第15話 悲劇を招くトラブル ※
モンスターのステータスがあります。
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
【三日目】
集合時間が来ると乗客は各々に馬車に乗り込んで行く。
護衛冒険者:
全員いるか~?出発するぞ~。
大声で全員に呼び掛けてから馬車が走り始める。
護衛ってここまでの事をするんだと感心してしましました。
ロイド:
どうやら。声を出して呼び掛けている冒険者たちは定期便専用の護衛ようなのでルーク様の世界で言う所の公務員という職業の方と同じです。
馬車を操縦?している訳でもないから公務員よりはバスガイトとかに該当するかな。公的機関だから公務員でも間違いではなさそうだしね。
ロイド:
彼らは王都へ戻りの便のみです。
王都から行きの便は別にいるのでしょうね。
そうでもしないと冒険者というよりもただの護衛になってしまいますからね。
馬車は見渡しの良い草原の中にある街道を走行して行く。
大きな鳥も飛んでいて長閑な雰囲気を僕は楽しんでいた。長閑な雰囲気を壊すように冒険者たちは大慌てで戦いの準備を始めているみたいだ。
護衛冒険者:
飛竜が出たぞ~!
誰かの叫び声が聞こえて来ると乗客たちも危険なモンスターが近づいて来るのを聞いて、各々が身構えてしまっている。
圭太:
あれって、大きな鳥じゃないの?
護衛冒険者:
何を呑気な事を言っているんだ。
あれは鳥じゃないぞ。
飛竜はBランクのモンスターだ。
僕の勘違いに即座に訂正を入れて来た。
心の声が口に出てしまってらしく突っ込まれたよ(笑)
圭太:
飛竜相手に大丈夫ですか?
護衛冒険者:
飛竜一体ぐらいなら大丈夫なはずだ。
厳しくなったら手助けしてくれたら助かるよ。
君は馬車の乗客だからね。
ここは護衛の仕事だ。
でも、無理なら遠慮なく手助けを依頼するから安心して乗っていてくれ。
圭太:
はぁ。分かりました。
取り合えず、返事だけはしておく。
護衛たちは何やら花火のような物を打ち上げているように見える。
【火球】を色んな所で打っているからだ。飛竜に届かないで爆発音だけがドーン、ドーンと飛竜の付近で連続で鳴り響く。
(圭太):
届いてない?故意に外してる?
ロイド:
そのようですね。
【火球】でけん制しているだけのようですね。
このまま逃げ出すのかこちらに向かって来るのか微妙になって来た。
ワイバーン:
グロロロロロ
大きな威嚇する声を上げた途端に飛竜が大きく旋回するような体制を取る。
護衛冒険者:
来るぞ!
飛竜が急降下して来る。
キィーンと擬音でも出そうなぐらい凄い勢いだ。あれを打ち落としたら面白そうなんだけどなぁ。
ロイド:
それは止めた方が良いと思いますよ。
圭太:
・・・えっ?
ロイド君に気付かれないように、そっと準備してた氷塊を捨てた。
ロイド:
・・・。
ジト目が痛すぎるよロイド君。
ロイド君とこんなやり取りをしている内に飛竜は逃げて行った。急降下に対して、冒険者たちによる迎撃が行われたからである。僕が行わなくても迎撃されるみたい(笑)
ワイバーン:
ギャロロロ(覚えてろ~)
こんな感じで叫びながら逃げて行く様を見届けた。
今夜の野営地へと着くと、それぞれが馬車から出て来て夕食や寝る準備を始める。僕は、こっそり抜け出して飛竜の行方を探知を普段より範囲を広げて探してみる。普段の探知は百メトル程度の範囲に抑えている。
探知を抑えるのは探知を使うと情報量が多くて頭が痛くなるからだが、飛竜が気になるので、かなり広い範囲で探知してみる事にしたのだ。明日も飛竜が再び襲って来たら困るから居場所だけは確認しておくつもりだ。
五~十キロの範囲には少し大きめのモンスターの気配はあるが、飛竜ほどの気配の大きなモンスターは見つからなかった。安心して寝られるので食事をして寝る事にした。
圭太:
おやすみなさい。
あれから数日は飛竜の襲撃以外には殆ど何も起こらなかった。
休憩時や移動時に、たまにゴブリンとか熊とかオークとかが襲って来てはいたが護衛の冒険者に即座に片付けられていた。他に何のトラブルもなく無事に王都へと着いたのだ。
王都の城門の前に馬車が停車し守衛さんに話しかけて馬車は中へと入って行く。
馬車の停車すると馬車から降りるよう指示され馬車から順番に降りて行く。
女の子:
お兄ちゃん。またね~。
女の子の父親:
娘がすみませんね。
圭太:
いえ。構いませんよ。気にしないで下さい。
女の子:
またね~。
手を振りながら女の子とその父親たちと別れる。
圭太:
これが王都の街かぁ~。
ロイド:
王都も街部分だけでも結構広いですし、迷わないようにして下さいね。
圭太:
もう、子供じゃないんだから・・・。
王都の冒険者ギルドへと足を運ぶ。
大きな剣と盾があるから迷う事はない。冒険者ギルドの看板でしかない剣と盾を見てから中へと入る。マルチドの冒険者ギルドと比べるとかなり大きな冒険者ギルドだ。
男性冒険者:
おい。お前のような者は【こっち】じゃなくて【あっち】だぞ。
男が声を掛けてきて僕が見ていたのと反対方向を指す。
そこにもギルドの受付があり、少年少女たちが並んでいた。王都のギルドはマルチドのギルドと違って酒場や飲食するスペースがなく、そのスペースに別の受付を作っている。入り口から見て左右のどちらにも受付があるのだ。
圭太:
ここのギルドは年齢で受付が違うんですか?
