第20話 勇者と聖剣 ※
勇者には聖剣です。
師匠の稽古は超ハードモード
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
黒髪の少年は僕の師匠だと言う。
僕がこの世界に来る五年前には亡くなっている師匠が異世界転生で十五歳の少年と転生したと・・・。僕と師匠しか知らない僕の恥ずかしい秘密を暴露すると言っているのだ。
圭太:
僕の秘密を暴露?
黒髪の少年:
お前にとっては恥ずかしい秘密じゃろうな。フハハハハハハハハ。
そういうと少年は僕の恥ずかしい秘密とやらを語り出す。
黒髪の少年:
お前は、巨乳に見とれて色々やらかしたよな。
電柱にぶつかったり、犬に噛まれたり、ドブに落ちたり、車に引かれそうになったりしたよな。
それに近所のトモちゃんだったかな?いや、チカちゃんだったかな。
名前をド忘れしちまったが、その子が十六歳ぐらいになるまでお前は男の子として見ていたよな。
スカート履いたその子を初めて見て女の子だったことに初めて気付いたなんてこともあったなぁ。それに・・・。
圭太:
・・・。
僕は呆然とした師匠も知らないと思っていたことを師匠だと語る少年がそれを知っている。近所の女の子を十六歳になるまで男の子と勘違いしていたことは僕と師匠だけの秘密だった。その女の子にバレたら面倒になるので師匠には黙ってもらっていたのだ。
圭太:
本当に師匠なんですね?
師匠:
初めからそう言っているだろ。
お前の腕は儂が直してやるから心配するな。
【身体蘇生】を使ったから その内に腕は元に戻るぞ。
そこにいるのはロイドじゃないのか?
ロイド。久しぶりだな?
ロイド:
ええ。お久しぶりです。
勇者〇〇様。
圭太:
えっ?えっ?
二人の会話に僕は混乱する。
師匠が勇者〇〇?ロイド君が勇者と面識がある?不思議なことを聞いたと呆気に囚われている様に師匠が手助けしてくれた。
師匠:
何だ。儂が勇者だって知らなかったのか?
ロイドお前は儂が勇者だって教えなかったのか?
それとも神様が教えなかったのか?
ロイド:
古の契約により初代勇者または勇者〇〇様の情報は神様以外に他の者に教えることは出来ないんですよ。
そう勇者〇〇様がお決めになられたではありませんか。
私も古の契約に縛られるので知っていて教えようとしても話せませんでした。
今の神様は、神様の世代が交代なされたので教えるつもりは一切なかったそうです。
圭太:
師匠は何でこんな所に来たんですか?
師匠:
儂は亜神となって世界の異物の排除と古の契約の保守の監視をしている。
お前たちが怪物と呼んでいる魔物の処分なんかも仕事の一つだ。
小物の怪物は儂は放置しているが、大物となるとこの世界の住人では対処出来ないから儂が処分することにした。
小物の怪物は身の守りが弱いから軍隊でも出せば倒せるんじゃないか。
儂も神様と同じで世界に干渉や介入が出来ぬが儂の仕事の範囲であれば干渉や介入が出来る。
ただ、神様が言っていた勇者の召喚が再び行われようとしている事に関して勇者と戦うことは儂には出来ない。
それは圭太君お前がやるしかないが、今のお前でおそらくは勝てぬだろうよ。
圭太:
やはり無理ですか。
師匠
そうだな。手助けは出来んぬが力をやろう。
【勇者】の称号と新しい剣をやる。
それと少しだけ久々に稽古もつけてやろうか。
それぐらいしか儂には出来ぬからな。
圭太:
【勇者】の称号って簡単に言いますが、大丈夫なんですか?
師匠の称号だったのでは?
師匠
もう儂は勇者じゃないぞ。
過去に勇者だった名残でロイドとかは勇者と呼ぶがな。
そういうと師匠は僕の手を握った。
何か不思議な力が湧いて来るように感じた。
これが勇者の力かと思うと
『称号:【勇者】を獲得しました。【勇者】の称号を得たことにより条件を満たしましたので称号:【魔王】を獲得しました。【魔王】の称号を得たことにより称号【魔王】【ゴブリンに恐れられし者】【オークに恐れられし者】【ドラゴンに恐れられし者】【オーガに恐れられし者】【世界の破壊者】【異世界からの殺戮者】【全てを破壊し得る者】が統合され、新たな称号:【神をも恐れぬ者】を獲得しました。』とメッセージが流れた。
情報量が多く【魔王】【神をも恐れぬ者】だけは何とか聞き取れたが、悪意のある称号のような気がするのだが(;^_^A
圭太:
し、師匠?
【魔王】とか【神をも恐れぬ者】とかの称号を得たんですが大丈夫なんですか?
ロイド&師匠
・・・。
ロイド君と師匠の二人してジト目をしていたよ。トホホ。
師匠:
お前の剣を儂が壊しちまったから新しいのをやるよ。
聖剣と名の付く剣だが銘は儂が決めるぞ。
【巨乳】か【命知らず】のどっちかだな。
お前に似合ってるだろ?
