第25話 代償の大きな悪戯
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
この話で第一章は終わります。
次からは第二章が始まります。
男性衛兵:
おい。
お前は何故あんなことをしたんだ?
圭太:
・・・。
男性衛兵:
ちゃんと言わないと罪が重くなるぞ。
何も言う気がなさそうだから今日は一日牢屋に入っていて貰おうか。
僕はそう言われ牢屋へと連れて行かれるのだった。
圭太:
どうしてこうなった?
遡ること数時間前の出来事
圭太:
ロイド君。
首都に着いたけどダンジョンの情報が冒険者ギルドでしか手に入らないのかな。
ロイド:
ダンジョンは冒険者しか利用出来ないので情報はギルドになるでしょうね。
僕たちはそう話ながらギルドへと向かう。
ギルドの受付のお姉さんに【世界中のダンジョンの位置】について、どう調べれば良いのか尋ねようとすると、いきなり僕に殴り掛かって来ようとする少し年配と思われる獣人族の男性に絡まれた。
男性獣人族:
お前がルークかぁ~。
僕は堪らず、その拳を避けて足を払うと獣人族の男性は勢い良くギルドのカウンターへと突っ込んで行った。
『ガッシャーン』
物凄い音を血まみれになった先程の男性がなんとか立ち上がろうとしていた。
いつの間にか僕の周囲にはたくさんの衛兵がいて取り囲まれてしまった。
男性衛兵:
おいお前。何をした?
圭太:
彼が、いきなり殴り掛かって来たので避けただけです。
正当防衛ですよ。
男性衛兵:
お前たち。こいつを連行するぞ。
圭太:
・・・。
僕は訳も分からずに衛兵に連行されることになる。
そして冒頭のような出来事となり投獄されたのだった。
圭太:
ロイド君。
獣人国は獣人族相手に正当防衛でも危害を加えたら駄目なの?
ロイド:
いえ。そのようなことは初耳です。
何故、このようなことになったのか私にも分かりません。
圭太:
ここから逃げるのは簡単だけど、何が起こっているかは確認しないと駄目だよね。
もし、獣人国が面倒な国と分かったら人を殺さずに王城だけを壊滅させちゃっても良いんじゃないかな。
ロイド:
ル、ルーク様?
それは物騒過ぎる考えなのでは?
圭太:
そんなに物騒なことかな?
師匠だって人族のお城を壊滅させちゃったんでしょ。
ロイド:
あれとは意味が違いますよ。
あの時は勇者〇〇様と人族との戦争でした。
今回とは意味が違うのではないでしょうか。
圭太:
えへへへ・・・(;^_^A
ロイド:
ま、まさか。
圭太:
もう遅いよ。
今頃はアイツがスイッチの上に座る頃じゃないかな。
ロイド:
スイッチとはどういう意味ですか?
圭太:
あの獣人族の男性が殴り掛かって来る直前に【鑑定】を掛けたんだよ。
すると獣人族の男性は何とこの国の王様だったんだよね。
王様がこんな仕掛けをしたんだから、僕の方も少しばかり細工をして獣人族の男性が玉座に座ると王城が崩壊するように切れ込みを入れてみたんだ。
聖剣使ってスパッと斬ったから誰も切れ込みが出来たなんて気づかないはずだよ。
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一方、別の場所では
警備の兵士:
コルト様。大変です。
そう二人の会話を遮るように警備の兵士と思われる者がそう叫びながら部屋へと入って来た。イルムとコルトは何が起ったのか護衛の兵士に問い掛ける。
コルト:
何事だ?
警備の兵士:
例のルークが、【森林のダンジョン】の攻略からそんなに日も経っていないのに首都入りしました。
イルム:
ヤツは首都に来たか。
コルトよ。どうするんだい?
コルト:
まぁ、いつもの様にするだけさ。
イルム:
はぁ。
いつもの様にって・・・大変な目に合っても知らんぞ。
コルト:
俺はヤツの顔を見て来るよ。
では、イルム。研究の方は任せたぞ。
イルム:
ああ。お前は何を言っても止まらんだろうからな。
勇者〇〇のように怒らなければ良いんだけどな。
そう言うとコルトが部屋から出て行くのをイルムは見送り自身の研究机へと向かう。これから起こることを案じそう彼は一人呟くのだった。
コルトは例のルークが冒険者ギルドの方へ向かっていると知らせを受け、先回りしてギルドの入り口ら辺でルークが来るの待つ。
コルト:
あれがルークか?