男性冒険者:
そうじゃない。
お前のような低ランク冒険者Dランク~Fランクまでが【あっち】の受付だ。
俺たちのような高ランク冒険者Aランク~Cランクまでが【こっち】の受付を利用する決まりだ。
だから、お前は【あっち】の受付へ行け。
どうやらランクで受付の場所が違うようだ。
それにしても、僕を低ランク冒険者と間違えるなんて、テンプレですか?テンプレですか?と呟いていると
ロイド:
・・・。
もう、お決まりのジト目が待ち構えていた(;^_^A
(圭太):
ロイド君。大事な事だから二回言っただけだよ。
待望のテンプレなんだよ。
男性冒険者:
ん?どうした?受付に行かないのか?
圭太:
高ランク冒険者は【こっち】へ行くんでしょ。
男性冒険者:
ウソをつくなよ。
お前のような高ランク冒険者がいてたまるか。
僕を呼び止めてまで、こんな事を言っているのでギルドカードを見せた。
圭太:
どう?ギルドカードには低ランクって記載されているかなぁ。
男性冒険者:
び、び、Bランク冒険者だと?お前がか?
圭太:
そうですよ。
男性冒険者:
ギルドカードのぎz・・・
リーダー格の冒険者:
おい。それ以上は言うな。
男性冒険者:
だって兄貴~。コイツがBランク冒険者ですぜ。
あり得ないっすよ。俺でさえCランクなのに・・・。
どうやら、Cランク冒険者が難癖をつけて来ただけだった(笑)
リーダー格の冒険者:
うちのメンバーが、すまねぇな。
圭太:
分かってくれたなら、構いませんよ。
受付のお姉さんは若かったが、おむn、なんか寒気がした気がする。
この世界の人たちって心を読む能力とかあるのかな?
ロイド:
・・・。
はい。はい。不謹慎な事は考えませんよ(;^_^A
圭太:
ここのダンジョンはどうすれば行けるようになりますか?
女性受付:
ここのダンジョンは竜種ばかりなので高ランクでも結構厳しいです。
Aランクになれば探索可能ですが・・・。
圭太:
Aランクにならないと探索出来ないって事で良いのかな?
女性受付:
Bランク冒険者パーティーなら探索の許可は出ます。
見たところソロの冒険者の方に見えますがお連れの方はいらっしゃいますか?
圭太:
では、僕はソロの冒険者なのでダンジョン探索は諦めます。
ソロでもAランクになったら探索可能ですよね?
女性受付:
はい。ソロの冒険者の方でもAランクならば探索の許可が出ますからね。
その時までお待ちしておりますね。
圭太:
では、稼ぎの良さそうなBランク向けの依頼ってありますか?
女性受付:
それなら、これなんかどうでしょう。
提案された依頼を見ると王都の森林でモンスターの討伐依頼だ。
Bランクモンスターの間引きだった。BランクのモンスターだからBランク以上の力がある冒険者にしか依頼が受けられない。報酬は討伐するだけでモンスター一体につき金貨五枚の支払いとBランクの魔石の買取も考えると意外と高額な依頼だった。
圭太:
この依頼受けます。
王都は初めてなので【王都の森林】への行き方を教えて下さい。
王都の森林への行き方を教えてもらいギルドを後にした。
圭太:
先に宿の手配していた方が良いかな?
