第31話 魔法の開発
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
僕は師匠に勇者について相談することにした。
おそらく、人族とエルフ族が同じ時期に勇者召喚を行ったことが原因で召喚が遅れたのではないかという結論に至ったのだが、予想されていた【身体能力】が竹田先輩の方は低かったのだ。
小夜ちゃんの方は洗脳か隷属かの腕輪を着けられたから【身体能力】が高いと抑え込めないかもしれない。竹田先輩は元の世界では事故で既に亡くなっているから元の世界には戻れないだろうという結論を出したが念のため神様に確認をしてみることとなる。
小夜ちゃんについては今後話合う機会があれば話を聞く事とした。
小夜ちゃんの方は何も分からないからね。もし、彼女も事故などで亡くなっていたなら、それも含めて神様に確認しないとね。それにしても破〇流双刀術なんて物の使い手に小夜ちゃんがなっていると思わなかった。
破〇流双刀術(同門)の使い手を殺さずに相手するのは面倒なんだよね。
間違って殺してしまいそうで怖いな。破〇流双刀術の対策というか攻略のようなものを聞いてみたが『パッと避ける』とか『グァーと打ち込む』とかの擬音ばかりで理解出来なかった。終いには身体で教えてやると言っていたのだが、今は遠慮して貰った。
エルフ族は僕のことを魔王呼ばわりしていたんだが、僕が勇者であることを人族から聞いたんだろうね。人族の賢者も僕が連れ去ったし人族の王城、獣人族の王城と二つもお城を崩壊させたんだから魔王扱いは仕方ないとは思うけど・・・流石に魔王はないよね(;^_^A
エルフ族や人族は何故そんなに覇権を握りたいのか理由が分からない。
勇者〇〇の召喚の時なら国境の壁も古の契約もなかったので権力や武力を持つという意味では勇者は効果的だろうが、今の情勢で覇権を手にした所で国境の壁を壊すことは出来ないし、古の契約を解除することも出来ない。
以前とは状況が違うんだから今更覇権を握る意味が僕には分からない。
人族の賢者の記憶でも念願の覇権を握るとだけだったので意味もなかった。もしかすると、古の契約の再契約なのかもしれないけど・・・。
一応、小夜ちゃんには【位置表示】を付けているから何か動きがあれば妨害に行けるようにはしている。先輩の方は悪ささえしなければ放置でいいと思うしね。
師匠が帰ったので、僕は外へ出て少しだけ魔法の練習をする。
間違って殺してしまわないように相手の動きを封じるには魔法しかないと思うからだ。
手に魔力を込めて【光の環】を作ってみる。
僕を中心に二メトル範囲の光で出来た大きな盾のような物が出来る。魔力を多めに込めているので大きな盾となったが本来は四十センチぐらいの魔法の盾だ。
一つの魔法で【光の環】と【魔法陣】と【魔法解除】の効果のある魔法が完成すると【魔法を打ち消す魔法陣】の完成である。魔法の概論だけは賢者の記憶を利用して作れたのだが、実際に魔法として機能させることが難しいのだ。
本当は魔法陣に【魔法解除】の効果を持たせる事で魔法陣の上に乗れば【魔法解除】が発動するなんてことなんだが、【魔法陣】の魔法は他の魔法と比べても直ぐに使用出来る魔法ではない。
人族の王城で【隷属】【痺れ】が掛かっていた魔法陣の作成に時間が掛かっていたのは【魔法陣】という魔法自体が安定するまでに時間が掛かるのだ。
目の前で魔法を使っても安定した効果が出るまでに時間が掛かるようでは実戦では使えない魔法になるので改良が必要だ。
【光の環】は賢者が作り出した魔法で、魔法を防ぐ盾を作り出す魔法だ。魔力だけを防ぐので【雷の矢】のような雷でも魔力だから防ぐことは可能なのだが、自然エネルギーである雷を防ぐことは出来ない。見た目は同じ雷なのだがエネルギーが魔力か他のエネルギーかで防げるかどうかが変わる。
