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聖女の戦闘力は53万です

 「……え?ノルンが考えた神様ですか?」

 「うん。そうだよ」

 「あの……。前から気になってたんですが、この枕元に置かれた木彫りの像らしい物は?」

 「ぼくが作ったグラウディオス様の神像だよ」


 ……中二病という物でしょうか。

 この年頃なら、まあ、そういう時期もありますか……。


 「……ノルン。グラウディオス様の事は、私とあなただけの秘密にしておきましょうね」

 「なんで?」


 なんでと言われましても……。


 「ミリシャル様を祀る神殿の娘で、聖女のノルンが他の神様を崇めるのはどうかと」

 「別にミリシャル様以外を崇めたら駄目、なんて教義にないよ?」

 「と・に・か・く!!他の人には絶対に言わないでくださいね。ラインハルト様にも言わない方が絶対に良いです」

 「う、うん……。リライザがそこまで強く言うなら……」


 ノルンはわかってくれたようです。

 下手をしたら邪教徒扱いされかねません。

 世界を救った聖女が中二病で邪教徒扱いされて、火炙りと言う事にでもなったら目も当てられません。


 「グラウディオス様のご加護は本当にあるのになあ。誰にも秘密なのちょっともったいない気がする」

 「……ノルンが考えた神様なのに、ご加護があるんですか?」


 そこまで思い込むのもどうなんでしょう……。


 「あるよ。13才になったばっかりの頃だったかな。毎日グラウディオス様にお祈りしてたら、なんか強くなった気がするんだもん」


 13才……?ノルンの魔力が爆発的に成長しだした頃ですね。

 それは聖女としての力に目覚め始めたからだと思うのですが……。

 私はふと、ノルンのステータスを確認してみたくなりました。

 ノルンはその性格から一度も使いませんでしたが、私には相手の能力を分析する能力が備わっています。


 サーチオン。


 こっそりノルンのステータスを確認していきます。


 ノルン・フォルシオン

 人間

 女性

 15才

 レベル68

 HP182

 力12

 体力57

 素早さ62

 賢さ210

 運の良さ180

 攻撃力12

 防御力31


 ……ここまでは普通の女の子の数値ですね。賢さが意外にもかなり高レベルです。

 MPまりょくは……。


 MP530000


 ……な、なんですかこの魔力量は!?

 高名な賢者や大魔道士でも400から500ですよ!?

 ノエルですら520前後でしたよ!?

 思わず自分が壊れてるのか自己分析スキャンしてみましたが、どこも異常ありません……。

 そうです。アビリティをまだ見ていません。

 アビリティを見てみましょう。


 所有アビリティ

 女神の加護

 精霊神の加護

 魔神王の加護

 ********


 前世からの加護2つに、旅の途中で魔神王から授かった加護の3つだけ……と、何か妙な物が!?

 一目で解析出来ないソレを、私は自身にインプットされている神の言語を含めたこの世界と、今まで観測してきた別世界の物も含めた、全種族の古代言語まですべてを駆使して、解析していきます。

 そして得た答えは……。


 『異界最高神の加護』


 解析結果がそう導き出されました。

 何なんですかこれは!?

 恐る恐る加護の内容を確認します。


 遥かなる彼方より来たれりし、異界の最高神により最高神の巫女に授けられし加護。

 この加護を得た者は、魔力霊力神通力すべての異能の力が無限大に引き上げられる。


 この加護の所持者は、魔術や魔導等の所持しているすべての異能の力を詠唱を必要とせず、念じるだけで発動出来る。

 また、成功確率の低い術の場合は必ず成功し、肉体や魂に負荷をかけるようなリスクを持つ術はすべてのデメリットを完全無効化し、使用した場合のリスクを完全ノーリスクにする。


 この加護の所持者は本来であれば、廃人になるような力の使い方をしたとしても、最高神の加護によりその身体と精神に危険を及ぼす事は絶対にない。

 尚、酷使して失った力は一晩の休息で完全に回復する。


 最高神の加護により、ありとあらゆる呪術の類を数万倍にして、寸分違わず確実に相手に跳ね返す。

 この加護を持つ者は決して、病や呪い等で命を失う事はない。


 ……何なんですかこれは!?

 本来詠唱の必要な最高位魔法を念じるだけで使えるとか!?

 どんな呪術の類も効かないとか!!

 間違いなく最強のアビリティじゃないですか!!


