第7話:吹き荒れる氷雨
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大陸地図の草案とか、地方地図、読者の方のイメージを一助になるものを乗せたいと思っています。
よろしくお願いします。
ーカイサル視点ー
グリバー家五男である、ユークリストが攫われて一日が経過した。
現在、長男であるトーラスが筆頭騎士を騎士団を連れて人海戦術で四方の捜索の指揮を執っている。
長女フラムベリカは、当日当時屋敷を出入りしていた使用人・騎士・商人を洗いざらい調べているが、どことなく楽しそうだ。
決して弟が攫われたことを楽しんでいるわけではないが、理由はあの子の【特異魔法】だろう。
あの子の能力を疑っているわけではないが、やはり不安になってしまう。
次男のバレットも捜索に加わりたがっていたが、今回のような緊急性の高い捜索に、あの子を加わらせるわけには行かない。
最悪の場合も考えなければいけないからだ。そんな場所に、あの子を立ち会わせるわけには行かない。
マリアの下で動揺している次女のルルティアを宥めるように言ってある。
私は現在、屋敷の執務室で週末のパーティにやってくる、貴族の訪問名簿を確認している。
息子の緊急事態にあっても、貴族としても義務を果たさなければいけないと自分を納得させているが、実際は自分たちよりも下の者に弱みを見せてはいけない、プライドの問題だろう。
この後も、面会を求める貴族達の相手をしなければならないと考えるだけで、いかに自分が無力なのか考えてしまう。
「‥‥・‥‥どうしてこんな事に。」
始まりは、昨日の晩だった。
ユークリストは、早朝に行われた祝魔の儀の結果が思わしくなかった。
きっと落ち込んでいただろう。
こんな時、平民の家庭なら親が子供を慰めて、励まして、勇気づけるのだろうか。
しかし、私にはどうすれば良いのか分からなかった。
貴族として子供を育てることは出来る。
父のやり方を見てきた。
どんなことでも、厳しく徹底的に教え込む。
『北部に弱者は居ない』と豪語し、私に特異魔法の適性があると知ったときも『そんなモノで一人前になる人間では北部の猛者達は束ねられん!』と一蹴して、後継者である兄を魔獣狩りに連れて行った。
私は、特にそれをなんとも思わなかったし、それが常識だと思った。
貴族社会で子供を育てること、は普通の子育てとは違う。
もちろん、家柄と同時に家庭を大事にする人間もいるがそれは下級貴族や一部の上級貴族だ。
しかし父は上級貴族だ、それも伝統のある帝国筆頭公爵家の一席に座っている。
重視されるのは、親子の絆よりも、家人としての優秀さ。
いかに、家のために自分を高められるか。
それが、それだけが、ただ唯一不変の価値観だった。
だから学院では、ひたすら己を高めることにだけ集中していた。
人脈作り、剣術・魔術の勉強、その他にも色々やってきた。
その過程で、当時宮中伯の令嬢であるマリアンヌからの求愛は煩わしくもあり、当時切り詰めていた私の息抜きのようなモノになっていた。
そんな折りだろうか、北東部の辺境伯である兄の婚約者が、東部民族の侵攻を受け亡くなった。
父は怒り狂い、東部民族への侵攻を計画した。
兄は完全に憔悴しきっており、私に家督を譲ると言い出した。
彼女以外の人間と家庭を築くつもりはないと言って。
北部の後継者としての教育を受けてきた兄は、家人としての優秀さよりも、普通の家庭を選んだのだ。
この頃の私はまだ、貴族としての価値観こそが自分の世界の常識だと考えていた。
だから、兄は間違っていると思った。私こそが後継者に相応しいと考えるようになった。
兄が後継者から降りたことに、父は落胆していた。
兄が降りたことではない、私が後継の座に就いたことをだ。
父は常から『お前には無理だ』『何故死んだのがお前ではなく、ガレフの婚約者なのか』そう言っていた。
仕方が無いことだと割り切っていた。
私に出来ることは、ただ自分を高めることだけだったからだ。
妻が妊娠した年に、父が東部侵攻を開始した。
