第24話 快挙 ダンジョン攻略
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
僕たちは次の日【深森のダンジョン】の攻略にダンジョンボスの間へと降りる。
降りた所は少しだけ広間になっていて、ここでも泊まれるようにはなっていた。大きな豪華な扉が僕たちを待ち構えている。今までの扉とは異なる作りの豪華さだ。
扉を開けて中へ入ると誰かがいるような気配を感じる。
イルム:
君が我が領域へと足を踏み入れた者かな?
私には君が強いとは感じないが、ダンジョンボスに挑むということで違いはないかい?
圭太:
そうだけど、貴方は誰ですか?
何故、こんな所にいるのですか?
イルム:
私はダンジョン案内人の【イルム】だ。
私の作品を倒して見せてくれ。
ロイド:
ルーク様。イルムと申す者は【悪魔族】です。
警戒なされていた方が良さそうです。
圭太:
悪魔族?
イルム:
よく私が悪魔族ということに気が付いたな。
悪魔族は人からは忘れられた種族だというのに・・・。
圭太:
魔族とは違うのかな?
人から忘れられた種族って・・・。
イルム:
我々を魔族と間違えるとは残念なヤツだ。
そんな君には手強い相手を用意してやろう。
どうやらイルムとは話が微妙に嚙み合っていない。
ロイド君と話をしているのに勝手に割り込んで来て何やら話に加わって来ているからだ。
圭太:
悪魔族と魔族は違うのか。
悪い魔族が悪魔族って事?
イルム:
君は悪魔族を愚弄するつもりなのかい?
悪の魔族ではない悪魔族だ。
圭太:
【魔王】がいる方が悪魔族ってこと?
イルム:
【魔王】の名称は魔族の王のを指すのだ。
君は何も知らないのだな(;^_^A
いいだろう。
君が何も知らないから魔族と悪魔族の違いを私が教えてやろう。
魔族は元々は人族の間で魔人族と呼ばれていた人族の事だ。
人族の中には魔人族を同種族というのを嫌う者たちが多くいて魔人族を見下した言い方が魔族だ。
彼ら魔人族を人族ではないという意味を込めてな。
悪魔族の方は人から悪魔と呼ばれていた種族のことだ。
精霊界のようにこの世界に連なる次元にある魔界に住む種族のことだ。
大方、人が六つの国を作ったことから国が存在せぬ種族が忘れられた種族となったのではないかと我々は思っているがな。
それよりも私の作品の相手をしてくれるのだろうな。
ダンジョンボスとして活躍出来るよう作った渾身の出来の魔物だ。
人族の森で勇者?に敗れたようだが、君が勇者ではなさそうだから・・・。
圭太&ロイド:
・・・。
圭太:
ロイド君。もしかして・・・。
ロイド:
多分、間違いないでしょうね(;^_^A
イルムは、例の異様な魔力を持つ魔石を懐から取り出すと部屋の中央へと投げた。
イルム:
【〇△□】出でよ。
怪物:
ギャオオオオォォォォー
僕にも分からない言語で呟くと魔石が光り輝き例の翼を持つゴ〇ラがその姿を現したのだ。大きな雄叫びと共に現れたのだが、以前の姿とは異なっていた。濃密な魔力を放ち両手には籠手をしており籠手には爪が付いている。以前は十メトル程の大きさの怪獣って感じの魔物だったのだが、二メトルぐらいの大男と大差ない大きさと格闘家を思わせる爪の付いた籠手を装備しているのだ。
圭太:
怪獣の次はリアル特撮ごっこかよ(;^_^A
ロイド:
・・・。
ロイド君は僕の呟きのジト目を向ける。
まるで、特撮の撮影に登場してしまったかのような雰囲気になってしまっているのだ。
圭太:
先手必勝。
【二の太刀:十文字(クロス】
【十文字】をモロに受けた怪物は登場するや否や消滅してしまった。
その場には異様な魔力の魔石だけが残っていたのだ。
イルム:
・・・。
イルムは呆然として何も言えなかった。
さっさと魔石を回収すると何処かへと去って行った。まるで、何もなかったと言わんばかりに去って行ったのだ。
圭太:
何だったんだ。アイツは?