男性衛兵:
そのようですね。
コルト:
じゃあ。いつもの様に行くぞ。
男性衛兵:
はい。畏まりました。
俺たちはいつもの様に名を上げて来た冒険者に悪戯を仕掛ける。
無実の罪を着せ牢に入れ、翌日に獣王の名の元に処刑すると宣言する。処刑すると宣言した冒険者に俺様と本気で勝負して勝ったなら処刑はなしにしてやるというやり取りを行い、晴れて俺は名を上げた冒険者と勝負が出来るという計画だ。
普通に名を上げた冒険者を王城へと呼び出して勝負を挑んでも断られてしまう。
いくら俺が獣王だと言っても無理矢理勝負させるなんことは無理がある。そこで考えたのが獣王の俺に冒険者が殴り掛かり怪我をさせたと無理矢理投獄し無理矢理勝負を受けさせる手を考えた。
獣王コルト:
よし。上手く行ったぞ。
明日が楽しみだな。
まだ公務のやり残しもあるから宰相を呼び、宰相が来るまでの間玉座に座って待つことにしたのだ。
獣王コルト:
えっ?
玉座に座ると【ピキっ】という何か嫌な音がしたと思った。
玉座を中心にどんどん王城が壊れていくではないか。一体、何が起こった?俺は玉座に座っただけだ。急に城が崩壊するなんてあり得ない。獣王が玉座に座ったことでルークの仕掛けた罠が始動し始めたのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
轟音と共に王城が崩れていく。
街を行く人々も突然のことに驚き壊れて行く王城を眺めるしか出来なかった。
男の子:
ママー。お城が壊れて行くよ。
そんな子供の声が聞こえたかと思うと王城は瓦礫の山へと変貌していたのだった。
獣王コルト:
何でこうなった?誰かいないか?皆は無事か?
瓦礫の中から這い出し、そう叫んだが何の返事はなかった。
こうなった原因を考えるが思い付かない。それもそはずだ。急に王城が崩壊するなんて誰も考えるなかった。
もし、こんなことを出来るのはアイツしかいない。
アイツが首都へ来なければこんなことは起こらなかった。アイツを投獄し俺が玉座へと座ってからことは起きたのだ。まさか、アイツの仕業か?
そう考え一路牢へと向かうのだった。
首都の王城が崩壊したのに誰も死者は出なかったのだ。街の人々は、あれだけのことが起こって死者が一人も出なかったことに安心する。多少の怪我人は出たそうが・・・。
僕は牢から出され、街中の豪華な作りの屋敷へと通される。
何故、こんな屋敷かというと王城が崩壊し王家が管理している屋敷で僕に話があるようだ。流石に、獣王様が牢へと出向いては面目は保てないし体裁も悪いからね。
警備の兵士:
おい。
お前はどうして投獄されたのか分かっているのか?
圭太:
知りませんね。
警備の兵士:
お前は獣王様に怪我をさせたそうではないか。
圭太:
あれは獣人族の男性の方から殴って来たので避けただけですが・・・。
警備の兵士:
避けただけであのようになるとでも言うのか?
圭太:
そこに隠れて様子を伺っている獣王様とやらにお聞きになられた方が早いのでは?
警備の兵士
・・・。
獣王コルト:
・・・
イルム:
・・・
圭太:
獣人国では獣王様がいきなり冒険者を襲い、それを避けたからと言って投獄するような国なんですね。
冒険者ギルドに報告したり、他国のギルドにも報告したりすると不味いんじゃないですか?
「獣人国では獣王様が至る所からいつでも襲って来る」なんて噂が立つと・・・。
それに今回の件は僕は被害者です。
それでも僕を裁くのであれば、獣王様とやらも含めてこの館にいる者全てを片付けても良いのですが・・・。
警備の兵士:
我らを簡単に片付けるとでも言うのか?
圭太:
そうですよ。王城の件は僕からの警告です。
それでも向かって来るのでしたらどうぞ。
警備の兵士:
王城はお前の仕業?
馬鹿を言うな!
城を崩壊させるような素振なんてなかったぞ。
圭太:
それも疑うなら構いませんよ。
獣王様には僕のアレが見えているはず、いや見たはずですからね。
扉の向こう側で中の様子を伺っていた獣王コルトがさも今来たという風を装って扉を開けて叫ぶ。
獣王コルト:
俺には見えていないかったぞ。
出鱈目を言うんじゃない。
圭太:
そこまで白を切りますか。
イルムさんもそこにいるんでしょ。
魔力が漏れていますから分かってますよ。
イルム:
バレれていましたか。
圭太:
お二人が仲の良い関係だとは知りませんでした。
イルムさんに聞きたいことがあります。
イルムさんは何故 怪物という存在を作り野に放っているのでしょうか?
