41.明かされた真実
「えっとね、浮遊城塞からラギアン王国に戻ってきた時、ぼく頭を打っちゃったよね」
「ああ。あの時はライとレイリィが取り乱して大変だった。俺も心配したんだぞ」
「心配かけてごめんね。それと、ありがとう。それでね、その時頭を打ったせいでぼく、前世を思い出したの」
「それがさっき女神の杖と話してた事なの?」
「うん。前世のぼくはここじゃない世界で、パパとママと三人で暮らしてたの」
ガリアードとレイリィの質問に、ノルンは落ち着いて答えていく。
「ふむ。それから?」
「えっと、言いにくいんだけど、前世のぼく、男の子だったんだ……」
「もしかして、それが原因で元気をなくしてライの事を避けてたの?」
「だって、嫌われちゃうって思ったんだもん……」
「あー……。そういう事だったのか。そりゃあ流石にノルンも落ち込むわな…。しかし前世が男ねえ……。もしかして中年の親父だったとか?」
ガリアードがそう言って茶化すと、ノルンは頬を膨らませて怒った。
「そんなんじゃないもん!!ぼく男の子って言ったよね!!死んだ時5才になったばかりだもん!!」
……はい?
「ノルンの前世って……。5才の……男の子……?」
「うん」
俺が思わずそう尋ねると、ノルンはこくんと頷く。
いや、もっと年齢上だとばかり……。
でも、男の子と言う言葉どうりではあるな。
前世が5才児か……。
「ねえ、ノルン。5才だったなら別に男の子とか女の子とか、そこまで気にする必要なかったんじゃない?」
レイリィのその言葉にノルンは首を振って答える。
「だって、嫌だったんだもん……。年齢は関係ないもん……。男の子だったってだけでやだ……」
今にも泣きそうな顔をするノルンの背中を優しく、ぽんぽんと俺は叩いてやる。
「大丈夫だよ。俺の気持ちは絶対に変わらないから」
「うん……。信じてる……」
「そ、それはそうと、ノルンは前世の名前とか覚えてるのか?」
「……覚えてるよ。木ノ原のぞみ。それが前世のぼくの名前」
ノルンがガリアードにそう答えると、ガリアードとレイリィの表情が変わった。
「ノルン。父親の名前はわかるか?」
「パパの名前?木ノ原光太郎だよ」
「それじゃ、ママの名前は?」
「木ノ原つばき」
ノルンがそこまで答えた瞬間、ノルンが俺の腕の中から、ガリアードとレイリィに奪われた。
「こんな、こんな近くにいた……!!」
「まさか、ノルンが……!!」
二人共涙を流して、ノルンを抱きしめる。
いったい、どういう事なんだ?