圭太:
師匠。どっちも嫌ですよ。
ネタ装備なんて・・・。
師匠:
じゃぁ。【命知らず】だな。
ロイド&圭太:
・・・。
ロイド君とシンクロしたジト目を向けてしまった(;^_^A
そういうと師匠は【聖剣 命知らず】を僕にくれた。
ちょっとだけ鑑定してみると、聖剣の銘が【命知らず】になっていたよ。トホホ。
無人の刀剣にも愛着があったのに師匠が壊してしまったのでもう使えない。不壊や自動修復があったのに壊れたままだ。勇者と聖剣の組み合わせも悪くはないので、僕の新しい力となって貰おう。
聖剣も無人の刀剣と同じく日本刀だ。
美しい波紋を持つ刃は光輝いていて触れると何でも斬れそうだった。大きさは普通の刀と変わらないが重さが無いのではないかと思うぐらい軽いし手に馴染む。
師匠:
軽く振る程度で良いのか?試したいんだろ?
圭太:
相手は要らないですが、軽く振ってみたいので離れていて下さい。
そういうと聖剣に闘気と魔力を順に込める。
闘気と魔力を纏う聖剣は先程よりも恐ろしい感じがするのだ。何と表現すれば分からないが、万能の力を得たような感覚に陥るのだ。「この聖剣を手にする我に最早敵なし」と言ってみたい衝動に駆られる。
師匠:
「この聖剣を手にする我は最早敵なし」かお前も中二病か?フハハハ・・・。
師匠に笑われてる。
聞こえていたの?恥ずかしいな(;^_^A
ロイド:
・・・。
最後はやはりロイド君のジト目に止めを刺されたよ。トホホ。
師匠:
剣筋を見る限りはまだまだだが、少し特訓すれば技に磨きが掛かるだろうよ。
お前が倒した大物の怪物程度なら一撃で倒せるぐらいにはなるだろうな。
ステータスは結構高いのに技術や技に磨きが足りないんだよ。これも稽古内容に入れておくぞ。
圭太:
あのう。師匠?大丈夫なんですか?
そんなことされると結構世界に干渉してしまうのでは?
師匠:
ほう。儂の稽古や特訓が嫌というのか。
良い根性しとるよな。覚悟は大丈夫ってか?
圭太:
いやいやいや。
そういう意味ではないですよ(;^_^A
師匠:
まぁいいや。
【身体能力】を確認したら、もう休めよ。
明日からハードに行くからな。
師匠はそういうと何処へ行くという間もなく消えてしまった。
武内圭太
年齢:19歳
性別:男性
レベル:110
スキル:異世界言語、剣技レベル10、全ての魔法の上位の極み、集中、
鑑定、隠蔽、気配探知、魔力探知、隠密、魔法のバッグ(∞)、異世界知識(理)、気配遮断、魔力遮断、危機察知、破〇流剣術
称号:中二病患者、勇者、神をも恐れぬ者
聖剣 命知らず:勇者神〇〇から授かった聖なる剣。状態維持、完全切断、回復
状態維持:どんな状態になろうとも元の状態を維持する。
完全破壊:不壊を得た武器や防具さえも切断してしまう力を持つ。
回復:持ち主を常に回復し続ける。
勇者:あらゆる可能性を秘めた存在。状態異常無効、経験倍加
経験倍加:得た経験を数倍にした効果を得ることが出来る。
神をも恐れぬ者:この世の全ての者に恐怖される破壊と殺戮の化身。破壊する力アップ。全生物に、時々威圧、恐喝など恐怖を与える本人の意思とは関係なく効果が働く。
勇者の称号の説明が本で読んだ内容と違っていた。
勇者ごとに内容は変わるのかもしれない。経験倍加も経験が増える効果は何の経験が増えるのか予想がつかない。もしかすると、ゲーム的な要素が取り込まれて経験値が増えやすいとかだったら良いな。
字面で判断した内容とは微妙な違いがありそうだから後で検証する必要はありそうだ。師匠の稽古は、相変わらずハードだった。師匠は、最早人間を辞めたようで、怪物らしい能力を発揮している。
師匠:
まだ、甘めーぞ。
もうちょっと鋭い攻撃をして来てもいいんだぞ。
そんなことを言いながら、師匠の斬撃が飛んでくる。
必死に避けないと僕は間違いなく死ぬと思う。それ程ハードなのだ。何度も死ぬと思うぐらいの斬撃や攻撃を避けるしかない。剣での稽古が終わると次は魔法だ。師匠が魔法を使うとは思わなかったが、魔法の稽古もハードだった。
この前、僕が怪物相手に使ったように魔法の球を操作し僕を追い立てるのだ。今回、魔法を使うのは僕ではなく師匠なのだ。ここでも必死に逃げなければ死んでしまうと思う。例の訓練場でのロイド君を鬼教官と呼んでいたが、師匠こそが鬼教官そのものだった。
師匠に反撃なんてする隙もないのだ。
反撃なんてすると師匠が張り切ってしまうかもしれない。
何が経験倍加だ。
経験値を数倍得られて楽に能力アップが出来ると想像していたのだが・・・。
【得た経験を数倍にした効果を得ることが出来る】は、ゲームの知識だと経験値が多く貰えレベルアップを早くするというもだがここでは経験値ではない。
