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1話


「魔法を使うには、まず最初に自身の魔力を知覚すること」


 教師の落ち着いた声が教室に響く。

 フィオレ魔法学院の教室で、魔法についての講義が行われている最中だった。


 ここフィオレ魔法学院は、その名が示す通りフィオレ王国の王立魔法学園だ。

 魔法の修行と貴族の教育を目的とした学校で、魔法の才能を持つ貴族の子供は13歳になると学院に通うことになる。

 学院は広大な敷地内にあり、大きな城のような建物が中心に建っている。

 寮や食堂、図書館なども完備されており、生徒たちは卒業まで寮生活を送ることになる。

 また、学院には王国全土から生徒が集まるため、多様な文化が交じり合う環境でもある。

 学院卒業後、フィオレ王国を支える貴族となるべく生徒たちは日々を過ごしている。


「魔力を操作し、構成を編み上げることによって、魔法は発動します。

 この構成とは、魔法の設計図のようなものです。同じ魔法であっても、構成の出来によって魔法の出来が左右されます」


 シャルロットは教師の話を真剣に聞きながら、講義の内容をノートにまとめていく。


 ーー魔力というエネルギーを使い、構成という設計図で魔法を創る、と言うことよね。


 材料が豊富でも、設計図がめちゃくちゃでは良いものは作れない。


 ーー当たり前といえば、当たり前よね。魔法が使えない人達からすれば、魔法なんて理解不能な現象なんでしょうけど。


「また、魔法は位階という強さの段階があります。第一位階から始まり第十位階までの魔法が存在し、第十位階が最高位の魔法とされています。

 しかし、古代には第十位階を超える魔法が存在したという文献が見つかっています。ただ、その詳細は不明で現在も研究中です。研究者によって『神域魔法』や『深淵魔法』などと呼ばれておりーー」


 ーーお祖父様が追い求めている魔法。


 シャルロットの祖父、アンリ・クロード・ルノワールが追い求めている幻の魔法。

 魔法使いの名門にして、フィオレ王国四大貴族ルノワール家の歴史の中でも屈指の魔法使いであるアンリですら、未だ辿り着くことのできない高み。

 アンリはその高みを目指したが、たどり着くことは出来なかった。それどころか、研究中の事故により魔法の力を失ってしまった。それでも今なお捨てきれない夢。


「そして『位階の壁』と呼ばれているのが魔法の属性です。自身に魔法属性が無い場合、その属性魔法は第三位階を越えることができません。

 例えば、火の属性しか持たない者は、水の属性魔法は第三位階までしか使用できません。しかし、火の属性魔法は才能や努力次第で第四位階以上の魔法も習得するとこができます。

 この属性による習得限界を『位階の壁』と呼んでいます。魔法の習得の際には、きちんと自身の魔法属性を考慮してください」


 教師の言葉にペンを握る手に力が入る。

 シャルロットの胸に痛みが走る。


 ーー属性がない魔法は第三位階を越えることができない。


 フィオレ王国四大貴族にして、魔法使いの名門ルノワール家。その時期当主、シャルロット・マリー・ルノワール。

 絶大な魔力量を持って生まれた彼女は、ルノワール家歴代最高の魔法使いになると一族の誰もが期待した。

 しかし、彼女に対する期待は、魔法属性が判明した時に霧散した。


 彼女には()()()()()()()


 歴代最高の魔法使いになると期待されたシャルロットは、無属性という史上最低の烙印を押された。


 名門ルノワール家の恥。だから、私はーー



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