第23話 ダンジョン村とダンジョン
辺境のダンジョン周辺事情
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
早朝からダンジョンへ向けて出発する。
ダンジョンまで一日掛かるそうなので早めに出発した方が道中に野営しなくても済みそうだしね。ダンジョンへ到着すると、そこはダンジョン村だった。
どう表現すればいいのか微妙だけど、ダンジョンの入り口付近に出店や宿などがあり僅かに発展しているのだ。出店の中の『木桜商会』という名の商会が目が留まった。何でもこの商会は高額な素材でも市場価格の八十%で買取している。
金貨一枚の素材を銀貨八十枚で買取をしているのだ。
いわゆる、八掛けってヤツだ。
高額な素材を駄目にするという心配もあるが魔法のバッグで輸送しているので心配ないそうだ。冒険者が他の町などに自分で持ち込んで売るよりは安くなるが移動時間や馬車代金などを考えると八掛けでも買取して貰えるだけでも有り難いことなのだ。
買取して貰えない素材はダンジョン内で放置していた訳だから多少でも買取して貰えると助かるのだ。商店の方も売値の八十%で買取している訳ではなく仕入れ値の八十%なので儲けも出る。素材の劣化は魔法のバッグで防げるから単純に売るだけなら大儲けしているんじゃないかな。
それに、この商店では買取だけではなく販売もしていた。
なんとミスリル製の武器や防具を販売しているのだ。商会主の考えでは何処の支店でも不自由なく買い物が出来る事がポリシーで、例え辺境の場であっても少ない数であるが物は揃えておくようになったいた。
男性客:
木桜商会で買い物すれば、いつでも何処でも買える。
評判となれば大きな商会へと発展出来るからね。
ミスリルの剣が売っていたのでミスリルの剣を買うことにした。
圭太:
ミスリルの剣を買いたいのですが、いくらで販売していますか?
男性店員:
金貨十枚だよ。
金貨十枚だと日本円にして一千万もする高価な剣だ。
金貨十枚と言われてのでテーブルの上に金貨十枚をおくと店員は驚いた顔してこちらを見ている。何故かと問うと、こちらの人は手持ちの武器を買取って貰うとか値引きを交渉したりする人が多く、金貨を何の躊躇いもなく支払う人は極稀だとか。
ダンジョン探索する冒険者たちの生活基盤はこの村だが、昇格査定にギルドで魔石を買取して貰う必要がある。魔石は商店や商会でも買取しては貰えるが冒険者ランクはそれでは上がらないからね。
モンスター一体には魔石一個しか存在しない。
パーティーを組んでいる冒険者たちは魔石をギルドで買取して貰うことでパーティーの実績でランクアップしているのだ。
例えば、Bランクに昇格するにはBランクの魔石が十個以上必要になる。
冒険者個人がBランクの魔石十個を買取して貰えばBランクになれる訳だが、四人パーティーだと四十個のBランクの魔石が必要なんてことになって来る訳だ。そうならないようにパーティー単位で入手した魔石は一個からカウントする。
パーティーでBランク魔石十個を買取してもらうとBランク冒険者パーティーになれる仕組みだ。ギルドカードにはモンスターの討伐記録が残るから、それを昇格試験にすれば良いのに魔石を買取を利用している。
商会とかで売る方が高いからギルドに魔石が回って来ないからなんだろうね。
ダンジョン探索の準備も完了しているので早速ダンジョンへと向かう。【深森のダンジョン】にはどんなモンスターが出るのか楽しみだ。
ダンジョンへと入ると壁の色などの様子は【森のダンジョン】と変わらない。
出現するモンスターの種類だけが違ってくるのでモンスターの種類によっては苦労する冒険者たちもいるようなのだ。まぁ、僕が浅い階層で苦労するなんてことはないだろうね。
十階層の中ボスの部屋の前まで何の苦労もすることなく辿り着いた。
例によって扉の前では順番待ちする冒険者パーティーが『お前たちは、この後ろへ並べ』なんてことで順番を守らせてはいるが、ここでも同じような人がいるんだと感心しつつ僕の番が来るまで近くで待つ。現在の僕の装備は聖剣を腰に差したままのミスリルの剣を装備したソロ冒険者の恰好だ。
他の冒険者たちの殆どがパーティーを組んでダンジョン探索に挑んでいる。