僕は師匠に連れて来られた師匠の家というか部屋というか不思議な所にいる。
ここは師匠が言うには精霊界と似ている特殊な世界で、この世界と連なる次元に存在するようだ。師匠の世界とでも呼べば良いのだろう。それに師匠に都合が良いように働く法則があるのが凄く厄介なのだ。
【得た経験を数倍にした効果を得ることが出来る】が師匠の世界で師匠に都合よく働くと、師匠との稽古で死にそうな思いで得た疲労という経験が倍になって得られるのだ。
もし、師匠が張り切ってしまったらなんて考えると恐ろしい稽古が始まるのだ。
もう、経験だけでいいよと思うのは僕だけだろうか。精神的な疲れや肉体的な疲れまでもが倍になるって・・・もう、全身がガタガタなのである。
圭太:
はぁ~。師匠~。
もう無理ですよ。疲れました(><)」
師匠:
おう。これを飲めば楽になれるぞ。
何かの回復ポーションのようだが飲むと直ぐに楽になった。
だが、これが地獄への始まりだとは僕は思いもしなかったのだ。稽古約一時間で一時間の稽古量の約二倍ぐらいの疲れが出るが疲労が回復ポーションと思われる物で一瞬で回復する。
次の一時間も同じぐらいな疲れが出てポーションで回復が強制される。
その内に稽古量が約3倍ぐらいの疲れを感じ始める。また、疲れをポーションで回復を強制される。
これを何度も続けていると実際には四時間程度の稽古であるはずなのに実際には十時間の稽古したのと同じぐらい疲れが出ているのだ。更に稽古が厳しくなって、疲れ具合は感覚でしかないが一時間の稽古のはずが体感では四時間稽古したのと同じになって来ると僕には地獄の稽古でしかない。
ポーションで疲れは強制的に回復されるが気持ちが折れそうだ。
こんな稽古を繰り返していても僕には師匠からの斬撃を躱すだけしか出来ない。魔法からも僕は逃げることしか出来ない。剣を打ち合わして防ぐことや魔法を相殺することなんてまだ出来ない。
何度か稽古を繰り返していると、段々と剣の稽古の時は反撃や剣を斬撃を防げるようになって来たし、魔法の方も躱すだけではなく僕の魔法で打ち消すことも出来るようになって来た。稽古に気持ちの余裕が出来たと思って来ると稽古が厳しくなる。
おそらくだが師匠が稽古を調整しているのだろう。
鬼教官ぶりは変わらないな。何日か剣と魔法の稽古を繰り返していると師匠が稽古の終了を告げた。
師匠:
もう十分だろう。技と技術に磨きが掛かったはずだ。
儂が相手だと実感がないはずだ。
卒業試験とまではいかないが、コイツを一撃で倒せる力を見せてみろ。
そういうと僕たちと少し離れた所に怪物が現れる。
例のゴ〇ラのような怪物を一撃で倒せというのだ。前回の戦いでは【十文字】と【武雷】の二つを受けても絶命させることは出来なかったのだ。
あれから何度か能力アップを経験しているが秘技を二つ受けても絶命しない怪物を本当に一撃で倒せるのだろうか?
【爆裂光斬】だと楽に一撃で倒せるだろう。
だが、師匠の技や技術というのはそういうことではないように感じる。
【我無】【武雷】【十文字】というような技で倒せということなんだと思う。
僕はゴ〇ラのような怪物と対峙する。
稽古の影響なのか分からないが闘気と魔力を込めて聖剣に纏わせることがスムーズに出来るようになっている。
師匠:
ほう。
師匠の呟きも聞こえて来たが怪物との戦いに集中する。
怪物:
ギャロォーン
先制は怪物の方だった。
威圧を込めた咆哮と同時にこちらへと向かって来る。右手で僕を潰そうとする攻撃をしてくる。僕はそれを躱すと怪物の攻撃は地面に当たり、激しい衝撃と僕を吹き飛ばした。攻撃が当たった場所は少しだけだが小さなクレーターが出来ていた。
圭太:
あれ?この前のより強くなってない?
体感ではあるが僕はそう感じた。
秘技を叩き込むタイミングを計るように腰の聖剣に手を添える。
圭太:
【二の太刀:十文字】
師匠:
お見事!
師匠の声が聞こえて来たと思うと討伐出来たことを告げるように僕が振り返ると怪物は【十文字】の名の通りに十文字に切り裂かれて絶命していた。
師匠:
どうだ。お前の技と技術が上がったことを実感出来たか?
この怪物はお前が倒した物よりも二段階ほど強くしてある。
前は一撃で倒すことが出来なかったはずだ。
それを一撃で倒せたんだから実感出来ただろ。
後は、お前がこれから精進していくことだ。
今後はダンジョンで、たくさんの魔物を倒して召喚されると言われている勇者に備えろ。
ー補足ー
ステータスの攻撃力:100みたいな表示は敢えて避けています。
ステータスを確認出来る者には実際の能力値が見えています。
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