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生誕祭

 竜王グリアモスの襲撃から二日が経ちました。

 今日は女神ミリシャル様の生誕祭です。

 一年に一度の生誕祭と言うこともあり、朝からノルンの実家であるミリシャル神殿には礼拝客がひっきりなしにに訪れています。

 ノルンも朝から神殿のお手伝いで大忙しです。

 これから孤児院の子供達が礼拝に来るので、子供達へのプレゼントを用意したりしていると、シルフィアーナ姫がやってきました。


 「ごきげんよう、ノルン。忙しそうだな」

 「あ、ルフィア。ごきげんよう。今日はどうしたの?新年は国に一度帰って家族と一緒に過ごすって言ってなかった?」

 「ああ。さっきお父様達が迎えに来てくれたんだが、ノルンと友人になったと話したら、どうしても挨拶したいと聞かなくてな」


 そう答えるシルフィアーナ姫の背後から、レガウス王が前に出てきてノルンに声をかけてきました。


 「聖女殿。うちの娘が大変世話になったと聞いた。礼を言わせてほしい」

 「いえ、そんな。私の方こそ姫様には良くしていただいて」

 「ふふ。相変わらず聖女殿は謙虚だな。それに聞けば娘の為に素晴らしい魔導具を作ってくれたとか。本当にありがとう。これからも娘と仲良くしてやってくれると嬉しい」

 「はい。私も姫様とご友人になれて嬉しく思います」


 ノルンがお得意の淑女モードで王様に応対していると、ノルンのお祖母様とお祖父様が神殿の奥から出てきてノルン達に声をかけます。

 公爵夫妻と王様が保護者同士挨拶をしていると、リィナさんとアイラさんもご両親を連れて神殿にやってきました。

 その後もノルンとお友達になってくれたクラスメートの皆さんが、保護者同伴で次々と挨拶にやってきます。

 ノルンは有名人ですから皆さんお近付きになりたいんですね。


 「みんな帰省前で忙しいのに挨拶に来てくれてありがとうね」


 保護者達のちょっとした懇談会の傍ら、ノルンは学校で出来た同年代のお友達にそうお礼を言いました。


 「新学期が始まるまで会えなくなるから、挨拶位しておきたかったんだ。ノルンと友人になれてからの数ヶ月は本当に楽しかったからな」


 シルフィアーナ姫のその言葉に皆さん微笑みを浮かべて頷きます。


 「みんな……。ぼく、みんなとお友達になれて良かった。来年もよろしくね」


 ノルンがそう言って微笑むと、皆さんは嬉しそうに頷いてくれました。


 「あ、そうだ。ぼくからみんなに生誕祭プレゼントをあげるね」


 ノルンはそう言って、異次元ポケットから袋を取り出し、袋の中から黒く輝く小さな欠片を出して皆さんに手渡しました。


 「お姉様、これはなんですか?魔力を微かに感じるのですが」


 リィナさんがそう尋ねると、ノルンは皆さんに今差し上げた物について説明します。


 「それはドラゴンの鱗を加工した物だよ。一昨日ルフィア達と一緒にやっつけたやつの鱗。護符として持ち運べるよう、あの後うちのパパや聖騎士団のおじさん達に手伝ってもらって小さく切ってもらったの」

 「昨日の竜の鱗ですの?」

 「そうだよ、アイちゃん。それにぼくが神聖魔法を付与したの。お財布とかに入れといてもいいし、ペンダントとかに仕込んでもいいからお守りとして持っておいて。それを持ってたらもしみんなの身に何か危険な事が起きた時、自動で最高位防御陣エクス・プロテクション最高位回復魔法(エクス・ヒール)体力回復魔法(リジェネ)魔力回復魔法(マジック・ヒール)が発動するようにしてあるから」


 ノルンはさらっとそう答えました。


 「ええっ!?そんなすごい物をいただいてしまっていいんですの!?」


 アイラさんが驚愕しながら叫びます。


 「大した物じゃなくてごめんね」

 「大した物ですわよ!?」


 私もそう思います。

 流石にここまで盛り沢山の護符を作るのはどうかと窘めたのですが、聞いてもらえませんでした……。


 「ううん。一度しか発動しないから使い捨てみたいな物だし。みんなも言ってくれればまた神聖魔法を付与するからね」

 「……あ、ああ。ありがとう。ノルン。お礼に故郷の特産品を土産に持って帰ってくるから楽しみに待っててくれ」

 「ありがとう。ルフィア」

 「私もお土産いっぱい持ってくるからね!!」

 「私は特産品の絹を用意しますわ」


 シルフィアーナ姫だけでなく、皆さん口々に護符のお礼を言い、お土産を持ってくると言ってくれます。

 ノルンは大勢のお友達に囲まれ嬉しそうに笑います。


 「ノルンー♡」


 そんな穏やかで優しい空気の流れる中、ノルンに突然一人の女性が抱きついてきました。


 「ひっさしぶりー♡元気してた?相変わらずノルンはかわいいわねえ♡」


 ノルンを抱きしめながら、ノルンの頬に頬擦りする女性に皆さんぽかんとした表情を浮かべます。


 「ちょ、離してください!!」

 「えー?いいじゃないの~。久しぶりなんだからあ♡」

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