私や兄、そして他の兄姉達もそれに随行した。
部族を一つ、また一つと壊滅させ、ついに当時辺境伯領に侵攻した部族を見つけ出した。
部族は精強で、壊滅させることは出来たが、兵は疲弊し、父も深手を負った。
しかし、父は止まらなかった。
他の騎士と私の制止を振り切り馬に跨がり、戦場に出た。
復讐を果たし止まると思った父は、部族を殺し、次に女子供を殺した。
最期の花道を飾るように、その傍らに子供の屍を築き始めた。
初めて父のやっていることが間違っていると思った。
恐らくあの子供達が、マリアのお腹に居る後のフラムベリカに重なったのだろう。
だから、父を止めるために‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥私は父を殺した。
表向きは戦死となっている。
このことを知っているのは兄妹と当時の筆頭騎士のごく一部だけ。
貴族として子供を育てた父の最期は子供に殺されることだった。
私は若くして帝国筆頭公爵家の一席に座った。
それから私は、貴族的な教育ではなく家族を優先する教育方針に変えた。
子供達には精一杯愛情を注ぎ込んできた。
簡単ではなかった。
フラムベリカの特異魔法を知った時は、国の軍務を担う者としての義務と、一人の親として義務に板挟みになった。
トーラスが特異魔法を習得するために、【王鎧侯爵】に頭を下げたときは他の貴族に笑われた。
バレットの専属騎士にティティウスが選ばれたときは、伝統のある北部閥の貴族達から反感を買ったが直ぐに黙らせた。
ルルティアは伸び伸びと育ったせいか好奇心旺盛な子に育ち、令嬢教育が難航していると教師陣が悩んでいた。
そして、ユークリストだ。
私が変えようとしている、これまでの貴族の価値観を体現するように、先祖返りの隔世遺伝を受けて。
父が大量に殺した子供達の年齢に日に日に近づきながら。
私が殺した父と同じ目で私を見つめてきた。
だからだろうか、兄弟の中でもあの子にだけは、特別目を掛けている記憶がある。
そうすることで、嘗ての自分の行いから逃げることが出来るのではないかと思ったからだ。
コンコンッ
ノックに返事をすると、フラムベリカの専属侍従セシリカが入ってきた。
「失礼します。旦那様、ユークリスト坊ちゃんの居場所の目処を、フラムベリカ様が立てました。」
ーー
ートーラス視点ー
ユークリスト誘拐の報を受けて、俺は自身を責めた。
あの時、あの子について行けばこんな事にはならなかった。
「クソッ!」
自分の不甲斐なさを、机に拳を叩きつけることで紛らわす。
現在、俺は姉であるフラムベリカと屋敷内の私室で、俺は捜索の指揮を執り、姉は当日屋敷を出入りしていた人間のリストを確認している。
俺は、いつでも飛び出せるように胸当て・肩当て・小手を装備し、部屋の壁際には愛用している大剣が掛けられている。
姉はパンツを履いているが、装いは軽く戦闘用のものではない。
「落ち着くんだトーリィ、そんなことをしてもユーリは出てこないぞ。」
姉は、使用人・騎士・商人のリストを片手に、椅子に座りながらいつも通りの飄々とした態度で私を茶化すような物言いに、俺は攻めるような物言いで返す。
「‥‥姉上は、どうしてそのように落ち着いていられるのですか?ユークリストが攫われたのですよ、しかも俺達と別れた直ぐ後にです!」
俺の攻撃的な口調に、姉は降伏だと言わんばかりに両手を挙げる。
「あの子を心配していないわけではないよ。ただ出なかったんだよ。つまり、これはあの子にとって危険なことではない。私達に出来ることがあるとすれば、あの子を見つけた後だ。家族として、あの子に寄り添ってあげること、それしか出来ないんだよ。」
これだ、幼い頃姉に言われたことがある。
自身の特異魔法について、詳しいことは言えないが、『その時が来た』と言ったら、有無を言わず従って欲しいと。
当時の私は、姉に特異魔法について色々探りを入れたが、その全てを躱された。
それから姉は、常に物事を客観的に見るようになり、その興味関心は自分本位なものに変わった。