獣人族の国だけに獣人族の冒険者パーティが目立つが獣人族のみのパーティーって訳ではないみたいだ。エルフ族の魔法使いぽい恰好の人、竜人の槍使いぽい人たちとパーティーを組んでいる人たちもいる。
皆それぞれに独自の恰好をしていた。
特に獣人族の戦士?格闘家のような恰好の人が両手の籠手に剣が着いている装備が印象的だった。ゲームとかに出て来そうな武闘家のイメージそのものだからだ。周りの人たちの様子を見ていると僕の順番になったので扉の中へと入る。
扉が閉まると十階層の中ボスが登場するのだが、Dランクのモンスターのゴブリンジェネラルだった。確か、僕の記憶に間違いがなければ十階層の中ボスが全てコイツのような気がする。他の冒険者さんに話を聞く限りでは他のDランクのモンスターも登場するのだが、僕の場合はゴブリンジェネラしか見たことがない。
まぁ、【森のダンジョン】の十階層ら辺をウロウロしたいた頃の記憶だし、あのダンジョンのメインはゴブリンとコボルドばかりだったし仕方なかったのかもしれないしね。難なくゴブリンジェネラルを倒して奥の部屋へと向かう。
ギルドからの依頼で箱の中の装備の回収も今日は僕の仕事だし、箱を開ける手順を踏んで箱を開ける。
箱の中には・・・何もなかった。
亡くなった人がいないくて良かったと安心する。
十階層の中ボスを倒した後は次の階層ボスのいる二十階層を目指す。二十階層のエリアボスもDランクのモンスターだし、流石に二回続けてゴブリンジェネラルなんてことはないよね?なんて不安になりながらも二十階層のエリアボスの魔へとダンジョン探索を足を進めた。
二十階層のエリアボスの扉まで辿り着く。
扉の前で順番待ちの冒険者パーティーはいたが、十階層の時と比べて待っている数が少なかった。僕はここまでほぼ一直線に進んで来たから、十階層と同じぐらいの数がいると思っていたんだけど、途中で帰った冒険者パーティーとかもいたんだなと思う。
僕の順番が来たので扉の中へと進んで扉が閉まるとエリアボスの登場だ。
二十階層のエリアボスは、赤い色の大きな蜘蛛だった。
モンスターの名前はレッドジャイアントスパイダと見たままの名前だった。森の中に出て来るような大きな蜘蛛の色が違うだけだった。
見た目は赤い蜘蛛だけなら良かったのだが、コイツの攻撃が嫌らしい攻撃ばかりして来る。ダンジョンの壁に向かって糸を吐き出し、その糸を使って自由に部屋の中を移動するのだ。移動中に糸を僕に向かって吐き出し、僕が避けると部屋の中は蜘蛛の吐き出し糸がどんどん増えて行き、僕の逃げ場がなくなるという仕組みだ。
大きな蜘蛛の場合は、張り巡らした蜘蛛の巣に獲物が掛かるのも待つタイプだったが、コイツの場合は糸で獲物を掴まえるタイプのようだ。
六十階層までは聖剣や強力な魔法を使わないと決めてダンジョン探索をしている。
師匠に言われた通りに技や技術を磨くためだ。
圭太:
【火の矢】を喰らえ。
何本もの火の矢がモンスター目掛けて飛んで行く。
【火の矢】は蜘蛛が張り巡らした糸の合間を上手く擦り抜け蜘蛛目掛けて飛んで行くのだ。ドシュドシュと矢が突き刺さる音と共に蜘蛛が落ちた。落ちた蜘蛛が暫くは藻掻いていたが、やがて魔石だけを残して消えた。
レッドジャイアントスパイダを倒した後は奥の部屋へと向かい箱の中を調べる。
箱の中には何もなかった。
冒険者パーティーは全滅していないと安心したが、低ランク冒険者パーティーたちがここまで来ていないかもしれけどね。この奥の部屋で少し休憩してから下の三十階層の中ボスへと進もうと思う。
二十一階層からは壁の色が青に変わる。
何度来ても赤や青の色の壁は目が痛くなる。もうこの階層になると他の冒険者の姿も見ることが無くなって来た。モンスターと戦闘した形跡がなくなって来たから、今は先行者がいないと分かる。
二十一階層からは先程までの階層と違いモンスターの強さが上がる階層だ。
二十階層までは、FランクとEランクのモンスターが出ていたが、二十一階層からはEランクとDランクのモンスターが出て来るようになる。この堺が冒険者たちが引き返すか進むかを決める選択の一つの理由になる。
二十一階層を進んでいると二十一階層のモンスターには敵わないと思った冒険者パーティーが戻って来た。
リーダー格の冒険者:
おーい。傷薬かポーションを分けてくれないか?
