんだけど、王国への入り口は北部の海まで行かないと入国出来ない。沖合の海上に大き目の小島に関所と呼ばれる入り口を設置、そこから王国へと入国するんだけどね。
関所には、王国への出入国審査場への転移魔法陣しかない。
出入国審査場で入国の手続きを終え、王国へと入国が完了するって具合だ。王国から出る時は、出入国審査場にある転移魔法陣で元の関所へと運ばれる。
各国の妨害行為があった。
王国への入国=他国からの出国となる訳だから出国審査が厳しく規制されたからだ。国境の街を利用して出国するのは自由なのに、王国への出国には審査があって規制も厳しいのは差別だと思うんだけどな。出国審査が厳しいのに、海岸線の近くにあった元港町だった所が街となって大きく発展して人口や街並みなども大きくなっているんだけど・・・。
小夜ちゃんが消滅させたエルフ族は地方の領主が王権を継承することになった。王位継承してから、そろそろ五年ぐらい経つんじゃないかと思うけど具体的な年代は覚えていない。当時の王様の弟の子供に該当する人がエルフ族の王様となるようだ。領地は子供に継承されるみたいだし。
各国の王様の呼び名を僕が決めた。
人族の王様とか竜族の王様って呼ぶよりは愛称のようなものってことだった公募に参加しただけなんだけどね。
人族の王様は人王
竜族の王様は竜王
精霊族の王様は精霊王
妖精族の王様は妖精王
エルフ族の王様はエルフ王
獣人族の王様は獣王
ドワーフ族の王様はドワーフ王と呼ぶことになった。
ベタな愛称だけど各王様にも気に入って貰えたようで良かった。
王都にいるギルマス改めマスターが行っていた例の組織は上手く行った。
エルフ族の王都の三分の一もの土地を買い占めることが出来て土地の有効利用をしている。学校も出来たし商業施設も出来た。
冒険者ギルドも所有する土地内に誘致に成功して冒険者ギルドは新しく綺麗な建物になった。王都が消滅したんだから色々と新しくなるはずだよね(;^_^A
最初は前の場所に建てた方が良いとか言っていたみたいだったけど、人族の王都のギルマスの退職、エルフ族の王都のギルマスの殉職と相次いでギルマスが二人もいなくなってしまったから誘致の誘いを受けたそうだ。
新たに就任したエルフ族の王都のギルマスの相談役という形で補佐するみたいだし、例の組織ではマスターという役職だ。マスターとは取締役のことだ。
僕は何故だか分からないが組織の代表という立場にされていた。
出資者という立場だったんだけど、いつの間にか代表にされていたよ(;^_^A
ここと同様の仕組みを王国の方にも作って貰っている。
王国の子供たちには学校で勉強して貰うことになる。
その子供たちの親の仕事は草原や森林が主だ。
草原も凄い変わりようで某国のような機械で農業をしないと間に合わないと思うぐらい広大な農場が出来上がっているのだ。魔道具と人手を上手く使ってやり繰りしているそうだ。
収穫物は僕を経由して王都内や他国へと出荷している。
他国の地方とかの物流が大変な所に援助みたいな形だけど出荷しているのだ。街中での仕事はというと商店の手伝いになる。
飲食店とかも出来ているので色々と仕事はあるはずだ。
騎士や守衛の募集もすると正義漢の強い人はなりたいと言って来るのでディーンさんとクロが審査をして雇い入れている。結局、ディーンさんも屋敷の仕事だけではなく宰相候補の相談役みたいな立場に収まってしまったんだ。
僕の知らない間に上下水道や魔力の配線のような物が出来上がっていた。
屋敷の大元の魔道具があって、そこから各家庭へと繋ぐと自由に魔道具が使えるような仕組みだそうだ。どうやらクロが職人さんに元の世界のことを暈して伝えたからだと想像する。
僕が王国で儲けようと考えていないから、税金を一律にすることで住みやすい都市とする計画のようだ。税金は他国と比べてもかなり安いしね。魔力料金や水道料金とか使用料とかを計測して料金を徴収するのは面倒だしね。
元の世界のインフラ関係は大変な仕事だったんだね。
下水や汚水などは謎仕様の魔道具で害のない肥料とかに変わっているみたいだけどね。
住民たちの食事事情なんだけど、国への入り口は海が近いから魚料理を安価で食べることが出来る。肉料理の方も北部の森林地帯でモンスターを狩ったりすることも出来るから入荷出来る。野菜関係は草原の農場で作っているし、王国の森林地帯でも森での食べ物(果実やキノコ類)を入荷出来る。