矛盾しているように見えるが、その傍若無人な振る舞いは、自分の本質を隠すために取られているのだと、未熟な自分を納得させた。
だが、今は違うだろ。
「‥‥‥‥‥‥‥騎士を連れて捜索に向かいます。」
「待て、トーラス。」
トーラス、姉が俺に真剣な話をするときは、いつもこう呼ぶ。
「何ですか?これ以上ここに居ても、手を拱くだけです。だったら外に出て探すべきです。」
「探すって、どこを探すつもりなんだい?北か、南か、それとも東部か西部か。既に騎士団を四方に行かせている。後は、報告を待つだけだ。それに、行くなら私と父上も行くぞ!」
そう言って、姉は持っていた資料から一枚抜き取り、机の上に放り投げた。
「これは?」
「アルクシア商会。ユーリが誘拐されたときに、この屋敷の敷地内に居た。この商会は、ここ数年で規模を拡大したわけではないのに、やたらと実入りが良いんだ。恐らく、表以外でも裏の仕事を始めたのだろうな。現在、そこの商人をセシリカに尋問させている。私がするとやり過ぎてしまうからな。」
こうゆうところで、姉は抜け目がない。
そして、その騎士と侍従は変なことに多彩だ。
コンコンッ
「失礼しまっす。返事はないっすけど、緊急事態だから許されるだろって思ってます。」
軽いノックの後すぐに、セシリカが入ってきた、襟と裾の部分に血のシミが出来ている。
その軽薄な態度を攻めることなく、彼女の収穫物を問う。
「何か分かったことは?」
「はい、あの商人はクロっすね。聞いたらあっさりゲロりましたよ。屋敷を歩いていたら、寝ている坊ちゃんを見つけたと。後は、金になるかもしれないと誘拐し、荷物に紛らわせて屋敷を出たそうっす。」
「それで、その後はどこに運んだんだ。」
重要なのは、誰が、よりも、どこに、だ。
「いやそれが困ったことに、誘拐した野郎、怖じ気づいたんすよ。誘拐して直ぐに。そんで上司の方に話を持ちかけたら、変な奴らが来てそっからお払い箱になったらしいっす。もちろん、追求したっすけど、そいつはそれ以上知らないそうっすね。」
「つまり、何も分かっていないのか!?」
ここまで話しといて、分かったことは結局何も無い。
苛立ちを隠せない。
「いえ、きっちりその上司の方も締め上げたっすよ。これが中々口を割らず。結局、そいつの家族を連れてきてやっと吐かせたんすから、情報は確かっす。」
「わかった。報告を続けてくれ。」
「はいっす。そいつは、あろうことか【鎖の狩人】に事を付けたらしいんすよ。そしたら全身ローブの奴が来て、話をしたらしいんす。そんで、元々配送予定だった商品と一緒に西へって感じです。」
「西ということは、聖教か。よし、父上にも伝えて至急兵を出すぞ!」
「ああっと、待って下さいっす。」
早急に支度を整えるために、部屋から出ようとするがセシリカから待ったが掛かる。
「なんだ?」
「その商人が話を持ちかけたら、ローブの奴が『ちょうど良かった』って、言ったらしいんすよ。」
「ちょうど良かった?」
「可笑しいっすよね、この帝国内で裏家業をしてる人間にとって、帝国筆頭公爵家の子供を攫うなんて、月の石に触るようなもんですよ。それをちょうど良かったって言ったんすよそいつ。」
月はこの世界の善神が住んでいると言われる土地で、この地に生きる者達の夜を照らしてくれると言われている。
そして、その地の物に手を出すことは、この世界の禁忌の一つに定められている。
『月の石に触るな』人の行動を咎めるに使われる、最上級の言い回しだ。
「ただの金稼ぎが、思いもよらなかった方向に進んだって事か。」
姉はまた、いつもの愉悦に浸る直前のような表情をする。
「何が可笑しいのですか?姉上、【鎖の狩人】が関わっていたんですよ。事は我々の予想の上を行っているのです。早急に準備をしましょう。」
「案外、近くに居るかもな。」
「なぜ、そう思われるのですか?」
冷静に客観性を保つことで深い思考力を持つ。
これが、俺が姉を尊敬する理由だ。
いつもは茶化して煙に巻くから、その倍嫌いになるが。
姉はセシリカに父への報告を言いつけ、俺と向き合うと説明を始める。