ロイド:
先に宿を手配していた方が良いと思います。
これだけの人が宿で泊まる訳ではないですが、結構な人数の方が宿を利用していそうですからね。
今日は宿を手配してもう休む事にして、翌日 朝から王都の森林へと向かおう。
本当は、獣人国へと行きたかったのだが、定期便の運行予定の関係で王都で足止めを喰らったのだ。次の出発予定日は三日後だ。定期便への乗車の予約は昨日に済ませているので今日を含めても三日掛かるのだ。
馬の休憩やら護衛の冒険者の手配などの出発の準備などに時間が掛かるらしい。獣人国内へは五日ほど掛かり、国境から最初の街まで一日程度だそうだ。
更に、獣人国の首都まで行くには馬車を乗り換えて六日程の日程で首都に到着するらしい。トラブルなどで多少の誤差があるようだ。
圭太:
ロイド君。尾行されているよね?
ロイド:
ええ。そうですね。
圭太:
分かりやすい尾行なんだけど、これから奥地へと向かうけど彼らは大丈夫そうなのかな?
ロイド:
冒険者は自己責任ですから大丈夫でなくても放置しておけば良いですからね。
森の奥地まで来ると高い身体能力を利用して木に登り幹の影に隠れて様子を伺う事にした。出来れば、このままやり過ごしたいのだが・・・。
Cランク冒険者:
あ、兄貴~。本当に大丈夫なんすか~?
この前のCランク冒険者だった。
リーダー格の冒険者:
アイツは、この僕に謝らせるなんて事をさせたんだから、それなりの償いをしてもらわないとな。
この前、Cランク冒険者の件で謝って来たリーダー的な存在のヤツだった。
この冒険者たちは、Bランク冒険者パーティー【銀の戦車】だ。リーダ的な存在のAランク冒険者の彼と舎弟のような?モブのようなCランク冒険者の彼とは別にBランク冒険者三人は後方にいるが、この五人のメンバーでBランク扱いのようだ。
前衛二人、中間一人、後方支援二人の安定して戦える陣形だな。
そんな会話をしながら森の奥地へと進んで行く様子を見て、僕は彼らとは反対の方向へと進んで行く事にした。関わりたくはないからね(;^_^A
森の中では、モンスターが・・・いなかった。
圭太:
あれ?どうしてこんなモンスターがいないのかな。
ロイド:
ルーク様の称号が働いている形跡はありません。
でも、こんなにモンスターの気配がしないのはおかしいですね。
何か強力な存在が森の奥地にいるのではないでしょうか。
圭太:
強力な存在って何だろう。まぁ。いいや。
どうせ馬車が出発するまでの時間稼ぎで依頼受けただけなので今日はモンスターを狩れなくても明日もあるし大丈夫じゃないかな。
ロイド:
そうですね。明日もありますし今日は奥地を見るだけでも収穫はあるのではないでしょうか。
圭太:
そうだね。初めての森だし奥地へと行ってみようか。
モンスターの気配もないのでモンスターの相手に手間取ることもなく森の奥地と思われる所に着いた。そこは大きな池のような湖のような大きなものだった。目測だが300メトルx500メトルぐらいの楕円の形をしていた。
湖のようなものの中央には青い竜がいた。
こんな所にどうしてドラゴンがいるのか分からないが、何故だか分からないが青い竜は水面から少し浮いているように見える。
青い竜:
お、お、お主が何故ここにいるのじゃ。
圭太:
ど、ドラゴンがしゃべった。
僕の存在に気付いた青い竜が話かけてきた。
青い竜がしゃべるとは思わなかった。
圭太:
ん?僕のことを知っているの?
青い竜:
し、知らぬのじゃ。
明らかに目を逸らしたのが分かるぐらいの仕草だ。
圭太:
僕のこと、知っていr・・・。
青い竜:
逃げるのじゃ。
青い竜は大慌てで空に飛び立ち逃げて行く。
その飛び立った勢いで湖の水が溢れて始めた。
圭太:
えい。
軽い気持ちで投げた氷塊が見事に青い竜の頭に命中する。
【ガン】と物凄く痛そうな音がすると青い竜は落ちた。
圭太:
あ、落ちた(笑)
青い竜:
だから、嫌じゃと言うたのじゃ。うぇぇぇぇぇん(><)
草むらから泣きながら森の中へと逃げて行く小さな女の子を見た。
逃げて行く青い髪に青い服を着た幼女には頭に大きなコブが出来ていた。漫画かよ(;^_^A
周囲に青い竜の気配がなくなると、動物やモンスターたちの気配が戻って来たように感じた。
圭太:
何だったんだろう。
青い竜は僕のことを知っていたよね。
それに、あの青い髪の幼女のような少女ような存在も気になるね。
青い竜が変身したかのように突如現れた見た目十歳ぐらいの幼女が【のじゃ】と言っていたことも気になる。普通に【のじゃ】なんて使わないからね。
圭太:
ロイド君。今日はモンスターに遭わなかったから帰ろうか。
ロイド:
・・・。
一方、Bランク冒険者パーティー【銀の戦車】はいうと
Cランク冒険者:
リーダー。アイツを見失ったんじゃないですか?
