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おかえりなさい

 ミリシャル様とベルクローグ様が帰られた後、ミリシャル様とベルクローグ様の事で質問攻めにされているノルンの元へ一人の男性が歩いてきました。 


 「今日はいつにも増してお客さんが多いな」

 「……あっ」


 男性に気付いたノルンの表情がパアッと花の咲くような笑顔になります。

 その男性こそ、ノルンがずっと帰りを待ち望んでいたラインハルト様その人でした。


 「ただいま。ノルン。今帰ったよ」

 「だーりん!!おかえりなさい!!」


 ノルンがラインハルト様の胸に飛び込んで、両手をラインハルト様の首の後ろに回します。

 ラインハルト様はノルンを優しく受け止めると、優しい表情でもう一度言いました。


 「ただいま。ノルン」


 ーーそれから、ノルンのお友達一人一人とラインハルト様は挨拶を交わしました。

 挨拶を済ませると皆さんそれぞれの家族と共に、それぞれの実家へと帰っていきました。

 その後、礼拝に来た孤児院の子供達の相手を済ませると、ノルンはラインハルト様と一緒に夕食時までの短いデートへとでかけました。


 「友達が沢山出来て良かったね」

 「うんっ。だーりんも遠征お疲れ様。ケガとかしてない?回復魔法(ヒール)とかいる?」


 腕を組んで歩きながら、ノルンがラインハルト様に尋ねます。


 「大丈夫だよ。倒したオーガキングがいきなり巨大化したのには驚いたけど、この通り俺はピンピンしてるから」

 「え?オーガキングが巨大化したの?」

 「ああ。なんでもサマルオーサの宮廷魔術師が言うには古代の禁呪がかかってたらしくてさ。色々と調査したら大昔に封印された魔物達だったらしい」

 「そうだったんだ。大変だったね」

 「もしノルンがその場にいたらブレイブレンジャーみたいって言ってたかもね。ははは……」


 ラインハルト様はそう言って笑います。

 ノルンの事を良く理解されてますね。

 実際にノルンは一昨日グリアモスが巨大化した際、本当にそう言いましたし。


 「……あ、雪だよ。だーりん」


 いつの間にか夜になり、空から雪がちらちらと降り始めました。


 「ホワイトクリスマスか……」

 「寒いけどなんか嬉しいね♡」


 あまり人気のない噴水の前で、ラインハルト様はコートのポケットから小さな箱を取り出すとノルンに渡しました。


 「はい。俺からのクリスマスプレゼント」

 「ありがとう。だーりん。開けてもいい?」

 「うん」

 「わあ……。イヤリングだ……」

 「気に入ってくれた?」

 「うん!!ぼくもだーりんにプレゼント用意してるの。はい」


 そう言ってノルンは異次元ポケットから手編みのマフラーを取り出し、ラインハルト様の首にかけました。


 「これ、手編み?」

 「そうだよ。おばーちゃんに教わりながらこつこつ編んでたの」

 「ありがとう。すごく嬉しい……」

 「えへへ……。どういたしまして♡」


 ノルンはそう言って嬉しそうに笑いました。


 「……雪も降ってきて寒くなってきたし、そろそろ戻ろうか。あまり遅くなるとお祖母さん達が心配するから」

 「そうだね」


 まだ15才のノルンをあまり夜遅くまで連れ歩く訳にはいきませんしね。

 年に一度の生誕祭と言う事もあり、ノルンがお嫁に行くまでの短い期間の間だけでもお祖父様とお父様が一緒に過ごしたいとの事で、今夜は未来のお婿さんであるラインハルト様も交えての家族パーティーです。


 「ねえ、だーりん」

 「ん?」


 隣を歩くラインハルト様の頬にノルンはつま先立ちになって、チュッとキスをします。


 「いつかそのうち、だーりんの方からちゃんとしたキスをしてね?」


 ノルンはいたずらっ子のような笑みを浮かべ、ラインハルト様の顔を見つめながらそう言いました。

 ラインハルト様はノルンの行動と言動に、思わず耳まで顔を真っ赤にして慌てふためきます。


 「ふふ。遅くなるとおばーちゃんに怒られちゃう。はやく帰ろ、だーりん♡」


 そう言って、ノルンはラインハルト様の手を両手で包み込むようにして引っぱります。


 ーーゴーン、ゴーン、ゴーン……。


 まるで、ノルン達のこれからを祝福するかのように、夜の6時を知らせる鐘の音が雪の降る街に鳴り響くのでした。 


 番外編おしまい

 キャラクター紹介


 シルフィアーナ・ステラ・レガウス

 種族 魔族

 年齢 15歳 

 性別 女

 職業 レガウス王国第二王女

 特技 剣術 人の名前と顔をすぐに覚える


 魔族の国レガウス王国の第二王女。

 家族からの愛称はルフィア。

 兄と姉と妹の4人兄弟で次女。

 角と翼としっぽがあるタイプの魔族だが、普段は翼としっぽを収納している。

 剣術の才能に恵まれどんどん強くなっていく。

 前世は光の聖女ノエルの幼馴染シルフィだった。


 家族仲は悪くなく、両親が剣術を習うのに良い顔をしなかったのは魔法を使えないルフィアが怪我をしないか心配しての事である。

 国王夫妻は後にルフィアが竜王を名乗る高位の竜の首を斬った事を知り、ルフィアの剣の道を応援するようになる。


 リィナ・シューベル

 種族 人間(母方の高祖母がドワーフ)

