第100話 転生のスキルの実行
編集前をご存じの方へお知らせですmm
少し手が加わっています。
途中から視点が変わります。
少女に名前を再度考えるようにと言った翌日の事だ。
古城の一室では少女がベッドの上で寝ている。
転生のスキルを使う時が来た。このスキルで僕は生まれ変わろうとしている。
本来ならば眠っていない女性と性行為を行っての方が良いのかもしれない。
事後死亡することを考えると知らない間に終わってた方が良いと判断したからだ。
少女のベッドの高さは低めにしてある。
魔力を高める魔法陣の上にベッドがあり、より多くの魔力を得るには魔法陣に近い低い方が丁度良い。
このスキルを使うのは僕も初めてだ。
成功するかどうかも分からない以上は十分に配慮して転生を行う方が良い結果が出せると判断したからだ。
少女の下腹部の手を置き【転生】と呟いてスキルを発動させる。
スキルが発動したことを僕自身が認識すると急激に身体の自由が利かなくなる。脱力感というのか身体全体に力が入らなく立ってさえも苦しいといった状況だ。
何もかもが奪われるような感覚だけが僕に襲い掛かって来る。
暫くすると僕は意識を無くした。そう転生が完了したからだ。
ー視点変更:主人公→アカリへー
少女は濃密な魔力に覆われてはいるが無事なようだ。
暫くするとコトりという音が少女の方から聞こえて来た。転生の発動を確認して主が亡くなってから数時間経過してからの出来事である。
少女を確認すると、人であるはずの少女が濃密な魔力で覆われた人間の物とは思えないタマゴを産んでいた。タマゴの大きさは約十センチぐらいの直径のタマゴだ。少女はまだ眠っているようだがタマゴを産んだという自覚はないと思われる。このサイズのタマゴを産むには苦痛が伴うはずだからだ。
人がタマゴを産む。余りにもあり得ない事が起っているとこの部屋にいる誰もがそう思うだろう。だけど、タマゴを覆っている濃密な魔力には覚えがある。この空間の主であるアルベルの魔力であるのはメイドたちには直ぐに分かったはずだ。
主から聞いていた話とは全く異なっている事にメイドたち全員が戸惑っていた。
聞いていた話では普通に人として生まれて来たと聞いている。それがタマゴで生まれるとは誰もが予想していなかった事だ。
もし、産んだはずの子供がタマゴだったなら人の親は子供を大切に育てるだろうか。人の子供が生まれたとは思わないで人とは違う何かのタマゴと判断してタマゴを破壊する恐れもあるのは想像出来なくもない事だ。
主が【転生】というスキルを使用し、目の前の少女がタマゴを産んだ事実を認めたくはない。認めるしかないのが現実だった。
タマゴに何かあっても困る。
ベッドの上で眠る少女を別のベッドへと移し替え。主の魔力に覆われたタマゴをベッドの上に安置する。主が作った魔法陣の上であるなら魔力不足でタマゴがどうにかなるのも防ぐことが出来る。
この空間の外ではメイドは自分達のいた世界のように上手に魔力を使うことは出来ない。主が生活していた世界には魔力が希薄だからだ。主は希薄の中でも主は魔法やスキルを使うことが出来るようになった。その事は凄いことと思った。
私たちメイドは、この空間では不自由なくスキルや魔法を使えるのに外に出れば十分に発揮出来ないのが歯がゆかった。
主が転生を行ってから約十日ぐらい経った。
タマゴの大きさは約五十センチぐらいの大きさにまで成長している。
タマゴが成長するのも可笑しいと思う。
この頃になって初めてタマゴの中が僅かにだが光っているのが分かるようになった。
タマゴを産んだ少女の方もまだ目が覚めていない。
約十日も眠ったままだ。何故だか分からないが普通なら衰弱しても可笑しくはない。十日間も飲まず食わずで生きているのも可笑しい。
可笑しなことばかりが起きているのは確かだ。
転生を行ってから約二十日が過ぎようとしていたある日のことだ。
タマゴの大きさは十日前よりは少し大きくなったと感じるぐらいの大きさだ。
タマゴにヒビが入りタマゴから何かが生まれた。その何かは人の赤ちゃんだった。第一声は「おぎゃおぎゃ」と泣いたが直ぐに泣き終わる。後はスヤスヤと眠るだけの存在となった。
タマゴから人の赤ちゃんが生まれたと同じぐらいにそれまで眠っていた少女が目を覚ました。まるで、我が子が生まれるのと同時に目覚めたような感覚だ。
更に十日が過ぎた。
この頃には主から念話が届くようになった。まだ、赤ちゃんなので主から直接話を聞ける訳ではないが念話で指示されるだけでも助かる。
主のご遺体は生前に言われていた通りに棺に入れて主の長男の元へと届けた。
身内だけの葬儀と思われたが、政府関係者の奥様方が葬儀へと参列していた。政府関係者本人が葬儀に参列するのは問題があるようで奥様方という実は無関係を装った参列のようだった。
少女の方も体調は元に戻り両親の元へと帰した。
ここまででこの空間では約一ヵ月が経過している。
外の世界の時間では一年が経過しているのだ。
少女が妊娠し子供を産んだとしても違和感のない月日が経過している。
問題は主の予想した通りに少女の両親とのトラブルだ。
父親:
報酬は一人五百万と聞いていたのだが五百万しかないのはどういう事だ。
これは契約違反ではないか。
アカリ:
主からは、お二人に五百万支払うとお聞きしております。
これ以上をお支払いすることは出来ません。
どうしてもというのであれば裁判でも何でもすれば良いと主から言われておりますが・・・。
父親:
その主とは誰なんだ。
主を連れて来い。
そうしないと納得出来ない。
娘との間に出来た子供もよこせ。儂らの子供だ。
儂らが育てるから子供も連れて来い。
そうしなければ警察へ通報してやる。
無理矢理娘を妊娠させて生まれた子供までも取り上げたとしてな。
アカリ:
では、警察なり裁判でもすれば良いと言えと主から指示されております。
こちら様は主の氏名も何処にいるのかも知らないから、訴える相手が誰なのかも分からない事を警察や裁判所が事件として取り上げるとは限らないはずと主は申しておりました。
子供は主が引き受けるとの約束だったので渡すことは出来ない。
もし、マスコミなどに情報を売るなら娘さんも二千万もの大金で子供を産んだという事実が世間の好奇心の目に晒されることを覚悟して下さいとのことです。
少女の両親は諦めるしかなかったのだ。
性的暴行を受けたと言っても相手が誰なのかも分からないから手続きが行うが犯人は捕まらないだろうとしか言えない。犯人の形跡が一切ないのだから無理もない。
裁判所の方もそうだ。
誰を相手に裁判をするのかっていうのを決めなければならない。
相手がいて初めて成立する。
相手が出頭しないってのは裁判の放棄であるが、訴える相手が誰なのか分からないのであればどうする事も出来ないからだ。
少女には両親とお金のことでトラブルになったのなら保護するからと伝えてある。少女自身が手に入れたお金は少女以外は手にすることが出来ないように主がしているからだ。
仮に、トラブルになっても主の子供達のどちらかが少女を保護することになっている。これも主からの指示だ。主は一体何処まで予想して指示を出しのか分からないが、流石 主と感心するしかない。
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