ロイド:
・・・。
圭太:
ん?ロイド君。
何か言いたそうだね。
ロイド:
場の空気を読んで下さい。
これからご自慢の怪物と戦う様子を伺うつもりだったイルムは、
いきなり怪物が倒されたことに呆然とされていました。
去り際に「空気ぐらい読めよ」と言いたげに去ったのは分かりましたか?
圭太:
・・・。
こうして僕は【深森のダンジョン】を攻略したのだった。
ダンジョンは攻略されて休眠期間に入るのだが、僕たちが予想していたような休眠とは違っていた。
①ダンジョンで発見される宝箱やドロップアイテムが出なくなるという物。
倒した魔物からアイテムをドロップしなくなったり、モンスター以外にも宝箱が出現することがあり、その宝箱が出なくなるのだ。
②ボスの再登場する時間が長くなるという物。
ボス部屋から冒険者がいなくなっても扉が開くまでの時間が一時間ぐらい掛かるようになった。
③ダンジョンボスの間への階段が出現しない。
百階層のエリアボスを倒した奥の部屋には本来なら百一階層への階段と転移魔法陣があるだが、百一階層への階段はなくなり転移魔法陣のみがあるのだ。
【冒険者ルークにより深森のダンジョンは攻略され、これより深森ダンジョンは休眠期間に入ります】というアナウンスが世界中の人々に流れた。続いて、『【深森のダンジョン踏破者】の称号を得ました』とメッセージが僕にだけ流れた。
当然、アナウンスは僕にも聞こえていた訳で
圭太:
これって、全ての人に僕が【深森のダンジョン】を攻略したのが知れ渡ったって事?
ロイド:
そのようですね。
【ダンジョン踏破者】の称号を得たのではないですか?
圭太:
そうだけど、世界中に知られるとは思ってもいなかったよ(;^_^A
__________________________________
ーこの後の出来事ー
・ギルドで赤い槍の件を伝えて槍を渡す。
槍の持ち主に該当する者はいなく、何故、槍が箱に入っていたのは原因が不明との事。冒険者たちが忘れて残した槍であるならボス部屋に残るはずだから原因が不明と判断したようだ。
・ダンジョン探索で得た魔石の買取などを含めた報告
Dランクの魔石二個、Cランクの魔石二個、Bランクの魔石二個、Aランクの魔石二個、Sランクの魔石二個の買取額は金貨二百二十二枚、銀貨十二枚、銅貨二十二枚で受け取った。
・ダンジョンを踏破した事で僕の冒険者ランクはSランクになった。
Aランクへの昇格が近かった僕はAランクの魔石二個とSランクの魔石二個の入手でAランクに昇格、ダンジョン踏破でSランクへのランクアップが承認された形だ。
南部の【深森のダンジョン】の攻略が終わった僕たちは次を何処のダンジョンにするか迷っていた。北部の【湖畔のダンジョン】までは首都を超えて北部まで行くから、ここからだと約四十日も掛かってしまうのだ。転移魔法で前に飛竜に乗った場所まで戻ったとしても約二十日は掛かる計算だ。
圭太:
ダンジョンの休眠が思ってたよりも冒険者が探索出来ないってことでもないから、ここは思い切って【竜種のダンジョン】や【森のダンジョン】を攻略してしまうのも良いんじゃないかと思うんだけロイド君ならどうすれば良いと思うかな。
ロイド:
それもアリと思いますね。
冒険者たちへの影響を考えた上での【竜種のダンジョン】や【森のダンジョン】の攻略を控えた訳ですから、それをしなくても良いとなれば手当たり次第攻略しても冒険者たちへの影響は少ないでしょうね。
ただ、手当たり次第となるとルーク様の評判に問題が出て来そうな・・・。
圭太:
首都の近くにダンジョンはあるかな?
ロイド:
首都の近くでしたら、首都から北に六時間ぐらい行った王家の谷と呼ばれる渓谷に【谷間のダンジョン】と呼ばれるダンジョンがありますが・・・。
圭太:
何か微妙な名称のダンジョンだけど攻略しなくても行くだけ行ってみるよ。
ロイド:
どうされるのですか?
