6話
ーー妖精帝國ウルキア。
古代の魔法使い達が栄えた時代、俗に言う前時代などと呼ばれる時代。
その時代に栄えた言われる妖精達の楽園。
魔法の扱いにおいては、古代の魔法使い達をも凌駕したと言う妖精達。栄華を極めた彼らの繁栄は、突如として終わりを告げる。
ーー赤の日。
その日を境に、ウルキアはこの世界から姿を消した。
戦争とも災害とも言われるこの『赤の日』についての文献や資料は見つかっていない。
「……見つけた」
シャルロットは、課題に記されていた地名について調べていた。
地図を確認するも、ウルキアと言う地名は発見出来なかった。そこで、魔法に関する課題なのだから、そちらの方面からアプローチする事にした。
彼女の訪れた場所は大魔法図書館『ミラリオン』。ミラリオンは始まりの魔法使いの名を冠し、古今東西の魔導書を集めた世界でも有数の図書館だ。
館内には、奇妙な形状をした本や、誰も読めないような古文書などが多数収蔵されている。
図書館の建物は、ゴシック様式で建てられた大聖堂を思わせる美しい外観をしており、内部は、高い天井に沿って棚が並び、床には魔法陣が描かれている。
そこでシャルロットは、ようやくウルキアの手掛かりを手に入れた。
ーーでも、この場所って……
文献を読み進めて分かったことそれは、
妖精帝國ウルキアは既に滅びている
と言う事実だった。
ウルキアのあった場所は、現在は小さな村とそこに隣接する広大な森となっていた。
ーーとりあえず、この村に行ってみるしかないかしら。
分からないことばかりではあるが、とりあえずの行動方針は決まった。
ーー妖精の歴史と魔法かぁ。
今まで、魔法の構成などについては学んできたが、異種族の歴史や魔法などの勉強については疎かにしてきたことを思い知る。
己の無知を恥じるばかりだ。
まだまだ学ばなければいけないことが沢山ある。
ーーもしかしたら、魔法に関する新しい発見があるかもしれない。
最初の頃より、この課題が楽しみになっている自分がいることをシャルロットは感じていた。
ーーリーゼロッテはどうしているかしら?
同じ空の下、きっと何処かで頑張っている友人を想う。
リーゼロッテに再会した時、良い報告ができるよう頑張ろうと決意する。
シャルロットが行き先を決める少し前。
リーゼロッテは乗り合い馬車に揺られていた。流れる景色を見ながら、今回の課題について考えていた。
ーー妖精の国ウルキアかぁ。
まだ見ぬ土地に思いを馳せる。
そこに何が待っているのか。そもそも辿り着くことが出来るのか。
不安は沢山ある。
けれど、何だか良い事が起こりそうな予感がしていた。