今の所は王国の人口も少ないので食材に困ることはなさそうだ。
将来、王国の人口が、今の千人から百倍の十万人都市となると食料供給は不足すると試算してはいるが・・・そんな人口になるかどうかは不明だしね。
王国に何故だか分からないけど30宿の料理店が出来ていたよ。
小夜ちゃんやシロやクロがそれぞれが行ったみたいだったけど文句を言うばかりだった記憶があるね。例のテーブルで元ネタの料理が食べられるんだから行く必要ないと僕は止めたんだけど・・・。
王国では住民が暮らして行けるように稼げたら良いと思っている。
僕に利益は必要がない。魔石さえあれば不自由なく暮らせるからね。食事も困らないし、武器や防具も必要ないし、建築系も魔力があれば出来るしで不自由なことは一切ないからね。
前までは僕一人で行動してんだけど、小夜ちゃんとパーティーを組んでからは小夜ちゃんと行動を共にするようになった。僕らはエルフ族の王都に新しく出来た冒険者ギルドに立ち寄ると、どうやら僕のことを【絶望】という二つ名を付けているようだった。
僕と小夜ちゃん二人でパーティーを組んでいるんだけど、【絶望のコンビ】とか【絶望のパーティー】とか言っているんだけど、僕らは絶望なんてしていないとツッコミを入れたいぐらい絶望という言葉が良く使われていた。
それに僕らのパーティー名は【勇者の剣】だしね。
お互いが勇者の称号を持ってて、剣術の使い手ということから【勇者の剣】と名付けたんだ。
小夜ちゃんの事は【絶望の恋人】と呼んでいるらしく、小夜ちゃんは恋人という響きにうっとりしてたんだけどね。
冒険者ギルドに来たのはモンスターの素材を売りに来たんだ。
ダンジョンは休眠期間から再開したけど、小夜ちゃんをSSランクの冒険者にするのに使ったから再び休眠期間になったけどね。
その時にモンスターを倒すと素材を落とすようになってたから売り捌いている。
神様に聞いたら素材がドロップし始めたから、きっと忘れていたんだろうね。【絶死のダンジョン】だけは素材は落とさないのは変わらないしね。
大人の冒険者には僕らの容姿が子供に見えるらしくて、見たことがない子供の冒険者がいると稀に絡んで来そうになるんだけど、高ランクの冒険者が即座に止めに掛かるようになってる事に驚いたね。
折角のテンプレだと喜んでいたら、横から肘で合図されたよ。
小夜ちゃんまでロイド君と同じような事をするね。
ロイド&小夜:
・・・。
二人してジト目は止めてよね(;^_^A
冒険者から稀に【勇者の剣】なら冒険者ギルドの象徴にもなっている勇者の剣が扱えるのではという声を聞くことがあるんだけど、あんなの巨大過ぎて扱えないよ。実際、師匠も使えないしね。僕の予想通りの例のお店の看板のような宣伝効果を狙った物だったしね。
男性冒険者:
大変だ!
掘っ立て小屋でモンスターの暴走だ。
男性職員:
何のモンスターか分かるかぁ?
男性冒険者:
詳しくは分からねぇがオークの軍勢が二万って話だ。
小夜:
掘っ立て小屋って何処にあるの?
男性冒険者:
知らないのか?
王都から南に一時間程行った所にある街の近くにある最近出来たダンジョンの事だ。
小夜:
掘っ立て小屋というから小屋かと思ったんだけど、ダンジョンだっていうのね。
男性冒険者:
それも掘っ立て小屋というけど、掘っ立て小屋のダンジョンは、掘っ立て小屋の集落付近から付いた名だ。
小夜:
ケータ。行くわよ。
オークは美味しいお肉が食べられるはずよ。
(((((何故、そこに注目する))))
ダンジョンからのモンスターの暴走ではなくて、オーク肉が美味しいらしいって事で行くという小夜ちゃんにはみんながツッコミを入れた(笑)
僕らは一旦、王国へと戻ってから【転移】で件のダンジョンへと向かう。この方が早く目的地に着くのだ。王国の【転移】を使えば知らない場所でも行けるからね。転移魔法だと一度行った場所じゃないと行けないけど【転移】は知らないくても目印があれば行けるからね。
僕ら二人で対応すれば一瞬で片が付くしね。
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