イルム:
あれは勇者〇〇に対抗出来るモンスターを作っているの過ぎない。
圭太:
本当にそうでしょうか?
僕は旅先で人型、クマ型、竜種型の三種類の怪物と出会い戦いました。
そこには一般の商人や旅人や子供までもいました。
おそらく、僕がその場に居合わせなかったら彼らは全滅していたでしょう。
それでも構わなかったと言うのですか?
イルム:
・・・。
圭太:
研究の為なら、無関係の一般人が死のうと関係ないと言うのですか?
それに勇者〇〇にあのような怪物では対抗なんて出来ないですよ。
イルム:
何故、お前にそんなことが言えるのだ?
圭太:
この僕でさえ余裕で倒せるんですよ。
僕の推測ですが、あの怪物の五倍ぐらい?いや十倍ぐらい?
最低でもそれぐらいの強くなければ勇者〇〇には敵わないと思います。
それ程勇者〇〇は強いお方です。
イルム:
まるで、会ったことがあるような言い方だな。
勇者〇〇は過去の存在だぞ。
圭太:
勇者〇〇は僕の師匠ですよ。
僕が召喚される時に技や技術などを教えて貰いましたからね。
イルム:
お前が勇者〇〇の弟子だと?
それであんなに強いのか。納得だな。
獣王コルト:
お前の目的は一体何なんだ?
圭太:
理由を教えても良いのか分かりません。
僕自身の能力アップです。
何の為に能力アップする必要があるのかは言えませんがね。
出来るなら【絶死のダンジョン】の許可を頂きたいですね。
獣王コルト:
お前。あそこに挑むつもりか?
止めておけ。死ぬだけだぞ。
圭太:
許可を貰えないなら世界中のダンジョンを攻略してしまうだけの事です。
手持ちの情報では十四個のダンジョンの位置は把握しております。
手始めに十四個を攻略してから改めて獣王として承認を頂けたらと・・・。
獣王コルト:
まぁ、いいさ。
おい。これをやろう。
僕はそういうと席を立つ。もちろん、腰の聖剣に手を掛けてはいるが・・・
そういうと獣王は黄色に輝く丸い球を投げて寄越した。
圭太:
これは?
獣王コルト:
それがお前さんが望んでいた獣人国の承認の証の球だ。
七つの球全てを【絶死のダンジョン】の入り口にある腕輪に装着すればダンジョンへ入れる。
まぁ、出来るなら死ぬなよ。
俺もあんまり詳しくねえが精霊族の国さえ何とかなれば【絶死のダンジョン】には行けるだろうよとしか言えねえ。
あの国が何処から行けるのか誰も知らねえからな。
今回、僕が受け取ったような承認の玉は七つある。
・竜族の竜王国
・獣人族の獣人国
・妖精族の妖精族の国
・ドワーフ族のドワーフ族の国
・人族の人族の国
・エルフ族のエルフ族の国
・精霊族の精霊族の国
それぞれの国の王族や王様などから承認の玉を集めると七つになる。
獣人族の獣人国の獣王コルト様から黄色の承認の玉を受け取ったことになる。
【絶死のダンジョン】に行くには残りの六つの承認の玉が必要だ。
僕が獣人国の承認の玉を受け取り、立ち去ろうとするとイルムさんが呼び止めた。
イルム:
私は諦めることなんて出来ない。
最強のモンスターを作る研究は諦めないよ。
圭太:
それはイルムさんの自由だから僕は止めない。
古の契約に触れるのだけは止めた方がいい。
あの契約は口約束や書面での契約なんてものよりも危険な契約だよ。
下手をすると国が亡ぶかもしれない程に危険なんだ。
それを分かった上でならいいんじゃないの?
獣王コルト:
まさか、アイツが勇者〇〇の弟子だったとはな。
王城をどうやって壊滅させたかまでは分からなかったが俺にはあんな事はできねえ。
アイツよりも上を行く勇者〇〇もそうだが俺はアイツらには手を出さねえって決めた。
イルム。研究も大事だが人や国が亡んじゃあ駄目なんじゃあねえか。
イルム:
そうですよね。
勇者〇〇が平和を願って古の契約まで作ったのに我々がそれを壊そうとするなんて駄目ですよね。
ルークとかいう勇者が何をしようとしているか気になりますが、研究は暫くは休止としましょうか。
コルト獣王様。今までありがとうございます。
獣王コルト:
まぁ、俺が戦闘を楽しむために協力してもらったんだしな。
イルムよ。俺の方こそありがとうな。
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