圭太:
僕は、もう自重する意味がないように思うんだよ。
ダンジョンを攻略すれば世界へアナウンスされるから攻略を誰にもバレないようにするのは無理になった。
攻略する日程も考えなく攻略してしまったから最速で攻略してしまっていると思うんだ。
誰に気兼ねなく攻略するなら、自重なんてする必要がなくなると思うんだよ。
【谷間のダンジョン】の位置を把握したらダンジョン攻略を開始する。
まず初めは【森のダンジョン】を攻略するよ。
次に【谷間のダンジョン】を攻略して最後に【竜種のダンジョン】を攻略しようと思うんだ。
移動時間を転移魔法で短縮出来るから問題はないと思うんだけど、ルークという人物が僅か日数で次々とダンジョンを攻略していくとは誰も思わないと思うんだよ。
【深森のダンジョン】から【森のダンジョン】へと移動し攻略するのにも普通に考えたら約四十日~五十日ぐらい必要な訳だしね。
そして【谷間のダンジョン】へと移動し攻略した後に【竜種のダンジョン】を攻略したなんてアナウンスが流れてもルークという人物が同一人物とは誰も思わないんじゃないかと考えるんだ。
ロイド:
それは冒険者ギルドにルーク様のことを把握されてしまうのではないでしょうか。
ダンジョンへ入るにはギルドカードの確認があります。
この問題を解決しない限りは、ルーク様の移動手段が転移魔法であることを推測されてしまいますよ。
あのアナウンスが原因で、おそらくはルークという人物の素性を調べていると思われます。
このまま多くのダンジョンを攻略されるのなら、遠慮なく手当たり次第に攻略してしまっても良いのではないでしょうか。
__________________________________
ー別の場所で何かの作業をしているイルムとそこへやって来た者との会話ー
コルト:
よう。イルム。
例の怪物の調子はどうだい?
イルム:
良くはないですね。
小型化に成功したと思えば倒されてしまいましたよ。
コルト:
あれを倒すヤツがいるのかい?
イルム:
そうです。一瞬でしたが【勇者】の称号が確認出来ました。
コルト:
そいつは【勇者】ってことか。
まぁ、勇者なら怪物を倒して仕方ないか。
イルム:
私の傑作を倒して貰っては勇者でも仕方ないって事では済みませんよ。
コルト:
でも、そいつが【勇者】なら対になる【魔王】の存在は確認出来たのかい?
イルム:
【魔王】の存在は確認出来ていませんが、おそらく【魔王】は顕現していないのではないかと。
コルト:
【魔王】はまだ顕現していないだと?
イルム:
あの勇者はおそらくは実力をつけた勇者でしょう。
あの怪物を一瞬の出来事で倒してしまえるような存在は勇者でも実力が伴わないのでは無理なはずです。
コルト:
実力をつけた勇者なら、それがあり得るって事か?
イルム:
はい。
竜種タイプの小型化までした怪物を倒せるのは実力者しか考えられません。
コルト:
誰かが勇者を召喚して成長したのがその勇者ってことか。
また、面倒なヤツが出て来たな。
イルム:
私の研究もまだまだですよ。
対勇者〇〇を想定して作った魔物が本人ではないですが勇者の称号を持つ者に敗れた訳ですからね。古の契約に触れないように作る事は面倒でしたが・・・。
コルト:
勇者〇〇って・・・過去にいた初代勇者のことだろ?
そんなに強かったって記録はないぞ。
イルム:
確かめた訳ではありませんが、勇者〇〇は召喚直後でも当時の騎士団長と対等かそれ以上の力があったのではないかと考えられています。
例え勇者でも召喚直後は素人同然です。
素人レベルの勇者が熟練の騎士の、それも騎士団長と対等に渡り合えるものでしょうか。
コルト:
それは、本当にあり得ない事なのか?
元の世界で格闘など戦うことに慣れた者ではないという確信はないはずだ。
イルム:
存在しないとは断言しないんですね?
コルト:
そりゃそうさぁ。
何事にも絶対はないからな。
それで、今度は何をベースにするんだい?
イルム:
【竜人】をベースにしようと考えてはいる。
コルト:
竜人は無理だろ?古の契約に触れちまうぞ。
イルム:
君は何故、竜人が竜人と呼ばれているのか知っているのかい?
警備の兵士:
コルト様。
大変なことが起きました。
そう二人の会話を遮るように警備の兵士と思われる者が叫びながら部屋へと入って来た。
評価やブックマークをしていただけると励みになります。
ー投稿中の作品ー
赤の勇者 ~ちっちゃい聖女は伝説の勇者様?~
こちらの作品も宜しくお願いしますmm