 ノルンは気軽に最高位魔法を使ってるので、感覚が麻痺していましたがよくよく考えてみたら、最高位防御陣エクス・プロテクション最高位回復魔法エクス・ヒールも神聖魔法とはいえ、術者にかなりの高負荷をかける物です。


 本来であれば詠唱を必要とし、発動にも時間がかかる術式です。

 ノエルですら、詠唱と発動に1分以上かかる代物です。

 それを詠唱なしで1秒ほどで発動して連発し、邪神の攻撃でも完全無効化するなど、いくら私を持っていたとしても普通ならありえません。


 そもそも人の身で最高位魔法を連発したりなんてしたら、すぐに魔力切れを起こして、その負荷で精神と魂に悪影響を及ぼすはずなんです。

 ですがノルンはピンピンしていますし、グレートラインハルトを作り出し、魔力切れを起こした時も一晩眠ったら完全回復していました。


 どうして、今まで気付かなかったんでしょう……。

 ノルンは本来ありえない事を気軽に行っているのです……。


 「ノルン……。グラウディオス様と言うのはどんな神様なんですか?」

 「彼方より現れしその神はすべての祖にして無限のゼロ。切なる願いに応え、因果地平の彼方より現れ、すべての神をも超え、すべての悪魔さえも超える超常の存在。それが絶対最高神グラウディオス様!!」


 ……私の質問にノルンが目を輝かせて説明してくれました。

 私に頭はありませんが、これを頭が痛くなってきたと言うのでしょうか……。


 これは私の推測なのですが……。

 降霊術と言う物がありますよね。

 ノルンが前世で生きた世界であれば、こっくりさんと呼ばれるような。


 ーーもしも。


 もしもですよ。

 ノルンの考えた異界の神様が本当に存在していたら……?

 その神様の名前が偶然にもまったく同じ名前だったら……?

 ノルンの毎晩のお祈りが、異界の神様を意図せず、呼び出してしまう儀式だったら……?

 呼び出された異界の神様が、神器である私にも、この世界の神々にも認識さえ出来ない、遥かに高位の存在だったら……?

 そのような御方が、ノルンを自身の巫女として加護を与えていたのだとしたら……?


 そう考えたら、ノルンのありえないチートにも、すべて説明が付いてしまいます……。


 私がそこまで気付いたその時、枕元に置かれたノルンお手製の神像から、今まで感じた事のない恐ろしい何かを検知しました。


 「さてと。明日から学校だしそろそろ寝ようっと。朝だーりんに制服姿を見せに行かなきゃだしね」


 ノルン。すぐ近くの異変に気付いてないんですか。


 「おやすみなさい。リライザ」


 待って。

 待ってください。

 私をその神像の隣に置かないで!!


 「……くー」


 起きて!!

 起きて下さいノルン!!

 私を一人にしないで!!

 あああああ!!

 隣の神像が光って……!!

 ノルン!!

 ノルンー!!


   ☆


 「ふああ……。おはよう、リライザ」

 「……おはようございます。ノルン」

 「リライザ、ぼくが寝てる間にもしかして、何かあったの?なんか疲れてるみたいだよ?」

 「……何もありませんよ。ほら、今日もラインハルト様の朝食とお弁当を作りに行くのでしょう。早く支度しないと」

 「うん。だーりん、ぼくの制服姿見たら、なんて言うかなあ♡」


 ノルンは新しい生活の始まりに胸を躍らせ、うきうきしながら着替えます。


 ……ええ。

 何もありませんでしたよ。


 誰にもその存在を知られない遥か高位の最高神様が、ご降臨などされていません。

 魂のない神器に宿る疑似人格の私に魂を与え、『リライザ』と言うひとつの生命体に進化などさせていません。

 ノルンがその生涯を終えるまで、決して離れる事なくその身を守るように仰せつかってなどいません。

 私はいつものようにノルンから、片時も離れず見守るだけです。


 決して、昨夜に変わった事など、何も起きてなどいないのです。

 いないのです……。


 「リライザ。そろそろ行くよ」

 「はい。ノルン。今日もあなたに女神ミリシャルの御加護があらんことを」


 ーーそしてあの御方の御加護があらんことを。

本編に入れる必要のなかった設定をぶち込むスタイル。

神様からチートをもらうのはなろう小説の鉄板ですよね。

ステータスの数値はドラクエを参考にしてます。

ちなみにライはレベル99で、レイリィはレベル80、ガリアードはレベル85です。

ノルンは後衛職なので前衛3人より経験値が低いです。

ほとんどの敵を大抵前衛3人だけで倒してしまっていたので。

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