「まず、商会から【鎖の狩人】に連絡を取り、商談をして領都を発つのに一晩は掛かるね。輸送も商品だけなら正規のルートが使えたけど、公爵家の騎士団が捜索することも視野に入れないといけないから、正規のルートは使えない。
つまり、【ブレーメンの森】を通過することになる。けど領都から、裏道を使ったら日中までに森を通過することは不可能。今夜の野営は、その手前ですることになるだろう。今から馬で追いかけたらギリギリ追いつく。
私達は、あの子を救うことよりも救った後の【鎖の狩人】に備えるべきだ。」
「しかし、それまでにユーリが抵抗して、何かあったらどうするのですか!」
【ブレーメンの森は】領都の北から西南西に掛かるように存在する、中規模の危険
自然区域だ。動物系の魔獣が多く生息し、夜間に足を踏み入れる者は、自殺志願者か戦闘狂のどちらかと言われている。
先日討伐した元獣種も、そこに生息していた魔獣だ。
いくら追いつく可能性があるとはいえ、あの子の命は連中に握られている。
「では、今すぐに屋敷中の筆頭騎士を集めます。グロリアにも招集をかけて向かいましょう。」
「逆だよ逆、少ない方が良い。戦闘はどうせ父上がやるから、足手まといは少ない方が良い。私とトーリィと父上と、後オリバを連れていこう。万が一にあの子を早急に治療できるように。」
「わかりました、では。」
壁に掛けた大剣を肩に掛け、部屋を飛び出し、足早に厩舎の方に向かう。
姉もその格好のまま、私の後を追いかける。
「その格好で大丈夫なのですか?」
「何かあったら、トーリィを盾にするさ。」
弟を迷い無く盾にすると発言する姉。
信頼と受け取ることで自分を納得させよう。
ーー
ーカイサルー
セシリカからの報告を受けて、厩舎に向かうトーラス達と途中で合流し、現在に領都の西にある【ブレーメンの森】に向かって馬に乗って全力疾走をしている。
報告では、ユーリの居場所の目処が立っただけだが、その目処を立てたのがフラムベリカの言うことというのが、説得力を持たせる。
トーラスを先頭に、その両脇に私とフラムベリカ。
フラムベリカの後ろにはオリバが引っ付いている。
侍女としての仕事が主な彼女にとって、この移動はかなり酷な物になっているだろうが、そこは我慢して貰おう。
現在、領都から飛び出した我々は、領都と【ブレーメンの森】の中間を流れる浅川を渡り、森の手前の街を通り過ぎ、森の先端を視線の先に捕らえている。
「父上!森が見えてきました!」
「既に日が落ちている。魔獣の襲撃に備えて【防壁】の準備をしろ!」
「はい!」
夜は、森の王が活動する時間で、そのために魔獣による襲撃を警戒しないとならない。
その襲撃に備えるために、【守護魔法】の使い手であるトーラスを先頭にすることで、この強行軍を成立させる。
「父上、北西の方向に煙が上がっています。マヌケが、呑気に野営してやがりますよ!」
「気を抜くな!居場所がバレても問題にならないほどの手練れということだ!トーラス、【防壁】を発動しろ!フラムベリカは、オリバの身を第一に考えろ!」
「「はっ!!」」
【防壁】
フラムベリカが手がかりを見つけた。
煙は浅い場所だが、森の中から出ている。
偽装の可能性もあるが、今は足を止めている暇はない。
ユーリは既に、森の中に入っているんだ。
そう考えた瞬間、最悪の状況が頭に浮かんでしまう。
森の中に入った。
偽装の可能性は直ぐに消し去った。
魔獣の屍の道が出来ている。
早く処分しないと、これが原因で死霊魔獣が発生してしまうかもしれないが、そんなことよりもユーリの身が優先だ。
死体に目も呉れず、煙に近づいていく。
「父上!止まって下さい!」
焚き火の明かりを肉眼で捕らえたところに、フラムベリカから待ったが掛かる。
「何故止める!すぐそこにユーリがいるのだぞ!」
「いま、あなたの息子が、戦っています。」
「ッ‥……‥!!」
トーラスの【防壁】は外から内の音は通すが、内から外の音は通さない。
ユーリの戦闘音を、聞き取ったのだろう。
しかし、それならなおさら駆けつけなければならないのではないか!