仲間が怪我をして戻れそうにないんだ。
救援を求めて来たので仲間の元へと案内して貰う。
僕の戦闘時の音で、他の冒険者が近くにいると分かり救援を求めて近寄って来たそうだ。動けない仲間の冒険者に近寄り、【身体蘇生】を使って回復する。【身体蘇生】は字面は身体蘇生だが上級の回復魔法だ。
身体欠損がなくても大きな怪我を直すのに使う回復魔法だ。
より高い効果を求める場合に使う魔法だ。
僕は【回復】は応急処置に、【身体蘇生】は大怪我になんて感覚で使っているけどね。部位欠損(腕を失う)の修復は【身体蘇生】では治らないので紛らわしい名称にも思えるが・・・師匠が僕の腕を治したのは確か【身体蘇生】だったけど気の性だろう。
リーダー格の冒険者
ありがとう。助かったよ。
ダンジョンの中なので何もないがこれを受け取ってくれ。
圭太:
それえは僕には無理だから気持ちだけいただくよ。
女性冒険者:
美味しいのに・・・。
お礼をくれようとしたが、本来なら冒険者のルールとしては受け取るべきなのだろうが、お礼の品が僕の苦手な物だったから断ったのだ。虫系のモンスターはどんなに美味しくても食べることが出来ない。
どうしても苦手意識がある虫系の食べ物は無理だ。
そんなやり取りをしてからダンジョン探索を進めて行く。こんなにゆっくりと探索したは初めてと思う。ボス部屋の奥の箱の中身回収の依頼がなければサッサと進んでいたと思う。
三十階層に入りボス部屋に扉は開いていた。
誰も順番待ちもしていないし戦闘中でもない。ボス部屋に入ると扉が閉まる。暫くして中ボスであるCランクのモンスターが出て来る。
中ボスは蟷螂だった。キラーマンティスという大きな蟷螂だった。
自慢の鎌を構え『キシャー』と威嚇する声を上げる。僕はミスリルの剣を構え、キラーマンティスと対峙する。
蟷螂の鎌を斬ったら、どんな反応をするのか気になったので実行しようと思っていた時期が僕にもありました。
ロイド:
・・・。
ロイド君のジト目を見るまでは・・・。
蟷螂の首を狩り、ボスの魔石を拾って奥の部屋へと進む。
箱の中を確認すると一本の赤い槍が入っていたのだ。槍以外は何も入っていなかった。
圭太:
ん?赤い槍が入っているけど、他に何もないよ(;^_^A
ロイド:
戦死した方の遺品なのでは?
圭太:
それだとおかしいんだよね。
冒険者の遺品ならギルドカードがあるはずだし、冒険者パーティーで戦死者が一人出たなら武器は回収すると思うんだよ。
冒険者が箱の中に遺品を入れることは箱を開けないと出来ないしね。
箱はギルドが依頼した冒険者しか開けられない訳だし、前任の担当者が槍を回収し忘れたとしか思えない。
回収し忘れた槍が箱の中に入るのかボス部屋に置き忘れた武器や防具が箱の中に残るのかまでは分からないけど・・・後でギルドに報告だけはしておこうか。
僕は赤い槍を回収して次の階層へと進むことにした。
次の階層では他に探索している冒険者パーティーに出会うこともなくスムーズに進む。四十階層のエリアボスは一メトルの大きさの狼が五体と三メトルの大きさのフォレストウルフだった。
先にフォレストウルフを倒してしまい統率の取れなくなった狼たちは簡単に倒せた。ボス部屋の奥の箱を確認して、今日はここまでにして休むことにした。ボス部屋の奥の部屋はセーフティエリアでモンスターが襲って来ない場所だ。
まぁ、入り口はボス部屋へと繋がっているし、下から階段を登って来るなんてモンスターもいないから安全な部屋なのだ。
この辺からミスリルの剣から聖剣へと武器を変えて進んで行くことにした。
中ボスやエリアボスがBランクのモンスターになるから用意しておかないとね。武器を聖剣に変えてから探索の調子が良くなったように感じる。楽に進めるようになった。五十階層で中ボスを倒し、六十階層でエリアボスを倒した時、僕はふと気になったことがあるのでロイド君に確認してみる。
圭太:
武器を聖剣に変えてから、ボス以外のモンスターを見かけないようになったけど気の性だよね?
ロイド:
気の性ではないですよ。
聖剣とルール様の称号【神をも恐れぬ者】の両方の影響で、私の推測ですがAランク以下のモンスターは逃げ惑っていると思います。
ルーク様の気配や足音を察知し逃げ隠れた結果がモンスターを見かけないとなっているのでは・・・。
罠などは察知のスキルで避け、称号と聖剣の効果でモンスターが避けなんて楽過ぎると思ったよ。この組み合わせだとSランク以上じゃないと僕にはモンスターが近づいて来ないってことなのだろうか。モンスターに嫌われるのは構わないけど、逃げなければならない程の恐怖の対象と見られるのは嫌だな(;^_^A
そんなこんなで僕は百一階層のダンジョンボスの間に挑む前に休むことにした。
百階層のエリアボスを倒した後に行ける奥の部屋で明日に備えることにした。
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ーダンジョン探索での出来事ー
Dランクのモンスター
ゴブリンジェネラル、レッドジャイアントスパイダの討伐で魔石二個
Cランクのモンスター
キラーマンティス、フォレストウルフの討伐で魔石二個
Bランクのモンスター
デススコーピオン、オーガの討伐で魔石二個
Aランクのモンスター
オークキング、巨大トカゲの討伐で魔石二個
Sランクのモンスター
アークオーガ(オーガの強化種)、虎山猫の討伐と魔石二個
金貨二百二十二枚、銀貨十二枚、銅貨二十二枚分の収入予定。
Sランクのモンスターを倒したことで能力アップを体感した。
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ー投稿中の作品ー
赤の勇者 ~ちっちゃい聖女は伝説の勇者様?~
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