44.エピローグ sideノルン
ノルンside最終回
「勇者ラインハルト様ばんざーい!!」
「聖女ノルン様ばんざーい!!」
ぼく達は凱旋パレードに来てくれた、ラギアン王国のみんなに笑顔で手を振る。
ぼくは女神様から授かった祝福のローブに身を包み、リライザを手にだーりんの隣でにこにこと愛想良くみんなに手を振る。
だーりんはぼくが作り出した防御陣装甲を身に着け、腰にアルバライザーを下げてみんなに笑顔で手を振る。
ぼく達を乗せたパレード用の台車が、綺麗な白い毛並みのお馬さん達に引かれて、ラギアン王国の街並みを進んでいく。
雲ひとつない良く晴れた青空の下、お日様の光に照らされながら、本当に全部終わったんだって、そう実感する。
みんなが笑顔でぼく達の勝利と、平和な世界が訪れた事を喜んでくれて、ぼくはなんだかとっても嬉しくなった。
この凱旋パレードが終わったら、お城のパーティーに参加して、とりあえず勇者と聖女としてのお役目もおわり。
後日、レイリィおねーちゃんことつばきママと、ガリアードさんことこーたパパの婚姻がみんなに発表され、今度はそちらで大忙しになる。
あれから、おばーちゃんとパパにも前世の事を話したら、二人共理解してくれた。
でもパパとしてはいきなり自分の娘に、この国のお姫様と隣国の皇帝が前世の両親だって、名乗り出られてすごく複雑な気持ちみたい。
二人はあくまで前世の両親で、パパはちゃんとぼくのパパなんだけどなあ。
それになんだか、それからパパがやけにぼくに甘い気がする。
何か欲しい物はないかとか、お小遣いはいらないか、とかね。
おばーちゃんはそんなパパに、ぼくを甘やかしすぎるのはやめなさいって、お小言をよく言ってる。
でもおばーちゃんはおばーちゃんで、将来ぼくとだーりんが結婚して赤ちゃんが出来たら、最初の子には絶対に自分が良い名前を付けるからって。
パパ達にそう宣言してたのをぼくは知ってる。
なんかね、みんなぼくとだーりんの赤ちゃんに名前を付けるのを狙ってるみたい。
この分だと、だーりんがぼくとの赤ちゃんに名前を付けられるのは5人目の時になりそう。
ぼく、そんなに沢山赤ちゃん産めるのかなあ……?
心配になって、こっそりリライザに相談してみたら、何代か前の前世でぼくはだーりんの赤ちゃんを50人産んだと聞かされた……。
その時のぼく達はエルフだったらしいけど、そんなに大勢の子供を産んだエルフはいないらしく、今でもエルフ族の記録に残ってるとか。
そんなの知りたくなかった……。
リライザが言うには、ぼくは何度転生しても必ず、だーりんの転生者と出会い、恋に落ちて結ばれてきたんだって。
なんだか、それってすっごい運命だよね。
前世では出会う前にぼくが死んじゃったけど、もし死ななかったらどんな風にだーりんと出会ってたのかな?
……あれ?
もしかしたら、前世ではぼくと出会わなかったから、だーりんは違う人と結婚とかしたのかもしれない。
そう考えたら、なんだかすごく胸の辺りがむかむかしてきた!!
「きゃああああっ!!勇者様素敵ー!!」
「こちらを向いてー!!」
女の子達の黄色い声にだーりんが笑顔で手を振る。
……むっ!!
だーりんはぼくだけの勇者様なんだから!!
ぜったい、誰にもあげないもん!!
ぼくはだーりんの腕を引っ張って、無理矢理こっちを向かせる。
「ノルン?いきなり、どうしたんだい?」
困惑してるだーりんの首に両手を回して、ぼくはつま先立ちになりながら、頬にちゅっとキスをした。
ぼく達の様子を見ていたみんなが、ひゅーと口笛を吹いたり、手を叩いて口々にぼく達を囃し立て、祝福の声を上げる。
「ノ、ノルン、みんな、見てる……」
顔を真っ赤にしただーりんに、ぼくはいたずらっぽく微笑んで答えた。
「わざと見せてるの♡ぼくがだーりんの事、世界で1番大好きなんだってこと♡」
もう絶対に離れないし、離してなんかあげないんだから!!
覚悟してよね。
ぼくの大好きな勇者様♡
次回、エピローグ ライsideで完結になります。