魔力で出来たエネルギーなら防げるという訳だ。魔力で作られたエネルギーが原因でも影響が他の要因に変質してしまうとこれも防げない。
例えば、今は禁呪となって使えないが、【流星群】は宇宙から隕石群を召喚する魔法なんだが、召喚する行為は魔力を使っているが、召喚された隕石群という物が落下するだけなので物理エネルギーになる。物理エネルギーは魔力ではないので防げないって具合だ。
【光の環】は魔法を防ぐ効果があるので【魔法解除】の効果とお互いに反発し合うから中々上手く出来ない。これが完成すれば小夜ちゃんを魔法で作られた結界のようなものに封じ込めることが出来る。上手く結界の中に小夜ちゃんが足を踏み入れることが前提だけどね。
小夜ちゃんの意識が元に戻って結界の中で留まってくれれば何とかなると思うけど、例え結界の中に入ったとしても勢い余って出てしまったら意味がないのだ。この辺を上手く調節出来れば新たな魔法の完成なんだけど上手く出来ない。
三つの魔法の魔力を調節して【魔法を打ち消す魔法陣】は完成する。
完成したは良いが気が付くと夜になってたよ(;^_^A
結局、どんな風になったかというと、皿に乗った料理を銀色のドーム型の蓋を使って提供する場面をTVとかで見る機会があるけどそれの応用だね。透明なドーム状に変化させた【光の環】に【魔法解除】で作った銀色のドーム型の蓋の中に対象を入れる。
対象を中に入れた時点で足元に【魔法陣】が発生し即座に【魔法を打ち消す魔法陣】が発動するようにしただけだ。蓋をした瞬間に【魔法陣】が即座に展開出来るようにするのには苦労したけどね。
まだ問題点もあるが今の所は改善する時間は取れそうにない。
僕の目的は彼女を魔法の範囲内に入れて、隷属か洗脳か何か分からないが腕輪の効果を打ち消すことだ。範囲内の効果を打ち消すだけであって範囲内から出てしまうと魔法の効果はなくなる。
また、範囲の広さは約二メトルの範囲が有効なので、その範囲に僕が近づいて魔法を使わなければならない。一瞬だけど魔法を使うタイミングは破〇流双刀術の間合いに入ることになるのだ。
剣の使い手の間合いに入るということは殺傷範囲に入ることを意味し、一瞬でも殺されるかもしれない危険が出て来るのだ。一瞬で人を殺せるが剣の使い手だからね(;^_^A
小夜ちゃんと対峙して一瞬のタイミングに勝負を掛けるしかなそうだね。
やっとの思いで【魔法を打ち消す魔法陣】が完成したんだけど、ロイド君が思わぬことを言って来た。
ロイド
最初から【魔法解除の魔法陣】を隠しておけば良かったのでは?
敵からの攻撃と思われる魔法は打ち消すなり、【光の環】で防ぐなり出来たのではないでしょうか。
また、設置式魔法陣はご存じではないようなので説明だけでも必要ですか?
圭太:
・・・。
ロイド君の意見は最もだが、僕には厳しい意見だね(;^_^A
設置式魔法陣とは、カーペットのような物に魔法陣を事前に書いておく事で簡単に使える魔法陣のことで、世界に現存しているのは七つあるそうだ。失われた技術ってヤツだね。
賢者の記憶を辿れば作り方ぐらいは分かるだろうとロイド君は言う。
現存している設置式魔法陣は【絶死のダンジョン】への転移魔法に使われているそうだ。魔力を流すと五メトル四方の広さに魔法陣が展開されるそうで僕の努力が無駄になり泣きそうだ。
急場凌ぎで作った魔法だけに運用方法が難しくなったりするのは仕方ないと思う。
それに将来的にはもっと実用出来るような魔法に仕上げたいと思う。
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