リーダー格の冒険者:
そうだな。
足跡もないし、付近を通った形跡も見つからなさそうだな。
バキバキと木が薙倒される音が近づいて来る。
青い髪の幼女:
痛いのじゃ~。うぇ~ん(><)
何かが物凄い勢いで近づくのが分かると身構えることも出来ずに木の陰から何かが飛び出して来た。咄嗟に避けた者もいたが少し掠った者もいた。そのままその何かはリーダーの方へと向かいこの場を通過して行こうとする。
リーダー格の冒険者:
グハァ・・・
そういう音が聞こえたと思うとリーダーが何かに吹き飛ばされて木へと飛んで行く姿が見える。そのままの勢いで【ドン】という音と共にリーダーが木にぶつかっていた。
だが、肝心なリーダーにぶつかった何かはいなかった。
リーダーにぶつかったことさえも気づかずに、この場を通過して行ったのだ。バキバキという音だけが遠ざかって行く。
Cランク冒険者:
リーダー。大丈夫っすか?さっきのは何なんっすか?
Cランク冒険者の男性がリーダーを助け起こす。
リーダー格の冒険者:
ああ。青い髪をした幼女に見えた。
Bランク冒険者:
幼女?こんな森の中に?
みんなが信じられないと言った具合に次々と言って来る。
リーダー格の冒険者:
俺は確かに見た。
あれは確かに青い髪をした青い服を着た幼女だった。
例のヤツを探すぞ。
このままでは気が済まない。ヤツを見つけたら殺す。
例のBランク冒険者を見つけ次第殺すと宣告するリーダー。
そんな彼らのことなんか知らないとまで言っているかのように奇妙な叫び声が聞こえて来る。
怪物:
ウロロロオロロローン
Bランク冒険者:
今度はなんだぁ?
その言葉を発したかどうか分からない内に、彼らの目の前には異形の何かがいつの間にか存在していた。
怪物:
ウロロロロオ~ン。
今度は威嚇しているように聞こえる。
誰かが【鑑定】を使ったようで更に驚きの声を挙げた。
怪物
状態:異常
レベル:90
スキル:身体能力アップ強化、狂戦士、気配遮断、狂化強化
Bランク冒険者:
ば、化物だぁ~。こんなの敵いっこないぞ。
絶望しかないという声を上げる。
このモンスターはルークが前に遭遇したモンスターの同一の作りをしているが姿形は別の姿をしている圭太が倒した個体は人型に近かったが、このモンスターはまるで凶暴なクマだ。クマであるなら体毛は黒または黒に近い青みが指した色なはずだが、このモンスターは黒っぽい茶色だ。
決して、茶色っぽい黒ではない。
長い青い体毛が頭部を覆い、頭部からそのまま背の方へと流れている様はまるで長髪の筋肉質の男のように一際目立っていた。手も手袋をしているかのように手先だけが青い体毛に覆われている。足の方も同様に長靴を履いているように青い体毛に覆われている。
圭太がこのモンスターを見たなら覆面レ〇ラー?と疑問を投げかけていただろう。Aランク冒険者の彼が真面目に戦闘技術を向上させていれば、何とか助かったかもしれない。モンスターが油断している最中に命がけの一撃を喰らわせることが出来たなら、この危機を回避できたかもしれない。
この怪物は、見かけによらず身の守りが弱いからだ。この冒険者パーティーが熟練のAランク冒険者達であれば手傷を負わせ逃げる事が出来ただろう。恐ろしくすばやいモンスターだが連携し時間を掛ければ倒せないって訳ではないのだが・・・。
彼らはモンスターの餌食になり、その武器と防具の残すのみとなった。
傍らに放置された荷物とギルドカードだけが寂しく光っていたのだった。
ー補足ー
ステータスの攻撃力:100みたいな表示は敢えて避けています。
ステータスを確認出来る者には実際の能力値が見えています。
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ー投稿中の作品ー
赤の勇者 ~ちっちゃい聖女は伝説の勇者様?~
こちらの作品も宜しくお願いしますmm