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聖女特訓させる

 「リィちゃん!!もっと相手の動きをよく見て!!どうすればアイちゃんに上手く魔法をパス出来るか考えながら動くんです!!」


 ノルンが防御陣プロテクションで作り出した箱状の結界の中で、新しい武器を手にしたリィナさんとアイラさんが防御陣プロテクションによって作られた、適当なデザインのゴーレムから逃げ回ります。


 ドオンっ!!


 ゴーレムの振り下ろした拳が地響きを起こし、アイラさんが体勢を崩しました。


 「アイラさん!!危ない!!氷結魔法ブリザード!!」


 リィナさんが発動した魔法が魔導銃まどうガンの弾倉に吸収され、トリガーが引かれると共に発射されゴーレムの両足を凍結させました。


 「リィナさん!!電撃魔法サンダーボルトを!!」


 素早く体勢を立て直したアイラさんが、光り輝く鞭を発生させて叫びます。


 「はい!!電撃魔法サンダーボルト!!」


 魔導銃から放たれた電撃を魔杖まじょうから伸びた鞭で受け取め叫びます。


 「付与エンチャント!!これで決めますわ!!」


 電撃魔法を付与した鞭が見事にゴーレムを粉砕しました。

 

 「はい。二人共お疲れ様でした」


 ノルンのその一言と共に、結界が解かれます。

 リィナさんとアイラさんはへなへなとその場にしゃがみこみ肩で息をします。


 『ノルン。いきなりハードすぎではありませんか?』


 新しい魔道具の作動テストをしてすぐ、実戦訓練をさせたノルンに私はそう進言します。


 『あまり時間がないからね。実戦形式の訓練が一番手っ取り早いんだよ』

 『無理をさせて怪我をしたら元も子もありませんよ?』


 ノルンは疲労困憊で水分補給もままならない二人に近づくと、神聖魔法を発動しました。


 「疲労回復魔法リジェネ魔力回復魔法マジック・ヒール


 リィナさんとアイラさんの疲労が消え去り、消耗した魔力が全快しました。


 『ぼくが聖女なの忘れたの?どんなに疲れても、どんな大怪我をして魔力切れを起こしてもすぐに回復させるよ?』


 ノルンは私にそうテレパシーで答えると、二人ににっこりと笑顔で言いました。


 「例えどんなひどい怪我をして魔力切れを起こしたとしても、私がすぐ全快させますからね。安心して全力全開で訓練に励んでください。肉体と魔力は使えば使うほど、成長しますから。今日は寮の門限まで特訓しますよ」

 「「は、はい……。お姉様……」」 

 「二人共、お水を飲んだら塩飴を舐めておきなさいね」

 「「はい……。わかりました……」」


 ひどいスパルタ教育です……。

 ゴーレムの攻撃は寸止めとはいえ、ほぼ1時間休みなしで全力で戦わせてますよ……。

 二人共かなりきつそうな表情をしてます……。


 「……そろそろ1時間経ちますね。一度戻りましょう」


 ノルンは二人を連れてケイトさんの自宅前に戻りました。

 ノルン達が戻ると、木剣を杖代わりにして肩で息をしているシルフィアーナ姫と、涼しい顔をしたケイトさんが待っていました。


 「ケイトさん。ルフィアはどうでしたか?」


 ノルンが試験の結果を尋ねると、ケイトさんはにっと笑って答えました。


 「掘り出し物だよ。ノルン。レイリィ姫に勝るとも劣らない才能を感じた」

 「それじゃあ……」

 「今後が楽しみだよ。どこまで強くなれるのか育ててみたくなった」

 「やりましたねルフィア!!」


 ノルンが喜ぶと、シルフィアーナ姫は嬉しそうな笑顔を見せてくれました。

 姫はこれから毎日放課後にここに来て、ケイトさんに稽古をつけてもらう約束をしてから、ノルン達はお昼ごはんを食べに街の方へ戻りました。


 「今日は本当にありがとう。ノルン」

 「お姉様。本当にありがとうございました」

 「おかげさまで来週の戦技実習はなんとかなりそうです。本当にありがとうございました」


 カフェでランチを注文してから、三人はノルンにお礼を言います。


 「どういたしまて」


 ノルンはにっこりと微笑みます。


 「昼食を取って少し休憩したら、リィちゃんとアイちゃんはまた特訓をしますからね」

 「「え……。は、はい。お姉様……」」


 無理矢理回復させられながら厳しい特訓をまたさせられる事に、二人は青い顔をしながら返事をしました。


 「ルフィアはどうしますか?」

 「私も同行しよう。師匠に教わった基礎訓練をしたい」

 「わかりました。その内ケイトさんの許可が出たら、リィちゃん達と三人で一緒に訓練しましょう」

 「……私もか?」

 「はい。剣士に魔法使いに付与術師のパーティーとか王道じゃないですか。仲間との連携も大切ですよ?」

 「……そうか。うん。そうだな」


 ノルンの言葉に頷くと、シルフィアーナ姫はリィナさんとアイラさんの顔を見て言いました。


 「私もそなた達の仲間にしてもらえるだろうか?」

 「は、はい。喜んで!!」

 「光栄です。謹んでお引き受けしますわ」

 「ありがとう。リィナ、アイラ」

 「ふふ。私は仲間外れですか?」


 ノルンが笑いながらそう言うと、リィナさんは慌てて言い繕います。


 「そ、そんな事絶対にありません!!」

 「ふふ。冗談ですよ。いつか、この四人でパーティーを組めたら良いですね」

 「お姉様と!?わたくし絶対に今よりレベルアップしてみせますわ!!」

 「私もがんばります!!」

 「私もだ。すぐには無理でもいつかノルンと肩を並べられる自分になりたい」


 三人のその言葉にノルンはとても嬉しそうな笑顔を見せました。

 それから四人での昼休憩を終えた後、水分補給とトイレ休憩以外の休憩なしで、リィナさんとアイラさんは何度も何度もノルンの魔法で回復させられながら、特訓をさせられたのでした。


 「「お姉様!!今日の戦技実習大成功でした!!」」


 その甲斐あって、リィナさんとアイラさんの戦技実習は無事、大成功を収めた事は言うまでもありません。

 そんなこんなでノルンが学校に通い始めてから、丁度二ヶ月が過ぎようとしていました。

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