戦っていると言うことは、その状況に追い込まれていると言うことだ。
あの子は魔力量が少なく、魔法もほとんど使えない。
そんな子が戦わなければいけない状況なんて、生きるか死ぬかのどちらだろう。
今すぐ行かなければ、私があの子を助けに行かなければ。
ーーーあの子は死んでしまう。ーーー
人生で初めての恐怖に駆られてしまう。
私が無力なせいで、家族が死んでしまう。
ダメだ、ダメだダメだダメだダメだダメだ!!
「ならば何故、止めるんだ!?今すぐ駆けつけーー。」
「ーーー我が名はユークリスト・スノウ・グリバー!!
オルトウェラ帝国帝国筆頭公爵家の一席【銀雹公爵】グリバー家が五男!」
その恐怖を拭ったのは、今も戦っている息子だった。
「お前達は、この北の地を汚した!
民を殺し、弱者を犯し、子供を誘拐する!
貴様らに、北部の冬を教えてやる!
貴様らを、正義の剣で貫いてやる!
覚悟が出来た奴から掛かってこい!」
その声は力強く、私の心を叩いた。
あの子が生まれてから今日まで、ずっと不安だった何かが、目から流れ落ちた。
「ああぁ、あああぁ‥‥‥‥‥‥‥……‥」
たまらず眉間を抑える。
トーラスは安心したように、口角を上げ。
フラムベリカは悪戯が成功したように、こちらを見つめている。
オリバはまだ手を組み、祈るような体勢だ。
「フラムベリカは私と来い。トーラスは少し近づいたところで、オリバをと共に待っていろ。」
「父上、私も一緒に!?」
「いや、お前にはオリバがユーリを治療している間の防衛を任せたい。いいか、何よりも優先されるのはユーリ、次にオリバだ。お前なら出来ると信じてる。」
「‥‥‥……‥わかりました。」
トーラスは、苦虫を噛み潰したような表情で了承する。
当然だ。
こんな事態でなければ、戦闘に参加していたからな。
馬から飛び降り、身体強化を施し、フラムベリカと共に灯りの方に疾走する。
すぐに着く!待っていろユーリ!
馬車が見えた。
その前にはユーリ、その後ろには同じぐらいの背丈の子供。
守ってあげたのか?誇らしいぞ。
同時に目の前に構えている男から、光源が一つ増えた。
魔法だ。
ユーリはまだ対魔法戦闘を知らない。
あれが当たると、一溜まりも無い。
全身の魔力を足に集中させる。
地面を蹴り出したと同時に、男から魔法が放たれた。
手に魔力を集中させ、間に割って入り魔法を手刀で薙ぎ払う。
間に合った、ぎりぎりだが、息子を救うことが出来た。
ユーリの方に、視線を配る。
後ろの子供を庇うような姿勢をとっている。
よくやった、この状況で人助けが出来るお前を、私は誇りに思う。
後は、父に任せろ。
「貴様ぁ!よくも!私の家族に手を出したなあああああああああ!」
次週、戦闘!!!!!!!!?