 年齢 14才

 性別 女

 職業 男爵令嬢

 特技 射撃 黒魔法


 シューベル男爵家の長女。

 高い魔力を持つがゆえに暴走暴発を繰り返していたが、ノルンの指導とノルンから与えられた魔導銃によってその能力を使いこなせるようになった。

 ノルンに救われたことで心の底からノルンを慕っている。

 ドワーフの血が流れてるせいか、同年代の中でも小柄な少女。


 シューベル男爵家は元は伯爵家だったが、リィナの曾祖父の代で当時の長男(祖父の兄)が問題を起こした為、男爵家に降格された。

 今では祖父と父ががんばったのでかなり盛り返している。

 母はシューベル家に代々仕えてきた執事の娘で父と幼馴染だった。

 シューベル男爵家のかつての栄光を取り戻す為、父に同じ男爵家令嬢との政略結婚の話が持ち上がった時、母は身を引き姿を消すがその時既にリィナを身籠っていた。


 政略結婚した令嬢は祖父の兄の息子と繋がっており、シューベル男爵家を乗っ取ろうとしていたが、その企みは暴かれ実子ではなかった息子共々追い出された。

 その後、リィナの存在を知った父は血を分けた娘と愛する幼馴染を男爵家に婦人と令嬢として受け入れた。

 リィナが誘拐されたのもこの辺のゴタゴタが原因で、犯人達は後に全員処罰された。


 前世はノエルの従姉妹リィン。

 母親同士が双子の姉妹で、ノエルの母が姉、リィンの母が妹に当たる。

 尚、リィンの年の離れた妹がノルンの母方の遠い先祖に当たる。


 アイラ・レイガン

 種族 人間

 年齢 14才

 性別 女

 職業 子爵令嬢

 特技 付与魔法 暗算 化粧


 レイガン子爵家の一人娘。

 付与魔術師(エンチャンター)としての才能に恵まれた美少女。

 年齢に見合わない抜群のプロポーションを持つ。

 ノルン、ルフィア、リィナとの仲良し4人組の中で1番背が高くて胸が大きい。

 (次がルフィアでノルン、リィナの順)


 様々な商品を扱う商人の家系で、父親が若い頃に功績を認められ爵位を得た。

 成金貴族などと陰口を言われるのを嫌い常に努力している。

 父親が年老いてからようやく授かった子供なので溺愛されて育っており、少し前までとてもわがままだった。

 自分とひとつしか年齢の違わないノルンの活躍を知りノルンに憧れる。

 ノルンの事を心の底から慕っており、ノルンの本性を知ってもその気持ちは変わらなかった。


 前世はノエルの幼馴染アイル。

 アイルは子供の頃、自然豊かなノエル達の住む村に引っ越してきた友達のいないお金持ちのわがまま娘だったが、物怖じしない子供だったノエルにリィンと一緒に毎日遊びに連れ出される内に仲良くなり、姉としてノエルを慕うようになった。


 聖杖リライザ

 種族 知性を持つ武器

 年齢 1000才

 性別 女

 特技 分析 魔力増幅 異次元収納


 神々によって作られた聖女の為の知性を持つ聖なる杖。

 オリハルコンを更に精錬したスーパーオリハルコン製。

 万が一破損しても自己修復機能で直る。

 光、闇、火、水、風、土のオーブを装着することで様々な特殊攻撃や特殊能力を発動出来る。

 シルフィ達を失い、聖女として成長したノエルに神々が与えたその日からずっとノエルとその転生者達を見守ってきた。

 リライザを手にした時のノエルは既に18才で神々に選ばれた聖女らしく心身共に成長していた為、リライザはノエルの事をやたら神聖視してる節がある。


 リライザの知るノエルは誰にでも分け隔てなく優しい大人の女性だった為、ノルンの破天荒さに振り回される日々を送るもののそれなりに楽しんでる。

 異世界の最高神の手により仮想人格を持つ武器から、魂を持つ生命体へと生まれ変わったが誰も気づいていない。


 まじかるフェアリープリティーノルン

 種族 魔法少女(笑)

 年齢 実年齢15才 肉体年齢14才

 性別 女

 特技 破戒


 闇のオーブの力を解放し、モードチェンジしたノルン。

 聖女の持つ神聖な魔力がすべて破戒の力へと変換され、ありとあらゆる物を完全消滅させる。

 実は変身中は初めて闇のオーブを使った時の14才の姿になるよう、魔神王によって闇のオーブが調整されているのだが、ノルン本人は背がちょっと低くなりそれに伴い、胸もちょっと小さくなってる事にまだ気付いていない。

 魔神王曰く、大人になっても問題なく使える素晴らしい仕様との事。


 破戒の光はどのような魔法や武器防具、特殊能力やチートを持ってしても決して防ぐ事が出来ない。

 すべてを焼き尽くす炎であろうと、あらゆる攻撃を弾く結界であろうと、破戒の光に触れた瞬間に一方的に完全消滅させられる。

 破戒の光の前では何をしても抵抗にすらならない。

 破戒の光から逃れる方法はふたつ。

 全力で逃げるか、広範囲に破戒の光を撃たれる前にノルンを倒す事のみ。

 プリティーノルンが全力で放ったその一撃は惑星さえも打ち砕く。

 破戒の光はレーザー光線のように一直線に発射したり、広範囲に渡り自身を包むようドーム状に展開したり、無数の光弾にしてばら撒き連射したりと自由自在に放つ事が可能である。


 また、この形態では普通の女の子と対して変わらないノルンの身体能力が飛躍的に上昇し、初代プ○キュア並のパワー、耐久力、体力、素早さを誇る。


 変身開始から完了までに1分弱かかる事、羞恥心のあまりノルンのメンタルをゴリゴリと削る事、神聖魔法が使用出来ない事、破壊力がありすぎて、下手をすると自分達の住む世界その物を滅ぼしかねないのが弱点。

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