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公爵家五男の異世界行脚  作者: ナカタクマ
第1章~暁の産声~
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プロローグ:公爵家5男

初作品初投稿になります。

 目を覚ますと、俺は喧噪の中に包まれていた。


 あーもう、なんだよ?騒がしいな、せっかくぐっすり寝てたってのに。


 昨晩まで、ギリギリの状態で大学の卒業論文を書いていた。

 無事書き終えて、やっと解放され眠りについたってのに訳のわからない騒音のせいで全てがぶち壊された。


 また上の階の連中だな、この前も大家に苦情を言ったのに・・・あれ、身体が動かない。


 起き上がろうにも身体が言うことをきかない、何より自分の頭が重い。

 動くのを諦めて周囲の状況を確認しようとする。


 そこから、自分を包んでいた喧噪の原因が自分であると気づくのに、あまり時間はかからなかった。

 視界は朧気だが、周りの声はうっすらと聞こえてきた。

 

「おめでとうございます、奥様。元気な男の子ですね!」

「今までで一番大きな声をあげられています。きっと、ご子息様達の中で一番活発なお子様になられますね!」

「ふふ、ありがとうオリバ。こうして、5人目の子供を出産できたのはあなたの【治癒術】の魔法のおかげです。」

「そんな、もったいない御言葉でございます。」


 何か話しているようだが、日本語じゃないから俺にはわからない。

 

 少しずつ確かになっていく視界の中で捉えられたのは、豪華絢爛という言葉が似合う内装に彩られた部屋。趣味の海外ドラマ鑑賞で見たとおりの、【ザ・西洋】といわんばかりの寝室だ。「あなたに優雅なひとときを」みたいな謳い文句で、クレジットカードの天井を破壊した元カノを思い出す。


 ちょっと腹が立ってきたな。

 そして自分の顔をのぞき込む、3人の女性。

 一人目は、金髪蒼眼の女性。

 20代後半から、30代中盤ぐらいの年齢だろうか。髪は首筋から胸元にかかるように乱れており、顔は汗をかき少しだけやつれているが、美人であることは疑いようがない。少しやましい気分になった。顔立ちはハッキリしているが目尻は優しく垂れ下がっており、その下に泣きぼくろがある。鼻筋はシュッとし、全体的に優しそうな印象のある女性だ。

 二人目と、三人目の女性は服装からしてメイドだろう。

 一人目の茶髪の女性は、年齢は大体40代ぐらいだろうか、こちらも微笑ましそうに、こちらの顔を覗いている。

 二人目も茶髪の女性だ。年齢は20代前半ほどで、宝箱の中をのぞき込むようにこちらを見ている。

 実家で飼っている犬が餌を目の前にした時、あんな顔をしていた気がする。 


 なんか、現実味のある豪華な夢だな。


 自分の状況を少し整理してみよう。

 昨晩というか、ついさっきまで卒論の締め切りに追われていた。

 眠りについたと思った瞬間、騒音のせいですぐに目が覚めた。

 なのに、なぜか目の前には住んでいるアパートの天井以外の光景が広がっていて、目の前にいるのは明らかに自分とは人種の違う女性が3人。


 なんか、異世界転生でも始まりそうなあれだな。

 まっ、実際そんなことはないし、これもちょっとした夢だろう。

 ん?となると、今の俺はどんな格好なのだろうか。

 赤ちゃんプレイみたいな格好じゃなきゃいいな。

 

 おそらく、この金髪蒼眼の女性がこの設定上のの母親だろう。

 となると、この2人のメイドは侍女であり、自分はどこかの貴族の家系に生まれたのだろう。


 貴族の赤ちゃんプレイか、となると俺は攻めだな。

 いや、奉仕される側のおまかせもありか。


 そうこう考えていると、勢いよく部屋のドアが開き、その勢いのまま客人が部屋の中に入ってきた。

  

 「生まれたのかマリア!?。」

 「ええカイサル、ここに。」


 男は、肩で息をしながらこちらに近づき、顔をのぞき込んできた。

 そして、「いいかい?」と許可を取ると俺を抱えて、すぐに破顔した。

 唾や鼻水などが、少し飛び散った。せっかくの美丈夫が台無しだ。

 おそらくこの男がこの身体の父親だろう。

 銀髪藍眼、顔つきはドイツ系だろうか、なぜだろう・‥・‥破顔しているのに威厳がある。


 父親も混じるタイプのやつか?

 いや、そもそも赤ちゃんプレイじゃないのかもな。

 さっきから感じる全身の無抵抗感は、きっと俺が赤ん坊の身体になっていることを教えてくれているんだろう。

 ならば、話は早いな。


 なされるがまま、身を任せる。

 

「5人目だというのに、子が生まれる感動とは、変わらないものだな。マリア、よくやってくれた。」

「カイサル、その子に名前をつけてあげて。」

「ああ、もう決めてあるんだ。」


 視界の靄は取り払われ、男の顔がハッキリと見える。先ほどのことなど無かったかのようにこちらを見つめる男の瞳は、慈愛と決意に満ちているように感じられる。

 

「ユークリスト」

 

 一瞬の呟き、そして静寂がやってきた。

 見つめ合う父親と子供、それを見守る母親。

 この瞬間が夢である事が、とても惜しいと感じるほどの光景であることは間違いないだろう。


「お前は、【銀雹公爵】グリバー家5男、ユークリスト・スノウ・グリバーだ。」

 

 翌日、俺は、これが現実であることを思い知らされた。


 俺は、異世界転生をしたのだ。

 


お読みいただきありがとうございます。拙い文で恥ずかしいですが、これから頑張って投稿していきたいと思っております。どうか、生暖かい眼で見守り下さい。

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